とまのす

ちいさくゆっくり、民俗学。

イカリとカメと大杉神社。

銚子電鉄アジサイ

貯めこんでいた神社を消化していくぞー。
というわけで、浅草の鷲神社の記事はまだ書いていないが、
千葉の神社の記事を少し進めますー。

今回は銚子電鉄に乗って千葉の先っちょへ。
銚子周辺は街路樹や線路沿い等なにかとアジサイが咲いていて
管理人の中で勝手に「アジサイな街」のイメージが定着。
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緑の可愛い電車に乗って、アジサイのあいだを潜り抜け、
終点・外川駅に到着~。
駅周辺はレンタサイクルの人がたまに通る程度だが
少し歩いて住宅地を歩くと、案外人がいる。
(私鉄の終点とて、我らがグンマーと比べちゃいけないか…)
そのまま住宅地を抜けると
おお…当たり前だけど普通に港町じゃ…。
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海が苦手と言っておきながら今年はしょっぱなから
江ノ島(児玉神社)・福島(秋義神社)・和歌山(恵比須ノ宮)
と…海の間近にある所ばかりに遠出している気がする。
そういう年なんだろうか。

*大杉神社*

さて、外川駅から徒歩10分ほどでコチラの大杉神社に到着。
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狛犬はかなり顔面崩壊気味である…。
潮風の吹く町というのはモノが劣化しやすいイメージだが
石やコンクリートもそうなんだろうか?
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そしてこちらの狛犬は草食系(*´ω`*)
葉っぱを食んでいる(笑)
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その奥には階段の上に広がる境内。
木の種類や草の生え方のせいなのか、
なんとなく海の近く(群馬より)南寄りに来たなぁ…
と感じる。木の種類には詳しくないが、
なんとなく草木の形と気候って繋げて覚えているモノなんだろうか。
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たとえば、花の名前が分からなくても
植物がたくさん生えている堤防の写真を見れば
なんとなく「夏っぽい」か「秋っぽい」かは判断できる。
それは無意識に、春にはどんな色の花が咲いている
秋にはこんな形の種が付くと覚えているからじゃないだろうか。

*謎の棒が埋まっている*

まぁまぁ、それはさておき
境内の隅っこに鬼の金棒のようなものが刺さっている。
エクスカリバー的なヤツだろうか。
埋まっている部分がどんな形状だかわからないが、
鬼の金棒のように先端が丸くて先に行くほど太いとしたら
まさに「鬼のような」怪力でないと
こんな風に地面に刺せないのではないだろうか?
これは一体なんなんだ…。
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同じ千葉で金棒と言えば、篠籠田(しこだ)の獅子舞で
三匹獅子舞を先導する「金棒もち」が思い浮かぶ。
しかし、その「金棒」とは鬼の棍棒のようなものではなく
地蔵菩薩の錫杖のような細めの金属棒である。

だったら何なんだ。海の近くだからまさか…
碇の上の部分か?かえしの部分は埋まっているのか?
でもそれって危なくない?碇ってこんな細いんだっけ?
とアレコレ考えていたが、
同日に訪れた川口神社で「埋まっていない碇」を発見!
謎は解けたのであった(/・ω・)/イェイ!

後ほど外川駅で拾った情報によると、
私のような山しかない県の人間には思いもよらぬことだが
「航行の途中で他の船が落とした碇を発見する」
というのはタマにあることなのだそうで。

海の神様は大層金物を嫌うので、
漁師たちは落ちている碇を発見したら
その怒りに触れないよう必ず拾って帰って来たのだとか。
その拾ったものを神社に置いたり埋めたりするらしいので、
この大杉神社や川口神社のほかにも
碇の置いてある神社があるのかもしれない。
海のカミサマは女性を嫌い、死体を好む。
その特徴が鍛冶のカミサマに似ている気がしたので、
かってに海神は金属そんなに嫌いじゃないと思っていた…。

まぁ、実際問題として浅瀬に碇が沈んでいたら
座礁(って言うんだろうか)的なことも起こり得るし
お互い、鎖が切れて知らずに落としちゃうこともあるから
見つけたら拾おうね という暗黙の了解が伝承化したのかな。

*大杉神社と摂社たち*
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さて、本題にたどり着く前にヨリミチしてしまったが
肝心の大杉神社に近づいてみる。

遠目に見ると小さめだなぁという印象。
しかし、近づいてみると彫刻がなかなかスゴイ。
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社殿の正面両脇の彫刻。
滝を昇る鯉も 表面は劣化しているとはいえ
透かし彫りのように深く掘られた部分があり
同じ水でも流れ落ちる滝と滝壺、水しぶきが
遠近感のある表現で彫られている。
向かって右側は木目の出方もとってもキレイだ。
個人的にはとっても気に入った(*´ω`*)

ではこの社にはどんな神様がいるのか?
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銚子は利根川が海に流れ込む土地 ということもあり、
この土地で「大杉神社」と言われれば
アンバさま総本宮・大杉神社からの勧請かと予想される。
茨城県稲敷に鎮座し、利根川流域をシマとする神社である)
そこの主祭神は倭大物主櫛甕玉命(オオモノヌシ)だ。
一方、今回の大杉神社はサルタヒコさんを祀っている。

