とまのす

ちいさくゆっくり、民俗学。

シシの故郷の菅原神社。

4/21朝、管理人は新幹線に乗りながら考えていた。
とりあえず岩手には向かっているが、
日曜日は結局どこに何を見に行こうか。

候補としては
中根子・地蔵堂の上根子神楽
大迫・大償神楽 春の舞
舞川・菅原神社の鹿子踊り

駅から近い上根子神楽に一票、
3年に一度とお貴重な菅原神社例祭に一票、
かねてより憧れている大償神楽に一票、
東京や東北六魂祭で見たことがあり
なんとなく愛着を感じている上根子神楽・鹿子踊りに各一票…

うーん、こいつは接戦だ。
車に乗れればハシゴもできるが、
二級危険運転士である私がレンタカーなど借りたら
地域の皆さんにもレンタカー屋にも家族にも迷惑だろう。

…というようなことをSNSでつぶやいていたら
友人になっていただいている鹿子踊りの踊り手さんが
「一関でピックアップできるかメンバーにきいてみようか」
という超☆棚ぼた提案が!!!何と恐れ多い!
例えばジャニヲタに置き換えてみてくださいな。
「地方でライブあるけどペーパードライバーだから歩いていく」
ってツイートしたら 偶然ソレを見たアイドル自身に
「これからゲネプロだから車でピックアップしてあげる」
って言われたようなもんですよ!
ジャニヲタじゃないのでよく分かってないし、
そもそもライブのリハもゲネプロっていうか分からんけど。

ちなみに、舞川と一関の距離感はこんな感じ。
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まぁそんなこんなで今年の運を使い果たすレベルの僥倖により
なんと行山流舞川鹿子踊りの練習を拝むことが出来、
さらには採りたての たらぼ(たらのめ)の天ぷらと
お風呂&フカフカお布団を恵んでいただいたのであった。
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↑敷地内で採らせていただいた たらぼ。

そんなわけで(遅くまで飲んではいたが)
心身ともにハイオク満タンな朝を迎え、
泊めてくださった鹿子踊りの方たちとともに伝承館へ。
(神社直行でなくココで準備をするとのこと)
みなさんが慌ただしく準備をする中
置いてある装束などを少し見学させていただいた。

その後は 一旦お暇して単独で神社へ。
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のどか~な風景である。
たんぽぽも咲いて、いい季節。

岩手には巨石が多いというが、
石碑や庚申塔など全体的に大きい。そして多い。
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境内では既に今年厄年の方が集まり、神輿の準備。
(御輿を担ぐのは厄男さんたちなのだそうだ)
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前日の夜聞いた話では、
菅原神社の神事自体は毎年やるのだが、
今回のように「お祭り」的な行事となるのは3年に一度。
なので、担ぎ手は本厄+前厄・後厄の方も入って
ちょうどよく3年周期で回っているのだとか。
ちなみに神輿を担げるのは男性だけらしく、
女性はスーツに神社の法被という姿で後ろの方に控えていた。

そして、なにより気になっていたホルスタイン神牛と対面!
ピックアップを提案してくれた方がやっているシシ踊りが
「行山流舞川鹿子踊り」というものだと知った時、
どこの神社をホームにしている踊りなのか調べていて
この衝撃的な神牛の写真を見つけたのである。
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何より面白いのは、同じ方が作ったであろう説明板に
「道真公のピンチに どこからともなく黒い牛が現れて」
とゆうようなことが堂々と書いてあることである…
(*´ω`*)黒くないやんけ…

このカラーリングに関しても昨晩訊いてみた。
私の知り合い(40代)の方は
「そういえばアレ誰がいつ塗っちゃったかな」
と言っていたが、泊めていただいた家のおじいちゃんが
「や、アレ最初からああだった」と。
奉納された当時を知っている方が言うなら間違いない!
さらに「牛ったらこういうもんだと思ってたのかもね」と。
まぁたしかに酪農の盛んな土地で育ったら
「牛=ホルスタイン!」
とゆう刷り込みも当然といえば当然か…?
とにかく長年気になっていた牛さんについても
いろいろ聞けてよかった~。

