とまのす

ちいさくゆっくり、民俗学。

ダイブで祓う 出来島あばれ神輿。

今回おじゃましたのは、
熊谷市出来島地区の「出来島あばれ神輿」。

去年のこの時期は
地元・前橋市の大胡で「あばれ獅子」を見た気がするが、
何かと暴れたい時期ですかね。 \暑いぞコノ野郎!/ 的な?

…にしても、熊谷の祭りと聞いて
「熊谷って駅大きいよね?都会だよね?駅から近いかな!?」
と期待したのだが、管理人がバカだった。熊谷と言えども広いのだ。
今回の目的地・出来島地区は
埼玉側の熊谷駅からも 群馬県側の細谷駅からも徒歩約2時間!

ということで2時間歩く覚悟を決めて、
駅近くの冠稲荷神社に寄りたいので細谷駅から行くことに。
歩いていると何やら看板が。
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出ました。全国放送で(たぶん)一番群馬が出る番組。
太田やきそばは知ってるけど、モツ煮も有名だったのね…。
群馬県みんなのに知らなかったわ。

そしておよそキツネとは思えない
ハムスター風の狐が描いてある冠稲荷神社を過ぎ…
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またしばらく歩くとお寺がまさに新築中。
ほうほう。こーなってんのかぁ。
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そしてやっと利根川周辺にたどり着いたが、
ここからが妙に長く感じる。
なにせ 向こう岸に見えているのは出来島地区なのに、
橋が架かっているのが遥か彼方なので橋まで超歩く!
蒸し暑いよぅ。朝は小雨だったから油断したよぅ。

川のあちらとこちらで行政区は違えども、
一昔前までは船による往来が盛んであり
文化的な交流や商売での行き来も多かったと聞く。
うん。そうだよね。舟つかうの、正解だよ。
橋まで歩くなんてやってられないよ!
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↑何だろう この塔…。(朦朧)

そして、やっと橋を渡る管理人。
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今年の梅雨は雨が少なく、水量が減っていると聞く。
が、表面は穏やかながらも底ではズンズンと海へ向かっている。
上毛かるたでも「坂東一の川」と称される利根川である。
見ていると少しだけ元気が出てくるような気がする。

この川のまわりで 昔の人たちは
アンバさまに商船や渡し舟・漁船の安全を願い、
摩多利神に病が流行らぬよう願ってきたわけか…。
と 1人でしみじみ。

「ついていけねぇ!」「何の呪文を唱えてるんだこいつは!」

という方はサラッとスルーしてやってください(笑)
もしアンバさまについて興味を持って戴いたら、
福島県の海岸沿いの神社を訪れた記事の後半
久ノ浜諏訪神社の項でも少しだけアンバさまに触れています。

摩多利神さんが気になった方は
群馬県前橋市関根町の金剛寺さんの記事もどうぞー。
(過去記事の押し売り(´・ω・`))


そして、橋の上から 草むらの中で休むネコ発見!
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きっと猫は今も誰にも見られていないつもりだし
草が長いから この角度から見ている自分以外に
この猫を発見した人は一人もいないはずだ。
と思うと不思議な気分になってくる。
誰にも行き先を伝えずに遠くへ行った時の気分と似ている。

いま世界中の誰もどこにいるか知らない者の位置を
自分だけが知っているという不思議な感じ。

そんなことをして少しぶっ飛びながら歩いていると、
川沿いに神社らしいものを発見!
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堤防の横の細い敷地にちょっと窮屈そうに神社が!
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拝殿らしい拝殿は無く、
金属の骨組みと合板の屋根に守られた本殿のようなものが。
扁額には八幡宮と書いてあるのが見えた。
地図で調べても載っていないので神社庁への登録が無いか
神主さんの居ない神社なのかもしれないが彫刻はなかなか見事。
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そして、覆殿(と言っていいのか この骨組みを)の横を通り
本殿裏の方へ行ってみるともう一つ小さい社があった。
真ん中の御札には「三峯」の文字が見える。
そして両脇の札には「御眷属拝借」云々と書かれている。
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三峯といえば秩父の三峯山。
三峯神社といえばオオカミ狛犬であることからも、
狼信仰圏であり「御眷属様」といえばオオカミである。

