権現様と、山開き。
*賢治と鹿踊りの里*
仕事を終え、その足で群馬から岩手へ。
賢治と鹿踊の里・花巻(/・ω・)/!
いや、実際そう呼ばれてるか分からないけど、
管理人の中での花巻のキャッチコピーです(笑)
駅前で管理人を迎えたのは、大胆な鹿リメイク自販機。
右のササラが折れているので直してあげたいけれど、
ガムテも何も持っていないので諦めた。
(ちかくにコンビニもないし)
花巻駅ちかくのネットカフェに泊まる予定なのだが、
新花巻→花巻の終電が終わっていた。
あえなくタクシーを利用することとなり、
到着早々から財布に大打撃をくらったのであった。
翌日は「宮沢賢治童話村」へ。
児童文学というにはあまりに深淵で 時に難解。
子供の時分、賢治さんの童話は特に好きではなかった。
ただ、まだ芸能とゆうものを知らなかった管理人を
鹿踊りと出会わせてくれたのは 賢治さんである。
そしてまた、森というものについて
それまで読んだ童話では単なる「背景」だったが
恐ろしさや人ならぬ美しさをもつ「世界」なのだ!
と認識させてくれたのも賢治さんだった。
そんな原点回帰も兼ねて気楽に観光。
たまにはいいもんですね(*´ω`*)
といいつつ、ここに至るまでには
朝方 釜石へ行って偶然鹿に出会ったり、
田舎道で終バスを逃したおばあちゃんに出会い
ヒッチハイクして御礼におこわを貰ったり…etc
いつも通り歩きまくりな半日だったわけだが。
童話村の建物内は、
日差しの強い屋外とは打って変わって
暗め&涼しめの安らぎ空間。
銀河鉄道の世界を再現した一面の宇宙のような部屋。
有名な作品の場面が再現されたミニチュア。
その建物を出ると、いくつかの小さなログハウスがあり
星のこと 石のことなど テーマごとの展示がある。
管理人が一番好きなのは、この石の展示。
(この写真だと広そうに見えるがそんなではない)
小学校の教室ほどの部屋に、鉱物と その名前。
そして賢治さんがその鉱物を登場させた文章が展示されている。
夜は、明日一緒に登ってくれる友人と合流。
閉店(?)ギリギリではあったが、
日帰り温泉も楽しみフル充電。
*早池峰山の山開き*
そして翌日。ついに!今年の山開きですよ!早池峰山!
霧がすごくて全然山頂見えないけど(;゚Д゚)!
皆さん、固有種だからか
この「ハヤチネウスユキソウ」↓に非常に注目していた。
もう霧がすごいせいで、
ウスユキソウの白いホワホワに水滴がついて
なんというか正体分からなくなってる。
名和晃平氏の作品みたいな感じである。
しかし管理人はミヤマオダマキ↓が好みだなぁ、
と一人で思っていたり。
ガレ場を進んでいくと、一瞬だけ霧が晴れて
(というか風に吹き飛ばされて?)
遠くに登山口のあたりが見えた。
友人の話では、天気が良い日に登れば
登山口のさらに下まですべて見渡せるらしい。
というコトは、逆に
里からも山頂まで綺麗に見えるというコトだ。
里からよく見える山だからこそ、
早池峰の信仰は
直接山の恵みを生業とする人々に留まらない。
水の神として、里を見守る神の座として、
農家からも厚い信仰を受けてきたそうだ。
また直接山に入る猟師や樵(きこり)のみならず、
木材を扱う建築関係者も早池峰に無事故を願うという。
さらに登ると
八合目付近の名所(難所?)梯子。
※登っているのは管理人でなく友人です
現在のものは分からないが、
以前コチラに懸っていたハシゴは
沿岸部の方が奉納したものだったとのこと。
実は早池峰山というのは、
天候が安定していれば海からもハッキリ見えるらしい。
山々の位置から船の場所を測っていた昔の人にすれば、
自分の位置を知る標であり
風や霧が出て その姿が消えたら荒天の前触れ。
漁師さんの安全さえ守ってきた山なのである。
(奉納した方が単に沿岸部に住んでいたか漁師さんかは不明)
頂上に近づくと気温もぐんと下がり
雪渓に出会うこととなった。
そしてやっとの思いで頂上へ!
いやもう、霧がすごくて!あたり一面真っ白!
しかも超強風で寒すぎる!Σ(・ω・ノ)ノ!
お、奥宮の前に権現様がいらっしゃる!
(*'ω'*)オオー!
さっそくお近づきに!
