とまのす

ちいさくゆっくり、民俗さんぽ

願い渦巻く、三の酉。

さて、酉の市については前回書いたばかりだが
都心の「まさに酉の市」という姿もお伝えしたいので連投!
由来などについては前の記事に書いたので省略(/・ω・)/

*新宿・花園神社*
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まずは、よく行く新宿から。
ビルの隙間の参道だが、提灯があるので普段より目立つ。
鳥居をくぐると既に長蛇の列。
参道の両脇には一般的な屋台のほか、
南天箸や切山椒 七味売りなど無病息災を願う伝統的な屋台も。
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南天を見たことがある方は分かると思うが、
南天の枝というのは非常に華奢で箸ほど太いものは少ない。
なので、世で「南天箸」と銘打って売っている物の中には
南天を原材料としていないのに南天箸!
という不思議なものが多いらしいのだ…。
※ここに写っている御店がどうこうという訳ではない

しかし、それでも南天は「難を転ずる」縁起物。
また語呂合わせだけでなく、
実際 葉や枝に含まれる物質が食品の劣化を遅らせたり
水銀などに触れると変色するため毒見的な役割も果たしたとか。

「そうした効果にあやかって健康に過ごしたい」
と願う人たちと
「本物は希少だけどみんなに南天箸を売ってあげたい」
という職人さんの間で生まれた箸と考えると
一概にズルいとか まがい物だとは言いづらいですな。

管理人は、切山椒が好きなので小袋ひとつ買いましたよ。
(*'ω'*)
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さて 花園神社の祭神はウカノミタマ&ウケモチ
古くは三光院稲荷・四谷追分稲荷などと呼ばれていたそうだ。
いま花園神社と呼ばれているのは、
ここが嘗て 尾張藩下屋敷の花園があった場所だからだという。

そこに末社大鳥神社を合祀し
ヤマトタケルさんも本殿に住むことになった!
その大鳥神社の行事として行われていたのが酉の市。
意外にも、始まったのは明治時代なのだとか。

大学の頃 何の行事もない日に花園神社に来たことがあった。
当時からゴテゴテの彫刻や無彩色の社殿が好みだったので
「随分だだっ広い境内だな。社殿もピカピカで彫刻も無いや」
と 大して見ずに帰ってしまった思い出…(´・ω・)

それがこんなに有機的な場所に様変わりするなんて!
やはり 祭りのみならず、
神社そのものも人で出来てるんですなぁ。
村社とかに比べて、やっぱ大きいなあ と感じた拝殿も
今日は一面の提灯と人に埋もれて小さく見える。
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熊手も 所狭しと並んで、キラキラしてますな。
なにより、土地柄 ギャルっぽい姉さん方や
チャラチャラしてそうなホスト感あるお兄さん、
コミュ力高そうな おネエさん方がたくさん!
そして大きな熊手を買って行く!

なんとゆうか、若い人が当然のように
「熊手、あれが良くない?」
「こっちのほうが御利益ありそう〜」
千客万来にする?商売繁盛にする?」
と真剣に熊手トークしていると 嬉しくなってしまうなあ
(*'ω'*)♪
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やはり人の願いあってこその縁起物ですわ。
願いというと綺麗すぎるから、欲と言ってもいいかな。

悪い願いでも 利己的な願いでも
ちゃんとした方法で願えば聞いてくれる!
というのが日本のカミサマな気がする。

管理人はあまり神様にお願いはしないけれど、
実際 講とかでストイックに身近に
神様を拝んで人生の節目節目で願ってきた人が
「カミサマはちゃんと拝めば悪い願いだって聞いてくれんだ」
と地域を問わず言うのを聞いていると そう思う。
そして、日本はそういう神様が人気がある。気がする。

拡大家族から核家族へ、とか
昔は数人いなければ作れなかったような音楽や映像が
パソコン1つで部屋に引きこもって作れちゃったり。
どんどん人が「個人化」しているような話を聞くけれど。

稲が実りますように。獲物が取れますように。
そういう「集団の利益」から
商売が繁盛しますように。健康に過ごせますように。
という「個人の願い」へ。
現代になる前から個人化は進んでたのかもな。
なんて思ったり。
そして、それは決して悪いことじゃなく
そうなったからこそ人の目に触れた人がいて
そういう環境だからこそ信仰を拡大できた神様がいる。
そんなことを思ったり。

*花園神社見世物小屋

ちなみに、この花園神社は舞台関係者の崇敬厚い。
というのも江戸時代、数回の大火に見舞われた花園神社は
社殿再建のために座を設け 踊りや見世物などの興行を行った。
これが花園神社と芸能の 縁の始まりと言われている。