オオカミ信仰(大口真神・御眷属様)は
武甲山・三峯山など秩父の山々のほか、
御岳山など奥多摩エリアもシマとしている。

さらには山岳での信仰にとどまらず、
畑を荒らす害獣を食べる→農民に人気!
繭をかじるネズミも食べる→養蚕農家も助かる!
とゆうかんじで農村にも「御眷属様」は広まった。
そんなわけで関東の農村(特に養蚕が盛んだった地域)では
ふと 御眷属様の札を見かけることは多い。
このあたりの村でも、講を組んで三峯山に行ったんだろうか。

さぁ、しかし今日は狼信仰の話でなく
八坂神社のあばれ神輿である。
しかし、出来島地区の地図(go〇gle map)を拡大して
ようよう確認しては見るものの八坂神社という神社は無い。
神輿の巡行経路もタイムテーブルも何もわからないが
とりあえず主催の神社に行けば何とかなると思ったのに!

でも、管理人はどこへいっても
まずお稲荷さんに挨拶することにしている。
ので、とりあえず「伊奈利神社」という神社に向かってみた。

すると…

伊奈利神社が八坂神社になっているではないか!
鳥居の上の小さな扁額には「伊奈利」の文字が見えるが、
それよりはるかに大きな文字で「 八 坂 神 社 」と書かれている!
しかも、網戸のような謎のシースルー素材(笑)
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境内には地域のジジババが集まって
こぢんまりながら活気と懐かしさがあってイイ感じである。
祝日的な旗や、ガンガンに回っている扇風機もイイ。
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さて、今あばれ神輿は地区内を練り歩き
家々の入り口で暴れているところだろうとは思う。
が、管理人は少し疲れた。(暑すぎた…)
しばし、この境内で休憩だ。

そして、夕方4時ごろに神輿が渡御するということで
4時ちょっと前に川べりに移動してみる。
超高そうな一眼レフを持っているおじいちゃんたちに
「去年はここから入ったよ」
と聞いたので、とりあえずこちらで待機。
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後で調べると、この土手には昔、
参道と旧社殿があったとのことだった。
伊奈利神社が昔はもっと川の近くにあったのか。
それとも、昔はココに八坂神社があったが
伊奈利神社に合祀されているのか?もう少し調べてみよう。

そして、待機すること数分。
関係者らしきおじさんたちが現れ、
「今年は水位が低いからもっとあっちから入るんだ」
と教えてくれた。ので、カメラおじいちゃんたちと移動。
上流から現れた舟のおじいちゃんも加わり、
水の深さを見たり 川底の大きな石や流木をどける作業が始まった。
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だいたい、大人がまっすぐ立って腕を真横に広げて
水面が腕の高さになるくらいの場所を選んで飛び込むらしい。
そして、同じ深さでも場所によって流れの速さが違うので
なるべく流れの無い場所を選んでいるようだ。

おじいちゃんたち、かっこよすぎです!
全てがサマになっている!
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そして、地区を練り歩いていた神輿が登場!
鳥居を持ったおじいちゃんに続き土手に降りてくる。
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もっとこっちだ!まっすぐ入れろや!もっと前来い!
等々オラオラしながら神輿は川へ入ってゆく。
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そして、ついに飛び込むのか?
とおもいきや、いったん神輿を完全に川底に沈めて
おじさんたちは一升瓶で日本酒の回し飲みを始める!
「誰かライター無ぇかー!」といいながら、タバコも吸い始める!
ちょいワル祭りかっΣ(;゚Д゚)
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そしてみんなでウェイウェイしながら
フタの開いた一升瓶を川に落とすハプニングもありつつの、
その次の人からは川の水混じりの日本酒を飲むという…。
なんだか笑顔になってしまう雰囲気である。

見ていた地元のおじいさんの話では
昔のあばれ神輿は地区の練り歩きももっと激しく、
お賽銭をケチる家では門を壊す勢いで暴れたらしい(笑)
ちなみに 何もそれは出来島に限った話ではなく、
「暴れ〇〇」と名の付く門付けや神事・祭りでは
大体そんなノリだったらしい。暴れ獅子もそうだったのか?