千本木龍頭神舞(群馬・伊勢崎)や
青笹獅子踊(岩手・遠野)の長いタテガミとはまた違う、
本海獅子舞番楽(秋田・鳥海)的な短いタテガミ。
※本海の獅子はタテガミが色とりどりの端切れ布なので
権現様とはまた少し様子が違うのだが。長さに限った話。
この早池峰山に伝わる早池峰神楽では、
「権現舞」という演目で このシシを使う。
権現とは、神や仏が「人に見える姿となり現れること」。
なので、この権現様というのは
「神の先導」として露払いをするシシや
「動物を模して」供養のため躍るシシとは
少しちがうのかもしれない。
「カミサマ自身」が人前に顕現するために、
姿を変え 獅子頭に身をやつしているということだろうか。
ちなみにこの黒い獅子頭の「権現様」は
今回観た早池峰に限らず黒森、石鳩岡など
各地の神楽に登場する。
タレ目だったり耳が大きくて可愛らしかったり
微妙に違いがあって面白いので、
是非いろんな権現様を見ていただきたい!
老いも若きも山頂に集まり、
吹きすさぶ風と霧に見舞われながら祝詞を聞き
皆で奥宮に向かって頭を下げ
何かを願ったり思ったり感謝しているのだろう。
というのは素敵な光景だった。
それが終わると、権現舞の奉納!
権現様が登場する前に、
曲芸的要素のある下舞(したまい)が舞われる。
舞手は扇や鈴木を投げ上げては舞いながらキャッチ!
ちなみに鈴木ってなんやねん。というと、
ちょっと小さくてハッキリ見えないかもしれないが
この右手に持っている 麻で作られたフサ+鈴をつけた木。
これが早池峰神楽で言う「鈴木」なのである。
巫女さんが持つ神楽鈴や鉾先舞鈴と違い、
鈴は少なく小さいので そんなにシャンシャン言わない。
こんな強風で 足元は石ゴロゴロの中…と
感心しながら見ていた。
下舞が終わると、ついに権現様が始動!
獅子頭を完全にかぶる前に、
舞手が自ら左手に持った獅子頭と見つめ合うような
この動作↓が印象的だなぁと。
そして、少し舞ったあとに「あげものほめ」。
奉納されたお酒などを権現様が
一つひとつ「うん、いいネ」と確認している感じスキ。
そして皆さんお待ちかねの「胎内くぐり↓」。
権現様のカシラと尾先のトンネルをくぐることで
子供が健やかに成長するとも 人が浄化されるとも言われる。
そのあとは、首都圏の獅子舞でもみられる
頭上でパクッとやってくれる「頭かじり」。
それが終わると権現様は柄杓を持って四方を回り、
火伏のおまじないにピッと水を撒く。
とんでもなく寒い中、
少量ではあるが水が飛んでくるだろうか
という本来の趣旨とは関係ないスリルも味わえましたとさ。
(*'▽')
*早池峰神楽について*
早池峰神楽は早池峰山麓の内川目という地域に伝わる神楽。
地域内には「岳」「大償」という集落があり、
それぞれが別の団体として神楽を舞っている。
しかし、その2つを合わせて「早池峰神楽」という。
というのも、2つの神楽は大モトは同じで
内川目「金沢」にある田中神社の山伏神楽だという。
しかしそれが、岳の早池峰神社と 大償の大償神社
それぞれの地域で神社に奉納するために伝承された。
演目などは ほぼ同じらしいのだが、
微妙なリズムなどに違いがある(らしい)。
管理人のリズム感の悪さは相当なものなので、
観たところで差は分からないのだが…。
1つ、明確な差として
岳神楽に登場する山神の面は口を結んだ「吽形」。
対して 大償の山神は猛々しく口を開いた「阿形」。
一説には、岳と大償は「一対の舞」であるから
このように対照的な面になったという説があるという。
早池峰神楽の囃子方は4人。
太鼓を担当する方が「胴取(胴前)」。
その両脇には手平金を打つ「銅鈸子方」。
(写真左下に写っているのが手平金)
舞台や屋内で神楽が舞われる場合は
観客からは この3人しか見えない。
なぜなら、舞台後方には幕が張られ
一番奥にいる「笛方」は その幕向こうにいるからだ。
この幕から向こうは舞台裏であり「彼岸」とされている。
人ならぬ世界、神様の世界だ。
ふがいないことに、圧倒的勉強不足で
なぜ笛が彼岸で打楽器は此岸なのか分からないが…。
であるから、面をつけた神々たちも 幕の奥からやってくる。
しかし、庭先で行われる「門打ち」や山頂での奉納は
幕が無いので笛方さんも普通に見ることができる。
写真を見ていただいても分かる通り、
なんだか太鼓のバチの先端が変わった形をしている。
なぜあの形なのか気になる…(; ・`д・´)
これは宿題だな。
普段平地をひたすら歩いている管理人には
山道は非常に苦しく帰宅後3日ほど筋肉痛に苛まれたが…
山頂で当日だけ配布される「山開き絵馬」にもありつき、
良い山開きとなりましたとさー。
今年度もいろんな神様やお祭りに出会うため
足腰も体調もイイ調子でありますように、
と書こうかどうしようか。
でもあんまり「おねがい」はしない方針なんだよね。
(大体神前では「あいさつ」しかしていない)
と悩み、いまだに白紙(?)のままです(´・ω・`)
かえりに早池峰神社に寄ったけれど、
長くなりそうだから一旦 山の話題で切り上げますー。