…と言うと昔の話のようだが、
アングラ四天王・唐十郎も花園神社に赤テントを張った。
「見たコトないよ そんなコアなの」と言う勿れ。
天井桟敷の寺山修二や赤塚不二夫とも数々の逸話を残した、
破天荒な劇作家であり役者。大鶴義丹さんのお父様でもある。
舞台芸術以外でも「世にも奇妙の物語」に出演したほか
なんと「おじゃる丸」に声優として出演したこともあるらしい。
さすが唐十郎氏、神出鬼没すぎる。


さて、もちろん境内で上演するのはアングラばかりではないが
見世物や成人向けの舞台など
かつて妖しげな魅力いっぱいだった花園興業。
現在では見世物小屋なんてのも絶滅危惧娯楽(?)だが、
実は 花園神社の酉の市では見れちゃうんです!
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いや、もうね「本日のラインナップ」からし
ヤバいニオイしかしないよねΣ(・ω・ノ)ノ!
樺太から来た野人
・伝説の女総長
・串刺し
・鼻の芸人
・ヤモリ女
・狂ったOL
そして劇団「ゴキブリコンビナート」の看板。
さすが3Kミュージカル劇団、ハンパないです…。


管理人が近づいた時には、
ちょうど「ヤモリ女」が舞台に上がっていたようだが
会場からは悲鳴にも似た声が(;゚Д゚)


最近ストリップ劇場が減ってたりするのもそうだけど、
最近人って「こわい!」「エロい!」「ステキ!」
みたいのを人前で享受する機会が減ったと思うのね。

それは、みんなでお金を出して1つのものを見なくても
自分の部屋で見られたり 個室で楽しむサービスが増えて
それを受け取れる人が増えたからかもしれないのだけど。


祭も舞台芸術も競馬もなんでもそうで
「自分-見る対象」とゆう1対1の関係じゃなく、
そこに歓声や悲鳴を上げたり息をのむ「大勢」がいて
初めて受け取れる種類の興奮や感情の揺らぎがあるわけで。

そうゆうのを感じられる場所が
一つでも多く1年でも長く日本に残ってくれたらと思ったわけですわ。

そんなことを考えながら、一路 浅草へ。

*鷲神社 酉の市*

新宿は既に祭りのようだけれど、こちらは午前0時。
つまり三の酉になった瞬間に色々始まるワケです。
早く着いたので、本日の宿に大きなリュックを置いて目的地へ。
いやー。めちゃ混みのトコに登山みたいなリュック背負ってって
揉みクチャになって邪魔にされるの嫌だからね(´・ω・)

淺草の町は 新宿と違い生活感があって、
やたら厚いコートを着ていても疎外感がない。
(だけどタンクトップの外国人も居て、マジかよって思う)
からしばらく歩くと商店街的な感じになってきて
出店が並ぶ通りが見えてきた。
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この出店ロードの奥がお酉さま!…なのではなく
ココを素通りして矢印方向へ行くとお酉さまらしい。

鷲神社に近づくと、歩道の半分をふさぐ行列が!
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普通に境内に入りたいだけなら並ばなくて良く、
どうやら0時前からの御祭儀に参列するための列らしい。
あとは、0時の鐘と共に「熊手守り」の授与が始まるのだが
「一番に買った人には一番札が渡される」
というイベントがあるらしく早々と並んでいる人も多い。
ただし、境内には数カ所の札所があって
「どの札所から一番札が出るかはナイショ」だそうだ。
単に早く並ぶだけじゃなく、
運を味方に付けないと戴けないワケですな。

鳥居には、もはや熊手本体が全く見えない
豪華な巨大熊手が!
達磨とかまねきねこも、普通に単体で飾る大きさ。
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提灯いっぱいの門、両脇にはボンボンのような大幣を持った男子が。
常に一定の速度で、シャワシャワと振り続けている!
中にヒートテックとか着てカイロ張ってるか知れんけど寒そう…

提灯の多さは花園神社のほうがすごいかもだが、
低い位置に所狭しと並ぶ提灯もイイですなぁ
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参道のすぐ脇にも札所があるため、
参拝の列とお守り購入列を分けるために黄色いテープが。
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警備員さんも拝殿の前だけで大忙しっぽく、
0時過ぎから始まる「鷲舞ひ」について聞こうと思ったが
「ちょっとどの辺でやるかよく分からない…」と。

えぇ!?境内で行なわれる行事については
すべて時間と場所把握してなくて大丈夫なの?
と思うとともに「まさかそんなに知名度高くないの?」と
やや不安になってくる管理人。

