とまのす

ちいさくゆっくり、民俗学。

大根好きの待乳山聖天さん。

浅草神社今戸神社への道のりで待乳山聖天という看板を見つけた。
この日は非常に暑かったので
「いや、もういいんじゃない?寄り道は…」
という気分になりかけたが、一応前を通ってみた。
すると、なんだか木陰で涼しそうではないか!
というわけで
涼しさの誘惑に負けたのか
神様欲に負けたのかわからないが、
待乳山金龍院さんにお邪魔した次第である。

*出世観音・歓喜地蔵*
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入るとすぐに、ユルめな顔の観音様が出迎えてくれる。
説明によると1600年ごろに作られたものらしく、
昭和11年、境内を整備しているときに
頭だけ土の中から見つかったという話である。
(学業・芸道にご利益があるのだそうだ)

そして少し階段を上がると
地蔵会議か!というほどの地蔵集合エリアが。
…手前の方は受付ですかね。(コラ
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このエリアのカドに
牢名主のような(?)重みで鎮座しているのが
こちら↓「歓喜地蔵尊」。
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古来より霊験あらたかな子育て地蔵として信仰されたが
幾多の火災にあって像容をとどめていないのだそうだ。
確かに、覗いてみるとどうゆう状態の像なのかわからない。
↓首から胸あたりが見えているんだろうか?

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*聖天と十一面観音さま*

さて、いろいろ気になる仏像もあるが主役の話に戻る。
待乳山「聖天」様ということは
ヒンドゥーで言うところのガネーシャである。
インド料理屋さんでシヴァ神とともに
息子・ガネーシャの壁掛けが飾られていることもあるので
そのお姿を拝んだことがある人も多いはずだ。

象の頭に、ふくよかな太鼓腹。
アジアン雑貨店などにもたまに置いてあったりする。
では、このお姿は日本に入ってきてどう変わったのだろう?
ネットで「歓喜天」と調べると画像が見られるが
どう言うわけだか2匹の象が抱き合う姿になっているのだ!
いつから増えたんじゃ!(しかも痩せたぞ)

そんな謎のカミサマ・聖天さまだが、
では一体浅草と何の関連が?というと…

昔々、ここ待乳山周辺で旱魃が起きたそうな。
作物は育たず水は無く、民衆がほとほと困り果てていると
十一面観音が聖天さまの姿で現れて救ってくれましたとさ!

という伝説から 十一面観音を本尊とする金龍院は
いつしか「聖天さん」として親しまれるようになったそうだ。
どうして十一面の姿のままで現れなかったのか?
とゆう話はまた後で。

とりあえず境内に入ると、
あちこちに巾着&大根モチーフが。
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二股大根は大黒さまモチーフ!とゆう感じがするのだが
歓喜天も大根が好きなんだろうか?

巾着については、
ガネーシャが財や富の神であることから「砂金袋」であるとも
ガネーシャの好物「モーダカ」と形が似ているからとも言われる。
米粉の皮で、ココナッツやスパイスで作った餡を包んで蒸す
甘くてエスニックなプチ肉まんみたいなものだ。
蒸したてはモチモチで、とってもおいしい。
管理人もモーダカ大好きだが、
年中食べているとガネーシャのようなお腹になってしまうので控えたい…

大根については、後で調べたら
ガネーシャの頭は「片牙の象」であるため、
欠けたほうの牙の代わりになりそうな大根を喜ぶのだとか。
しかし、それだけなら「二股」である必要が無い。
(いや、むしろ二股大根つけてたらおかしいよね)

 

ということで、聖天さんの過去について少し探ってみる。
ヒンドゥー教でも財宝神として大人気を博しているが
ガネーシャは元来身体の障害や畸形の神とも言われている。
そして仏教でも歓喜天はモトモトは悪神。
しかし 病を振り撒き災いをもたらす彼の前に ある日
「民を苦しめるのをやめたらアタシを抱かせてあげる☆」
と大胆な感じのセクシー美女が現れた。
聖天さまはすんなりこの取引に応じ、
歓喜」を得ることと引き換えに改心し護法善神となった。