神社の拝殿はこんな↓感じ。
中は薄暗くて上手く取れなかったが、
入った両脇に左大臣・右大臣がいる様子。
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神輿の出発までまだ時間があるようなので、
境内社を見てみる。
立て札があって非常に助かった…。
なければどなたが座す神社だか分からず
眺めて終わってしまった。

まずこちら↓は「若木神社」と書いてある。
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管理人の知っている若木神社と同じ神様であれば
秋田生まれの天然痘・疱瘡除けの神様のはず。
発疹の出る病気に効くとあって、
本家若木神社では皮膚病平癒を願う人もいたとか。
(読みは「おさなぎ」神社ですよー)

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次は「大日霊(おおひるめ)神社」。
オオヒルメはアマテラスさんと同じ神様とされることが多い。
アマテラスはイザナギ夫婦の三貴子であり
また天皇家と関わりの深い伊勢神宮におわすので、
どことなく「最高神」的な特別感を醸しているが…
それに対し「オオヒルメ」は彼女を単に
太陽の女神(+それに伴い農耕神)的な意味で祀る
というニュアンスが強いような気がする。

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そして山神社。
山の神といえば箱根駅伝…ではなく
オオヤマツミやオオヤマクイ、オオモノヌシ。
そのあたりが連想されるだろうか。
しかし、社でなく石仏風の像のみが祀られている。

御幣?大幣?を持っているので、
山岳密教系の仏様とかではなさそう。
社殿はないが神道系なのだろうか?
それとももっと古層の土着系の…
姥神さまとかソレ系の神様なんだろうか。
社殿で覆わず覆殿的に屋根だけで守られている。

管理人が気になったのは、
屋根の骨組みに付けられている
この(玉入れの)玉のようなもの。

岩手という空間的繋がりで 思い出したのは
遠野のカッパ淵にあった紅白饅頭のようなもの。
そちらはどうやら妙見信仰に基づく乳神さん
(布で乳房を象ったものを作り母乳が出るよう祈願)
だったのだが今回は形がちょっとソレっぽくない。
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どうなんだろう。
その手のものは どの地方でも、
乳房を象るというだけあって饅頭型が多い。
しかしこれはちょっと米俵型である。
赤いのに関しては、もはや唐辛子のような形だ。
遠野の紅白饅頭との関連性、自信がなくなってきた。

「何言ってんの?山神様と紅白の布と言ったらアレだよ」
という方がいたら是非ご教示願います…

さらに、その三社の後ろには手すりと坂があり
登ると横には本殿が見える。
拝殿とは結構な高低差だ。
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そして、その手すりの先には八臂弁財天。
頭上に鳥居があるので宇賀神も乗っていると思われる。
(宇賀神=おじいさんの顔をした蛇体の神様)
不明瞭だが、頭上の鳥居の中の
こんもりしたモノがそうだろうか…。
余談だが、サッカー選手の宇賀神の名字を見たときは驚いた。
何地方のどんな氏族出身か非常に興味ある。
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しかし、この大きな川のない舞川で
しかもこの水害もなさそうな高い土地で
なぜ弁財天なのか?
と、実際神社にいるときは思った。

しかし 帰って地図を見れば舞川は広く、
北上川に近い平地までもが舞川なのである。
それも、北上川が大きく湾曲した弧の外側。
洪水などで川が決壊すれば外側の方が被害は大きいだろう。
そして、管理人の行った地域は一関市街から見ると山だが
地形のわかる地図で見ると山あいの低地だった。

実際に災害が起きているか検索すると、
思いの外すぐにたくさんの記事がヒットした。
それだけ被害が大きかったということなのだろう。
具体的には、昭和のカスリン・アイオン台風。
2度とも磐井川が氾濫し市街地は被災。
カスリン台風では死者・行方不明者100人超え。
アイオン台風に関しては473人が犠牲になっている。

後者の方が氾濫時の水位は低かったようだが、
2年連続で台風に見舞われたために
前年の被害から復旧途中での被災であり、
また夜間だったことも被害拡大の要因かもしれない。
詳細は、参考にさせて戴いたこちらを読んでいただきたい。
伝えたい、あの記憶 - 一関市

こちらの画像は
岩手河川国道事務所さんのホームページから。
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この地図の「第3遊水池」あたりから下が
(画像には入りきらないが)舞川地区となる。
低地の周りに堤防を築き 氾濫をプールすることで、
被害が市街地に及ぶことを防ぐという方法である。

うーん、結局この弁天様は
水害が多い地域だからというより
水害の際に助かる場所と示す弁財天さんか?
それとも水害に見舞われていた地域から
合祀みたいな形でやってきたんだろうか?

