とまのす

ちいさくゆっくり、民俗さんぽ

面白かわいい、ぐんま獅子。

12月1日、群馬県生涯学習センターで
「ぐんまの獅子舞公演」が行われました!
(≧∀≦)パンパカパーン!

毎年行われているらしく、
去年どこかでポスターを見たときには
既にその年の公演が終わった後だったという思い出…。
その反省を生かし今年は秋頃から警戒態勢を敷いた!
ちゃんと手帳にも書いたぞ(/・ω・)/ヨシ!

というワケで会場に向かう。
群馬のシシを数団体一気に見るの久々だなぁ。
普段管理人が好んで行く東北(特に岩手)は
芸能だけで数日間に渡るイベントを開催できるスゴイ地域。
もちろん 単純に団体数も多いと思うが、
小さな頃から芸能に親しむ環境づくりだったり
集落で行っていたものを人前で見せるための構成作りetc…
様々な努力があっての芸能大国(?)だと思う。

それに比べると、残念ながら群馬のシシたちは
なかなか地域の外で会うことができない気がする。
しかし、今回は多目的ホールにいながら
県内各地の獅子を見られる貴重な機会なわけだ!
しかも、地元のシシや大好きなシシもくるよ!
ということで、風邪気味だがシシウォッチング(*'ω'*)

那須獅子舞*
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初めから見た目のインパクトがスゴイが、
こちらは群馬県甘楽郡甘楽町に伝わる獅子舞。
旗には「稲荷流宗家群馬県那須獅子舞」と書かれている。
本来は毎年10月第一日曜に稲含神社例祭にて奉納される。

保存会さんには2組の三匹獅子舞のカシラがあり、
1つは一般的な漆塗りの獅子頭
そしてもう一方が こちらの個性的な獅子頭
このカシラは「龍頭」や「重箱獅子」と呼ばれ
表面は漆でなく金紙・銀紙であるという。
毎年、例祭にて新しい紙に張り替える慣わしだそうだ。
重箱獅子というと、まさに重箱を重ねたような
平たく四角張った獅子頭のイメージがあるが
このカシラは正面からの丸い輪郭が印象的。


龍頭と呼ばれるだけあって、
袴にはビッシリと鱗紋があしらわれている。
頭にはヤマドリの羽。
夏に行った山形・立石寺でも
ヤマドリの羽をつけているシシたちがいて、
「あ、群馬の獅子と似てるとこある(*'ω'*)」
とテンションが上がったのを思い出した。
袖口から体側に向かって
鋭い山型の模様が染め抜かれている。
外側に向かって尖ってるなら魔除けっぽいけど
内側に向かってるのってどういう意味だろうか。
忠臣蔵の服を見たときから不思議に思っている)

歴史としては700年代、京都で伝授されたものが
田村市郎左衛門という人により那須に伝わったという。
なんでも、全国から20人ほどを集めて獅子舞の振り付けをし
各地の祭礼で奉納すべく その振り付けを国に持ち帰らせたとか。

詳細な説明が書いていなかったので、
みんなで考えた一連の演目を各地に広めたのか
様々な踊りを考え 各々全国に広まったのか分からない。
しかし、離れた県でも似た演目や装束があるのを見ると
1つの「モト」になるものがあって
元から地域にあるシシと雑種になったりもしながら
今の姿になっていったということだろうか。

ちなみに、群馬には この「稲荷流」が結構多く
・今回見た「那須獅子舞」
太田市「阿久津の獅子舞」
みなかみ町「藤原獅子舞」
を合わせて県内の「稲荷流三宗家」と呼んでいる。
その他、
吉井町の長根神社宿獅子舞・大藪獅子舞、
藤岡市の下大塚獅子舞、下仁田町の鎌田獅子舞
なども稲荷流であると伝わっている。
一説に、この「稲荷流」の名は
大陸からの獅子渡来伝説に基づくという。

昔むかし、天竺に住んでいた悪神(獅子)は
大陸の人々を食らい尽くしてしまったので
「食べるもの無いから移動しよ」と日本に向かう。
それを察知した日本の神が稲荷を差し向け、
「日本では人でなく悪霊や魔物を召し上がってはどうです」
「さすれば人どもは感謝し、貴方を崇め、食べ物を供える」
と言葉巧みに説得しながら日本へ先導させた。
すると獅子も「え、魔物食べていいし、ゴハンも出るの?」と
到着する頃には悪霊を食らう清めと厄払いの神になっていたという。
確かに、群馬の獅子舞って
正月行事とかでなく10月が多いかも。
ずばり祇園祭の一環として厄病除け祈願で奉納したり。
あとはお稲荷様と関連深い2月の「初午」とかも多い。
ま、どっちにしろ気候が厳しい時期やねん…(´・ω・`)←虚弱

そんなわけで、群馬の獅子舞では
結構キツネ役が獅子に先立って歩いたりする。
以前記事を書いた上新田稲荷獅子舞にも
“御稲荷(オトウカ)さん”こと狐様が登場したが、
今回の那須獅子舞さんの狐様はなんだか神々しいぞ!f:id:ko9rino4ppo:20181227063428j:image