しかし、
やさしい警備員さんが神社の関係者の方に聞いてくれて
無事 どんな感じで どのあたりで動くのか確認できたとさ。

舞が始まるまで少し時間があるし、
どんどん混んでくるという様子でもないので熊手散策。
いやぁ。新宿でも「キラキラだ!すごい!」と思ってたけど
もうケタ違いですわ。「熊手商店街」って感じですよ!
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どの角を曲がっても、その先も熊手!熊手!
テントで覆われトンネルのようになった通路が
金色に見えますよ。たまげたなぁ。
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そしてなんと、
サンリオが依頼したと思われる巨大熊手が。
かわいいな!まぁ管理人は「ぽちゃっこ」派だが、
プリンもシナモもかわいいぞ!何Kgくらいあるんですかねぇ。
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あとは、神棚(というかもはやプチ神社)みたいのとか
色合いは地味なんだけど亀が丸ごと乗ってるのとか
他ではお目にかからないような熊手がたくさん…!
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…と散策していると、神社の出口まで来た。
ここで終了かと思いきや、道の向かいは「長国寺」さん!
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前回の「酉の市の由来」で仏教側の起源だとお話しした
あの鷲妙見大菩薩さんがご本尊となっている。
前回は菩薩さんが顕現した千葉・鷲山寺だけ紹介したが、
そこにあった鷲妙見菩薩像が こちらの長国寺さんに移され
浅草酉の市の起源となったという。

中くらいの鈴が5個くらい付いているのはよく見かけるが、
小さな鈴が まさに「鈴なり」になっているのも中々いい音だ。
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「鷲妙見尊」の横に ルビのように「おとりさま」とあって本気と書いてマジと読む、的な感じか…と独りで楽しんでいた。
庇の下まで行くと、鷲の彫刻が。
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ちなみに、こちらの長国寺さんでは
「三の酉まである年は火事が多い」という言い習わしにより
三の酉がある年にだけ限定販売される「火除け護り」がある!
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今年「知らなかった!買い逃した!」という方も、
三の酉は数年に1回くらいあるので
ぜひ次のチャンスに買ってみては?
ちなみに、三の酉まである年には
一の酉・二の酉でも販売されているようですよー。

さて、そろそろ0時を少し回ったので
「鷲舞ひ」が行われる瑞中鷲渡殿へ戻る。

0時に合わせ、各札所では御守の授与が始まり
御守りを手渡す際に巫女さんが鈴をシャラシャラしたり
お坊さんが火打ち石を打つ音が境内に満ちる。
舞の時間に合わせて境内が静まるということはなく、
熊手やさんたちも熊手が売れるたび気合の入った手締めを続ける。

そんな中、最初は笛を吹くオカメ・太鼓のヒョットコ2人が登場。
身長や体格から子供だと思うのだが、
コミカルな動きが板についていて可愛いやら感心するやら。

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3人が演奏を終えると、いよいよ堂々たる鷲が登場。
まずは拝殿方面に向かって舞う。
管理人はその反対側から見ていたので始めは音楽しか聞こえず。
ようやく数分後に姿を見ることができた。
地上に建てた舞殿ではなく渡り廊下のような場所なので、
鷲さんがちょっと奥へ行ってしまうともう見えない
(´;Д;`)

でも、その反作用というか
手前にバサッと姿を見せると見物客たちが
口を揃えて「おお〜っ!」ってなって拍手するのがイイ!
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舞とか踊りとかやってない身で生意気だが
やっぱり芸能は、見た人に「おおー!」ってなって欲しい。
なんてゆうか神様と同じで芸能って「有る」だけじゃ続かなくて
やる人、見にくる人、応援する人、何かあった時リカバリーする人
いろんな人に囲まれていないと絶えてしまうと思うわけで。
だから、観光化されすぎたりするのも考えものではあるけど
人の目に触れる機会が増えたり
おもしろポイントが見てる人にうまく伝わるといいなー。
と考えたりしている。

あヽ(´o`;
当然のように「鷲舞ひ」と紹介したっきり
全く説明なしの放置プレイになってしまった…。

この舞は、神楽によくある演目とかではなく
この鷲神社の地舞として考案されたもの。
平成25年に初披露されたと神社HPで紹介されていたので、
かなり最近作られた舞ということになりますな。

今年の夏に宮城県栗原で創作神楽というのを見たけれど
こうゆう一般に「古くさい」とも思われてしまいがちな分野で
新しい演目が完成して 人目に触れるって嬉しいことだと思う。

上空(?)で舞った後は、地上に降りてきて
熊手テント街を練り歩くので近くで見ることができる。
ぱっと見では烏天狗のようにも見えるが、
よく見ると ちゃんと猛禽類の顔をしている(*´ω`*)
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この舞によって邪気は払われ、
熊手で掻き込んだ福を 存分に迎えることができるワケだ。
管理人の場合はここで 風邪菌も掻き込んだようで
この2週間後くらいに熱を出すことになるワケだが
(´・ω・)
ともあれ寒さが厳しさを増しますが、
寒い時期こそ行事ラッシュ!
皆様も体調に気をつけつついろんな行事楽しんでくださいな

(*´ω`*)♪