前日に一回神社を下見して、
生き字引なおじいちゃんに聞いてみればよかった…
と後悔(´;ω;`)
ちなみに弁天様の近くに小さめの梵鐘があった。
災害用時の警報用か、純粋に仏教的梵鐘かは謎。


さて、管理人がそんなことをしていると
定刻になったようで拝殿の前に神輿が移動。
本殿→神輿へと神様に移動していただくのだろう。
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そうしているうちに準備を終えた鹿さんたちが、
太鼓の音とともに道を歩いて登場。鳥居の前に並ぶ。
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もともと門付け芸(寿ぎや供養のため家々を回って演じる芸能)
であるため、踊るときに歌う「舞い歌」のほか
その場所を褒める「褒め歌」というものがある。

相変わらず 完全には聞き取れないが
というか管理人は日常生活でも
人の言っていることを年中聞き違えているので諦めよう。

立った状態で始めに歌っているのは
「太鼓の調べきりりと締めてささらを揃え」
(調べ=太鼓の皮を張っている調べ紐のこと?)
つまり自分たちの仕度について言及しているみたい。
そして褒め歌は
「参り来てこれの(や)鳥居(を)見申せば
  二本柱は白金(しろかね)の
 笠(かさ)と貫(ぬき)には黄金(こがね)なるもの」
と聞こえる。違ってるかもしれないけど…

つまり、神社に到着してみたら
なんてすばらしい鳥居なんだろう!
って感じで褒めてるんですな。
管理人は殆ど神社以外で見たことがないので、
門褒め・家褒め・庭褒めなどは聞いたことない。
神社では この「鳥居褒め」が多いように思う。

本来は結構即興性を求められるものらしく、
昔、ある屋敷の家長が
「ちょっと仲立(シシのリーダー的な人)を困らせてみよう」
と褒めづらいような料理を出してみたり、
また武家の方は賜りづらいような刀や冠(だったか?)
をあげると言ってみたり…etc
みたいな記録が残っているらしいのだが
(それぞれ別の本に書いてあったような気が。出典忘れ)
いずれの場合も見事に即興で褒め歌を返され
一本取られたね、みたいな笑い話が多いようである。

さて、
それが終わると、いよいよ氏子地域への行列。
ただ登るのも(そこそこ)しんどい階段を
ゆっくりと注意深く神輿が降りてくる。
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階段もさることながら、この注連縄も難関っぽかった。
鳳凰がバサバサぶつかっている(;゚Д゚)
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さらに、神籬(ひもろぎ)・猿田彦・御供物と続き…f:id:ko9rino4ppo:20180425214148j:image
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道に出てからは法螺貝を持った方がその前に立っていた。
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階段は草履→道ではちゃんと高下駄になっていた。

その後ろに民謡流し的な方々が続き、
鹿子踊りがしんがりをつとめるというフォーメーション。
(民謡流しのBGMが、やや不調だった…)f:id:ko9rino4ppo:20180425214414j:image
鹿さんたちのそばにいたので気づかなかったが、
道に出てからは いつの間にか神馬ちゃんが合流していた。
鹿さんたちを見に来たはずが 馬愛がはみでて、
ストーカーのように神馬ちゃんの周りをウロウロし
あらゆる角度から写真を撮りまくる管理人。
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行列の休憩中、
馬を眺めてニヤニヤいている私に気づいたのか
馬を曳くお兄さんが 配られているジュースをくれた。
(子供だと思われたか?)
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前髪まとめてる!Kawaii!…ビニテ、取るとき痛くない?
そして目の上擦りむいてしまっている…。

飼い主さんらしきおじさんに話しかけると、
なんと「チャグチャグ馬コ」の先頭馬を勤めている子だとゆう。
草モリモリ食べてんのに鼻とか頤とか触りまくってごめん…
可愛くて つい(*´ω`*)

大きなおしり!きれいな模様!
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…そういうえば、以前 チャグチャグ馬コを見ていて
他の観光客の方が自分のお子さんに
「みてごらん、道産子だよ!おおきいね!」
と言っているのを見て訂正したい気持ちでいっぱいだったことが。
道産子じゃない!道産子は日本の在来馬で、小さいんだ!
ばんえい競馬の「ばん馬」と勘違いしていないか父さん!