そんなことを考えているうちに、
川の中では酔った男たちが神輿を取り囲み始めた。
「神輿を手荒く扱うほど神様が喜ぶ」
と言って橋桁にぶつけたりする祭は見たことがあるが、
なんと川の中に神輿を縦に立てる!
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そして、がっちりしたオジサンが神輿の上にしゃがむと
その肩に法被姿のオニーサンが乗り…
オジサンがぐわっと立ち上がってオニーサンを持ち上げる!
…この地区の男性は日頃から、
2本の棒にバランスよく立つ練習をしているんだろうか。
そして! ついに!
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飛んだ!
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このあと、周りにいるオジサン&オニーサンも
順次飛び込んでいく。
かっこよく飛び込める人もいるが
中には棒の上でバランスをとるのがやっとで
半ば落ちるように飛び込んでいる人もいたり(笑)
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それを見て、土手で見ている人↓も
「がんばれー」「今の何だ!」「いけー」
と運動会でも見ているかのように盛り上がっている。
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まぁ、そんな様子を動画でどうぞ。


出来島あばれ神輿


なぜ飛び込むようになったかまでは分からないが、
この「神輿を川に入れる」というのは
対岸の集落との文化的交流から来ているらしい。

そもそも、昔 このあたりで「祇園祭」といえば
世良田(善財の群馬県太田市)の祇園祭だったのだそうで。
出来島周辺の人々も川を渡って祇園祭を見に行ったとか。

そして次第に周辺でも世良田の影響を受けた祭りが拡がり、
いつしか出来島地区では 世良田八坂神社の神輿を新調すると
その「お古」を貰って祭に担ぐようになったのだそうだ。
その受け渡しの際、世良田の神輿を川に流し 出来島で引き上げた。
そこから出来島の「神輿を水に沈める動作」が出来上がったのだ!
というが…飛び込む動作は一体どこからなんだ。
現在使用されている神輿は、
昭和9年に地元の職人さんが作ったモノらしい。
簡素なので飛び込むという行為にばかり目が行ってしまいがちだが、
なかなか歴史のある神輿なのである。

そうして対岸から多大な影響を受けて生まれた
「出来島あばれ神輿」。
謎も多いが、川に飛び込むことで禊(みそぎ)のように
災厄を洗い清め流し去るという意味がある、らしい。

ちなみに、この出来島地区の少し内陸には
「男沼小学校」などの名称が見られることから分かるように、
むかし(中世の頃)は このあたりを男沼と呼んだそうだ。

そして刀水橋~さっきの八幡神社あたりは「女沼(めぬま)」。
(現在は「妻沼」という表記になっている)
この妻沼地域には熊谷が誇る
もう一つの「あばれ神輿」が残っているのだそうで。
ソチラのあばれ神輿は「立てて飛び込む」のでなく、
川に担ぎ込まれた神輿の上で複数の男性が
四方から よじ登って力比べをするのだそうだ。

その神輿はぶつける用ではないので見た目も少し豪華で、
また作られた時代も少し古いとか(明治初めごろらしい)。
葛和田大杉神社の例祭でみられるとのことなので、
今度はぜひそちらも見たい!
熊谷市指定無形民俗文化財になっているらしい)

ちなみにスッカリ失念していたが、利根川の群馬側は太田。
そして小泉駅という名前に惑わされて認識できていなかったが
少し歩くと大泉だった。グンマーのブラジリアンタウン(?)である。
見るつもりはなかったのだが奇しくも「大泉まつり」が行われ、
思いもよらぬタイミングでグンマーのブラジルを体験した管理人。

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町の中では当たり前のように
ワガママボディ―の女性たちが踊っている!
そして普通に路地でDJ的なオニーサンが
大音量で曲を流して道はディスコ状態に。
道が混んでいたせいで管理人は電車を一本逃し
結果的に40分くらい次発を待つ羽目となったのであった…。

なんかこう見るとブラジルのコスチュームって
ペルー寄りな所もあるのね…
外国の文化についてはほんとに全然ヒヨコ並みだわ…。

そんな喧騒から逃れて、再び上毛電鉄
時期によっては祭列車になっているが、今時期は風鈴列車らしい。
風鈴と女子高生、いいねぇ。
体力に余裕があれば、もっとブラジルを楽しみたかったが
おとなしく風鈴に囲まれて女子高生を眺めながら帰りますー。
もう歩き過ぎと蒸し暑さで限界~(´・ω・`)
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