つまり男女和同に関連深いカミサマなのである。

そこで、12月上旬に「大黒さまの嫁」として
二股大根を供える地域があることを思い出したい。
(主に東北とか、雪深いところだったとおもう)
これは夫婦和合と豊作の象徴であるとも言われているので
それと同じく聖天さまの二股大根も
女性との性的なかかわりを象徴しているのでは?
というのはどうだろうか。

先ほど紹介した待乳山聖天の言い伝えも
考えようによっては
「十一面観音が聖天の姿で現れた」のでなく
十一面観音が現れて聖天を籠絡し、
メロメロになった聖天(改心ver.)が行いを改め
民衆を救いにやってきたの、かも、しれない。

…まぁいつもどおり妄想が入っていて
確定的根拠に欠けておりますな。
(´・ω・`)ゴリョウショウクダサイ


ちなみに、
ここは浅草七福神の「毘沙門天」ともなっている。
古くから、聖天さまのボディーガードとして
木造の毘沙門天像をお祀りしているんだという話である。
本堂に上がれば見られるんだろうか…とも考えたが、
誰かが本堂にいたので遠慮してしまった。
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本堂横には大根の箱が山積みに。
一体、1日に何本の大根が奉納されて
それは古くなったらどうしているのだろうか…?

是非とも、民衆を救った聖天さまにならって
炊き出しなどに活用していただきたいところ。
もしくは、たくあんにして売るなんてのも楽しいですな。
ご利益満点・聖天たくあん!いかがだろうか。

ちなみに、目撃したとき思わず笑ったが
境内には超ちいさいケーブルカーみたいのがある。
「階段を上ることが困難な方に配慮したのだろう」
とゆうことで勝手に納得したが
エレベーターじゃないところがなんとも楽しげである。
ちなみに終着点は数メートル下の
住職さんの私宅みたいなところ…だったように見えた。
※でも普通にお客さんが使っていいやつです!
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そしてそのまま本堂の裏にまわると、
なかなか大事にされていそうな お稲荷さん発見!
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赤いキツネ…じゃなくて緑…の、キツネ!?

狐の前掛けは赤が多いイメージだが、
ここの狐さんは緑のようだ。
手前にある定食屋の湯飲み入れみたいのを開けてみると
大きなオアゲが入っている。おいしそうである。
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そして、そのまま本堂の周りを一周して
ケーブルカーと反対側に出ると宝塔みたいなものがある。
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説明を読んでみると
銅像宝篋印塔(どうぞう-ほうきょういん-とう)というらしい。
「宝篋印塔」とは宝篋印陀羅尼という経文を格納(?)する塔。
宝篋印塔にもいろいろな形状があるが、
こういう笠の付いた物は江戸時代中期以降のトレンドだそうだ。
造立当時の形がほぼ完全に現在に伝わっているモノは貴重で
台東区有形文化財に指定されている。

とっても貴重なものらしいのだが
大根と巾着だらけのキャラ立ちする本堂と
唐突に現れるケーブルカーなどに押されて
インパクトを感じる人が少なそうなところがかわいそうである。
(´・ω・`)

ちなみに待乳山(まつちやま)は
モトは「真土山」と表記したとゆう話がある。
とゆうのも、江戸時代 この界隈は埋め立て地も多く
大雨・長雨のたびに沼のようになっていたのだそうだ。
そんな中にあって、この待乳山周辺だけは
真(まこと)の土、つまり地盤のしっかりした小高い丘であった。
ということで真土山、なんだとか。

確かに、
今でこそアスファルトの道に囲まれているが
待乳山が題材となった浮世絵を見てみると
小舟が通れるほどの川に囲まれ
周辺の道から待乳山へは橋が架かっていた様子である。

*おまけ*

門から出てすぐ、庚申塔エリアがあった。
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青面金剛の彫刻はなく猿だけのもの。
 上部には月と太陽が彫ってある。

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↑劣化したのか強盗の目出し帽のような顔に見える…

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↑だいぶかけてしまった部分が多いようだ。
 顔は、故意に割られてしまった可能性もある。
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↑表面の滑らかさと二頭身感がカワイイ

石仏・庚申塔好きの方も是非お立ち寄りくださいー。

突如寄ることになった待乳山聖天だが
結構面白スポットでしたとさ。
次回は招き猫神社・今戸神社へ。
ゾウさん(歓喜天)の次は、ネコさんです!
(=゚ω゚)ノ