道産子ちゃんは木曽馬や与那国馬などと同じ国産馬。
基本的に日本の在来馬はモンゴルの馬がルーツらしく、
体型もソレに準じている様な感じだ。
ポニーよりはスラッとした体型で、おとなしめ。
身体も強く扱いやすい とっても日本に向いた馬なのだ。

だが、北海道の開拓や産業の効率化を進め
更には戦争へと向かう時代が来た。
御上の意向で 馬匹の大型化が図られるようになり、
小型の馬である在来馬は去勢を余儀なくされ
一度は絶滅してしまったりもした。
(そして今も、天然記念物に指定されはしたが減少し続けている)

そんな流れの中、日本にやってきたのが
フランス生まれの「ペルシュロン種」。
ちなみに この子もノルマンディー地方出身らしい。
せっかく遠く東の果て・日本に来て、
地元に根付いてくれたペルちゃんたち。
現在はこうした祭事以外にはあまり仕事がないそうだ。

祭りを守るためには馬っこたちは必要で、
でも農耕も機械化され荷物もトラックな現代。
馬を飼っていることで上がる生産性と比べると
経済的な負担の方が上回ってしまうことがほとんどらしい。

普段乗馬クラブでお仕事している
アラブ馬ややサラブレッドたちですら、
結婚式場や歴史祭り的なものにバイトに行っている。

祭りを担ってくれている馬や飼い主さんのためにも
保護したり指定するだけでなく
良いお仕事が色々広がったらいいなと思う。
森を傷つけない 木材の馬搬とかね。
…ハッΣ( ・∀・)馬が可愛すぎて脱線した…

特に今回の祭りでは ここに寄ったりはしないが、
行列の途中にお寺さん発見。
曹洞宗の常川寺(じょうせんじ)さんというらしい。
山門前には石碑・石仏が何体かあった。
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表面が磨耗してしまい、
仏さんの種類までは判別が難しい。
(分かる人は分かるかもしれないが)
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そして、左側に小さめのお堂。
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中はこんな感じだった。
四角っぽい帽子をかぶった像がいくつも転がっている。
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仏様じゃないっぽいいけど閻魔様かな。
それとも、ほかの十王様たちも全員揃っているんだろうか。
(閻魔様が有名だが、地獄の裁判官は10人います)
そして真ん中には掛け軸。ご本尊様一尊の絵ではなさそう。
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13尊いらっしゃるので、おそらく「十三佛」。
亡くなった方が無事極楽へいけるよう手助けしてくれる
と言われている仏様たちだ。

そして池。棚田の名残みたいな自然な感じの池。
姿はよく見えないが大きい鯉的な魚が
たまに「ボシャッ」と虫を食べにあがってくる。
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季節も良かったのか、花がたくさんで美しい。
その花たちに囲まれて、道の脇に猟友会さんの鳥獣供養塔。
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曹洞宗なので、禅宗らしい彩色なしの彫刻。
でもかなり造りが細かくて素敵。
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さて、無事行列が終わった後
一行は舞川市民センターへ。
といっても学校の体育館レベルの大きさで、
管理人の町内の公民館とは全くレベルが違う。

そして広場に神輿を置き、
神職さんや氏子総代らしき人たちが集まっている。
御神輿を担いだ=厄年の方たちと神事をしているみたい。
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それが終わると、いよいよ鹿さんたちの出番!
(*´ω`*)
こないだ多摩動物公園では雌鹿隠しだったけど、
今回は…三人獅子?三人狂い?(←演目聞き逃したやつ)


菅原神社例祭(2018.4.21)


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相変わらずの跳躍力!
しかも今回は若シカさんが多く平均年齢低めらしく。
春の始まりにエネルギー補給できた!
この充電を使って来たるGWに備えるぞ!
(と書いているのはGW真っ只中。更新遅くてすいません)