とまのす

ちいさくゆっくり、民俗さんぽ

御篝神事で、バーニング節分。

前回は下見ということで桐生賀茂神社を訪れたわけだが、
今回は「御篝神事」本番である。

毎年2/3(節分)の夜に行われるというが、
夜とは一体 ゴールデンタイムなのか深夜なのか?
桐生市役所に確認したところ、
メインとなる「火投げ」は午後19~21時ごろ行うとのこと。
良心的な時間でよかった…。

そして、その前に氏子さんたちは18時ごろから
①人形(ひとがた)に名前・生年月日を書き
②体の悪いところに当てて人形に災厄を移す
③人形と氏子さんが一緒にお祓いを受ける
④豆まき
⑤境内中央に積んだ浄薪に御札や達磨なども乗せる
⑥点火
という流れで火投げを迎えるのだとか。

なんとゆうか、
小正月に行う「どんど焼き」的な⑤と
④の豆まきが組み合わさっているという不思議な行事だ。
ということは、この地域は1月にはどんど焼きはしないのか?
とゆう疑問が湧いてくる。気になる。いや、まぁ各家庭ではやるのかな。

最初から見たかったが、少々出遅れた。
神社に近づくと、
鎮守の杜の上空に巻き上がる火の粉が見える勢い!
前回の写真を見ていただければ分かるように、
鎮守の森がそんなに小さいわけではないのだが…。

車を停め、鳥居をくぐると
想像をはるかに上回るバーニング具合だった。
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水しぶきの如く 火の粉が吹き上がっている!
寒さに備えてコート下に着るウル◯ラライトダウンと
裏起毛のジョギング用ズボンを用意していた管理人。
しかし、炎の勢いが凄すぎて寒さはほぼ感じず。

そして なんとなく
「火を投げ合うとは言え 束ねた藁的なモノだろう…」
と勝手に想像していた管理人。
しかし、いざ見てみれば50cmはあろうかという棒ではないか。
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↑このガンガン焚いている火に、どんどん棒をくべていく。
そして、氏子さんたちがその中から
イイ燃え具合のをチョイスして持っていくシステム。

ああ、そういえば説明書きにも
「火を付けた薪」って書いてあったかも…。
そんなもの投げたら危ないだろうという勝手なバイアスで、
薪→藁に脳内変換されていた…。

さて、なぜ火を投げ合うか気になるところだが
実は詳細な起源は分からないらしい。
しかし「賀茂神社傅承記」という文政十三年(1830)の書物で
既にこの神事について記載されていることから
遅くとも江戸時代には行われていたと考えられているとか。
参考:桐生市ホームページ「御篝神事」(H28/7更新),
< http://www.city.kiryu.lg.jp/kankou/event/1010673/1001900.html >

戦後に一旦は途絶えたというが、その後に復活。
現在は保存会などもでき安定した運営が行われているそうだ。

というわけで、まずはどんな様子か動画をどうぞ。


2018.2.3 御篝神事


1クール(?)3回以上投げるので、
意外とシャッターチャンスはあるのだが…
今回初めて夜間撮影用アプリを使って撮ったので
なかなか調整がうまくいかず。
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↑他の人のフラッシュで漁夫の利な撮影。

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↑ボウリングの如く美しいホームで薪を投げるおじさん

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まぁトイカメラでお遊びをしたような写真だが、
少しでも様子が伝わればとゆうことで一応載せてみる。

そんなことをしていたら、
対面に立っていた氏子さんの薪が大きく弧を描き
管理人から1mほどの場所でカメラを構えていた方に命中。
大きなカメラのおかげでケガは免れたように見えたが、
御篝神事、恐るべし。

その後も、すぐそばで火を回していた氏子さんの薪が
前方でなく後ろに飛んでくる案件などが発生。
(手を離すのが遅すぎたんだろうか)

先日の下見の際にはひっそりしていた拝殿も、
平時はポッカリと広い境内も、今日は人であふれている。
ワケイカヅチさんも喜んでいるだろうか。
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氏子さんによると
終わる時間は「火の燃え加減次第」とのこと。
どうやら火力が強いと時間が短いらしい。
今回は20時ちょっと過ぎには終わったので、
火力が結構強かったということだろうか…。

火投げが終わると
氏子さんたちが浄薪を囲んで三本締めをし、
御篝神事は無事終了となる。
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さぁ、遠足は帰るまでが遠足。ここで全てが終了ではないのだ!
鳥居の外に消防車が待機していたので
「万が一のために待機しているのかな」と思っていたら、
火投げが終わった後 境内に入って来た。
そして、薪を差していたドラム缶を浄薪のそばへ寄せ
火のついているモノを1ヶ所に集めたのち、全力で放水!
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煙が朦々と立ち上がり、大火事の現場さながらである。
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な、なんてゆうか消防士さんが放水してる現場初めて見た。
近所で火事は何回か起きてるけど、
ここまで消火活動をちゃんと見たことはなかった…。
こんなすごいホース2本がかりで水をかけまくっているに、
一度燃えた薪というのは意外といつまで消えないもので。
かなり長い時間放水が行われていた。

火の粉もだいぶ飛んでいたため、
燃えていたものだけでなく境内の木の枝にも放水。
「建物当てないように気を付けろよ!」
と隊長(?)的な人が声をかけたりしながらやっていた。
確かに、あの水圧が神楽殿に当たれば
彫刻の一つや二つくらいは吹っ飛びそうだ。

かなり入念に放水し、境内はビッチャビチャである。
明日の朝全部凍っているのではと思うと恐ろしいが、
無事に火も消えたようで全てが終了。

ちなみに、火が燃えているうちは暖かく
火投げのインターバルには見物人も注連縄の中に入り
ボーボー燃えている浄薪の火に当たることができる。
が、この消火活動を見守っている時間は寒い。
さすがに火が消えれば冬の桐生が寒くないはずないよね。
終了後は、超震えながら岐路に着く管理人だったとさ。

今回の御篝神事に限らず、
湯かけ祭りとか春駒とか 独特な祭も多い。
なんか最近よう雪も降るけど、
信越や東北に比べたらイージーモードなので…
是非来年の冬はグンマーの祭事を見にきてね。
(*'ω'*)