とまのす

ちいさくゆっくり、民俗さんぽ

クベーラと宮比羅。

昨日、高崎の某店で

お高い仏像の隙間にいた小さな仏像を発見。

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どなたなのかも分からないまま、

見た目に惹かれて購入!

 

服装を見ると日本の観音様っぽいのだけれど、

柔和で中性的なお顔ではない。

 

中国や日本というより

ネパールやインドを感じさせるソース顔。

 

誰なのかな?

 

と思ってよく見ていると、

下のほうに彫られた

「将大乂藥盧毘宮」の文字。

(右から読みます)

 

日本では「宮比羅」表記が多いけれど、

十二神将のクビラなのか。

 

でも十二神将武装して鎧姿のはずだから、

日本に来る前のクビラさんなのか…

(来日前はクンビーラという水神様)

 

もともとクンビーラは

ガンジス川のワニを神格化したもの。

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象のような鼻と魚の体で描かれること多し。

 

ガンガーのヴァーハナー

=ガンジスの女神さま専用の乗物

とされてきたので

日本に入ってきてからも

水上の乗り物=船の守護神とされたわけ。

 

金毘羅(こんぴら)さまとして船乗りに大人気。

だけど廃仏毀釈の時代がきて、

結構追い詰められた。

そのときに神社に統合されちゃったので、

最近の金毘羅さまは神社にいることが多い。

 

一方で、

金毘羅さまより知名度は低いけれど

廃仏毀釈をうまく切り抜けたのは、

仏教に入り込んで薬師如来のとこで働いていた

宮比羅(くびら)。

 

もとは金毘羅さまと同じクンビーラ。

薬師如来を信仰する人々と法を守る

警備隊「十二神将」の筆頭!

 

表記は違うものの

ハッキリ「宮毘盧」と書いてあるわけだし、

これはもう、この仏像 インドから旅立って

日本に到着する前のクビラさんのお姿で決定か?

 

とおもいきや…。

 

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ネズミ!

 

ネズミ連れてるんですけど!

Σ('Д')

 

ここで思い出されるのが毘沙門天

中国では、毘沙門天といえば眷属はネズミだそうだ。

(日本ではあんまりネズミ連れてないけど)

 

毘沙門天のもとになった神様は、

ヴァイシュラヴァナという名前。

 

仏教に取り込まれる際に

ヴァイシュラヴァナの

音を写したものが毘沙門。

(ちなみに、意味を写したのが多聞天

 

そのヴァイシュラヴァナのモトになった

「クベーラ」という神様が居まして。

財宝の神とも言われている。

 

この人がマングースを連れているわけだが、

中国にマングースなんて居ないじゃん。

どうする?

というわけでいつのまにかネズミに。

 

というわけで、

ネズミは毘沙門天の眷属になったとさ。

 

というかんじ。

ちなみに、右手の持物は破損してしまっているから

見た目の手掛かりはほんとこのネズミだけ。

 

宮比羅(金毘羅、クンビーラ)なの?

毘沙門天(クベーラ)なの?

とゆうとこだけれど、

今見てもわかるようにモトの神様

(水神クンビーラと財宝神クベーラ)

名前が似ているために実はよく混同されたようだ。

 

神様のインド→日本の旅路で

いろんな人に出会って

いろんな解釈をされた名残かな。

 

日本の仏教や神道でも

持ってるものがかぶってるから、とか

ご利益が似てるから、とか

案外単純な理由で

何人もの神様が同一視されたりしてるし。

 

逆に、

同じ神様が違うことをしてる場面が

別々の二人の神様ってことにされたり。

 

そう思うと、

見た目を気に入っただけじゃない

不思議な愛着がわいてくるなあー

(・ω・。)

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まだ出会って二日だけど、

今後ともよろしくたのみますよー。