祭神が違うから別系統か?と考えることもできるが、
サルタヒコの容姿が天狗風であることを考慮に入れたい。
今回は中まで見ることはできなかったが、
どうも社中には烏天狗と天狗の面があるという話だ。
モトは稲敷の大杉神社から勧請したオオモノヌシ様であったが
天狗の面が祀られているために
いつしか祭神がサルタヒコとされた可能性も無くはない。
茨城の大杉神社にも大きな天狗面があり、
 烏天狗・鼻高天狗は「願い天狗・叶い天狗」と呼ばれ人気である。
 祭神でもない天狗がなぜ大杉神社のマスコット的な立ち位置かは
 過去の記事津波と神社と 念仏おどりの中で
 後半「久ノ浜諏訪神社」の項に書かせていただいてますー。


*カメ信仰*

祭神考察はこれくらいにして もう一つ注目したいのが、
神社横に無造作に立てかけてある流木のようなものだ。
あまりに無造作過ぎて重要なものだというセンサーが全く働かず
惜しくも写真を撮ってこなかったのだが…。
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写真の右下。
社殿と柱の間に かろうじて板切れの様なものが写っている。
これ、俗にいう「カメの枕」なんだそうだ。

カメの枕というのは、
(実際カメはどういうつもりか分からないが)
たまに海面に木片を抱えたカメがいるのだそうだ。
ウミガメとて魚ではないのでたまには
ゆっくり肺呼吸をしたくて浮き輪代わりにしているのか、
はたまた「いかにもカメです」という風に浮いていると
天的に狙われるため木片と一緒に浮いているのか。

とにかく人間(ことに漁師)にとってコレが何なのかといえば
漁運を引き寄せる御守りである!
枕を抱えているウミガメを発見したら、
その枕をもらう代わりに必ず持っていた木片をあげるそうだ。
(たしかに、もらう一方では逆にバチが当たりそうだ)
持っていた木片を取られても逃げもせず、
相手が急に差し出してきた木片を甘んじて受け取るとは…
水中では体当たりをしてきたりすると聞いたことがあるが、
野生動物にあるまじきおとなしさだ。

ここではカメの枕しか発見できなかったが、
(というより現地に居る時はソレにすら気づかなかった)
銚子には「亀の子さま」と呼ばれる社や石碑が点在するらしい。
これは、神様とされるウミガメを誤って殺してしまった場合や
既に死んでしまっているのを発見した場合に建てたものらしい。

このように漁師さんたちに大事にされているカメを見ると、
「ああ、浦島太郎がカメを助けたのは
 心優しいからでなく漁師として当然だったのか」
と、何となく思う管理人だったとさ。

そんな感じでカメは大事なので、
昔このあたりの人が決してカメを食べなかったそうだ。
食べてしまうとどうなるかと言うと、
舟は高波に襲われ転覆し、乗組員は一人も助からないとか。
(それを知らないヨソモノ漁師がカメを食べて命を取られたという伝承がある)
次に千葉に来るときは、亀の子さま巡りもいいかもしれないな。
(*'ω'*)ヨシ!

そして、大杉神社のすぐ隣にも特徴的な社があるので覗いてみる。
詳細は分からないが、まず目を引くのが無数の穴。
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最初は「何だコレ?珊瑚か何かでできてるの?」と思ったが、
見たことある中でコレに近いのは「タフォニ」かもしれない。
(見たと言っても、ニュースか何かでだが)
石造の世界遺産か何か古い寺院的なものが
風化してボロボロになってしまい保護が追っつかない!
みたいな内容だったような気がする。
(´・ω・`)ウロオボエ…
その風化でできる造形にそっくりだ。
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中には恵比寿様の像↑があるので
大漁と安全な航行を願った恵比須宮なのだろうか。

隣にある空き家のような社↓も
少しだけポコポコ穴が開いてはいるが、
恵比須様のいらっしゃる社ほどの芸術的劣化ではない。
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このあたりでは珍しくない劣化の仕方なのだろうか?
この空き家も、あと数年放っておくと
ああいう芸術的な様相を呈してくるんだろうか?
管理人は今まであまり見たことなかった劣化の仕方だったので、
誰もいない境内で1人で変なテンションになっていた。

さらにその右には、お稲荷様が。
このあたりのお稲荷様は圧倒的に鉢巻き↓が多い。
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やはり漁師町だからか。漁師風なのか。
(適当なこと言ってすいません)
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中を覗いて見ると、いくつもの石の祠のようなものが。
周辺にあったいくつかの稲荷社を
災害や区画整理などの際に合祀したんだろうか。
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そしてやはり、陶器の狐さんたちまでもが
前掛けではなく鉢巻をしている。
普段は前掛けキツネを見る機会が多いので
なんとなくカルチャーショックである。
今度海辺の町に行くときは
狐たちの服飾(?)にも注意してみよう…。

さて、今回は日帰りだった上に
休日だからとぐうたら二度寝などして出発が遅かったので
日が暮れる前に目的の「長九郎稲荷」へ急ぎましたー。
現場(?)に行ってみると、
思った以上に怪しさいっぱいの神社だったので
次回はその話題で(=゚ω゚)ノ