*月田近戸神社獅子舞*
さて、4団体あるのに初っ端から長くなってしまった。
次の団体は前橋市粕川の近戸神社に伝わる獅子舞。
上毛電鉄粕川駅は管理人宅の最寄り駅から数駅なので、
まぁ勝手に地元感を抱いている団体さんである。
何といってもシシが一番生き生きしているのは
祭り(というか奉納?)の日だと思うので、
この団体については以前の記事を貼らせていただきたい。

コチラの記事と今回の写真を比べていただくと
今回、雌獅子(真ん中のシシ)が結構小柄なのが分かるだろうか。
あんまり男の子に小さいというのは可哀想なのでアレだが、
2年前に見た時とは違う子が入っているというコトである。
3匹獅子舞なので演目に登場するシシ自体が少なかったり
観光資源化の進んだ芸能より披露の場が少ないので、
層がどれくらい厚いのかはわからないが…
獅子っ子が新しくなっているというのは嬉しいことである。
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近戸神社獅子舞保存会では小学校高学年で獅子連に入り、
年齢が上がると笛掛かり→歌掛かりと役割が変わっていく。
笛掛かりは大きめの笠をかぶっているのでよく見えないが、
みんな成人男性のように見えた。
高校では部活や勉強に追われ抜けてしまう子も多いのだろうか?
それとも、今回居ないか大人っぽく見えるだけだろうか?

中断からの復活を果たしたという獅子連も多い中、
室町時代から一度も絶えることなく続いているという
この「月田のささら」こと近戸神社獅子舞。
是非今後も、末永く続いて欲しいところである。

ちなみに、群馬県内では
獅子舞の歌が残っている団体は少ないらしい。
が、この月田の獅子舞では多くの歌が残っているという。
節がハッキリせず聞き取りづらいのだが、
端々で岩手シシたちの舞歌に似た部分があるように感じる。

〽廻れや車廻れや車 つれて回れや水ぐるまよな

という歌に関しては「水車」しか被っていないが、
岩手県大槌町の上亰(かみよ)鹿子踊に
〽廻れ廻れと水車 細く廻れ(や) 堰に止まるな 堰に止まるな
という歌があるのを思い出す。

また、
〽朝日さす夕日輝く日の下に 黄金づくりの宮が建ちそろ
という歌も歌詞こそ違えど「褒め歌」チックだったり。

〽岩が崩れてかかるとも 心しづかに遊べ友だち
というのは東北シシが踊る「狂鹿」「鉄砲おどり」の
〽天竺の 岩が崩れてかかるとも 心静かに 遊べ友だち
と ほぼ同じである。

〽太鼓の糸をきりりと締めて ササラをさらりとすりこめたよな
というのも「ササラを」以降は様々なバリエーションがあるものの
多くの東北シシたちが
〽太鼓の調べ きりりと締めて ササラを揃え…
と歌っている。ネット情報なので地区や団体は分からないが
これに関しては九州にも似たような歌があるらしいので驚き!

月田の獅子舞の流派「日挟流」は栃木に残る流派だというし、
探ると流派や歌詞の分布からシシの足跡が見えてきそうだ。
(=゚ω゚)!

*千本木龍頭神舞*

前半2団体、後半2団体の公演があって
その間に一回休憩が入ったわけですけどね。
管理人、ちょっとショックなことがありましたよ。
休憩でトイレから帰ってきた小さい子が、
「この後はどれかなー?これかな?」というお母さんに
「帰る。帰りたい。つまんない」とグズり始めた。

あーあー。残念だなー。
この後、いっちばんオモシロイ龍頭神舞なのに。
わかるよ。群馬の獅子舞はさ、
もちろん管理人は大好きなんだけどさ、
動きが緩やかだったり躍動感が
ちびっこを楽しませるにはちょっと足りないってのは。
だからこそ!これは見てほしかったんだよ!
残念ながら帰っちゃったけど。
まぁ、あの小さい子を獅子舞公演に連れてくるお母さんの子なら
まだ今後 面白さに気づくチャンスがあると信じてるけど!

まぁ、気を取り直して…(*´ω`*)
さてさて、モッシャモシャのシシが登場しましたよー!
伊勢崎市千木地区に伝わる獅子舞で
獅子とは言いつつ耳は無く鱗のある「龍」である。
なんてゆうか、見た目がキャッチーなシシなんだな。珍しく。
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ちなみに、三匹獅子舞のシシというのは
前(先)獅子・中獅子・後獅子
または雄獅子・雌獅子・子獅子という組み合わせが多い。
しかし、千本木の場合は少し違って
雄獅子・雌獅子と「鳳凰元」というのがいる。
上の写真で手前に写っているのが鳳凰元。
腰に付けた鞨鼓は「一つ巴」で角は螺旋状。
紫のタテガミ(トブサ)で見えないが、
角の付け根には人面のようなカミサマの顔が彫ってある。

その後ろに小さく写っている雌獅子の鞨鼓は「二つ巴」。
角は龍や鹿の角のように枝分かれし、トブサは赤。

雄獅子が写っていないが、角は螺旋の無いまっすぐな2本角。
鞨鼓は「三つ巴」。トブサは黄色。

普段は昭和62年に制作したレプリカのカシラを使うそうだが、
実は この日使ったのは文化財に指定されている本物のカシラ。
ひぇえええ。貴重なもの見てしまった!

さて、龍というだけあって雨乞いと関連深い千本木のシシ。
通常 雨乞いの舞を祭で舞うことは無いのだが、
去年の秋まつり(宵宮)で披露したところ雨で本祭が中止になった
Σ(・ω・ノ)ノ!
というエピソードが面白すぎて…
いやいや。自爆じゃん。というか効果テキメン過ぎますやん…。

そして、みんな大好き 参加型イベント(?)が
コチラの「ささらぐるい」。
参加といっても一緒に踊るわけじゃなくて、
せどりの藁とかハネト鈴みたいな
「落ちたの拾って飾るといいことある」系のヤツ。


岩手の幕踊り系にも負けない、バサバサMAX!
これは是非、さっきお帰りになった子にも見てほしかった…!

そしてコチラ↓は管理人が大好きな「ボンゼン掛かり」という演目。
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鳳凰元がジッと見ているのは「ボンゼン」。
御幣束のような物である。
東北のシシが踊る「かかす」のように、
人工物におっかなびっくり近寄り
最後には直接触れてみるという流れの演目。

なんかねぇ。このモサモサの体で
前のめりになったり 伏せたりしながら近づくのも
カミサマながらに動物感あって可愛いし、
ボンゼンをつかんで大股で歩き回りながら
周囲をお祓いしてボンゼンふりふりするのも可愛くて。
個人的には「ささらぐるい」の場面より好きだなぁ。
( *´艸`)

携帯が「ストレージがなんちゃら」とか言い出すもんだから
今回は動画あまり撮れなかったのだけど…。
この団体さんは比較的子供や女性が参加したり
いろんなとこで舞を披露しているのでヒット数は多いはず。
宜しければ、検索して誰かが撮った動画見てみてくだされ。
そして、ちょっとでも興味湧いたら 是非現場へ(/・ω・)/!

*羽場日枝神社の獅子舞*
最後の団体は、みなかみ町に伝わる獅子舞。
お初にお目にかかるのだが、
四方に立てた青竹に注連縄を貼り
その中だけで舞うという ちょっと珍しい感じの獅子舞。
コチラは設営風景。室内で数団体出ると場面転換が大変ね。
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下の写真を見ていただくとわかると思うが、
伎楽系の獅子舞のような赤い顔で頭上に宝珠や角を付けた
東京の方などには見慣れた獅子頭だ。
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ゴツい獅子頭に華やかな衣装という組み合わせは
増田神社伊勢大神楽の「魁曲」を思い出す。
シシの後ろでササラスリがササラを鳴らす様子なども
どことなく猿田彦と獅子のやり取りを思い出すなぁ。

…と思ってパンフレットを開くと
「1533年、伊勢の神官夫婦が旅の途中に伝えた」
というようなことが書いてあった。
今日は冴えてるなぁなどとニヤニヤしながら読んでいると
「獅子は撥を持って舞いますが、腰には太鼓を付けず」
とある。ほ、ほんとだ!
バチ持ってるのに 太鼓ないぞΣ(・ω・ノ)ノ!
代わりに、シシと別に太鼓担当がいる!

コチラの団体のシシは
男獅子・女獅子・子獅子の3匹で、
男獅子だけが1本の角。他の2匹は宝珠が頭に付いている。
その獅子の後ろに各々一人ずつ簓摺(ささらすり)が付き、
演目によってはその輪に2人の小太鼓が加わる。

中腰の動作も多く脚の筋肉に限界が来ているのか、
たまに片足で立って制止する場面↓があるが
全員めちゃくちゃグラグラしている。
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でもなんだか不思議なもので、それがあるために
見物客は皆「あ、大丈夫か?」「がんばれ」という感じで
笑いが起きたり拍手が起きたり 会場は一体感に包まれる。
これは…計算のうちなのか?それとも…?

ちなみに、この羽場日枝神社の獅子舞の演目に
「順逆(じゅんぎゃく)」というのがあるのだが、
この部分では 歌が一節終わるごとに
「やぁ順逆よ」という囃しのようなモノが入る。

順逆って何?順番が反対ってこと?
と思ったのだが、
県内の獅子舞を調べてみると吾妻郡のほうでは
どうやら「順逆よ」でなく「やぁジンヤクや」というらしい。
そして、その掛け声は三重・滋賀のあたりにある
「ジンヤク踊り」という踊りの中にも登場するとか。
伊勢から伝わった踊りとはいえ、
遠く離れた地域の思わぬ共通点にビックリですよ。
ジンヤクおどり、見てみたいな。

そんなこんなで、
日本のヘソを自称するだけあって
遠く離れた地域の芸能との共通点や
伝播の道筋を感じた「ぐんまの獅子舞公演2018」でした~!
(*'ω'*)