とまのす

ちいさくゆっくり、民俗学。

岩櫃山のおひざもと。

まだ和歌山で行った速玉神社の記事を書いていないが、
先週末は地元で ぶらり鉄道の旅。
吾妻のほうまで行ってみた。
今回の神社は駅から近いので気軽でオススメ。
(前日は炎天下9~10km歩いて、疲弊した)

吾妻線郷原駅で下車。岩櫃山の麓である。
岩櫃(いわびつ)、と聞くと
あの「真田丸」のカッコイイ音楽が思い出されますね!
(*'ω'*)ソウデスネ!
しかし、先日東京の友人に訊いたら
なぜか上田城とセットで「長野」と記憶されていて
管理人はちょっとショックを受けた。

有名=「群馬じゃないだろう」
って発想やめてよ!岩櫃は群馬よ!
(ノД`)・゜・。

*密岩神社*

さて、余談は良いとして
今回来てみたのはコチラ「密岩神社」。
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御覧の通り、非常に新しく小さめな神社である。
しかし、切り立った岩櫃山を背にすると
ちょっと印象が違ってくるだろうか。
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実は、今回訪れた密岩神社は「里宮」。
御参りしやすいように人里に作られた御宮である。

奥宮は、ご想像いただけると思うが
あの背面にそびえる岩櫃山の山中にある。
「昭和の末より落石が増え立ち入りが困難になった」
とのことで、管理人が生まれたころにはもう
奥宮への参拝は できなかったのかもしれない。

そして、平成25年にようやく
里宮への遷座式を行うことができたのだそうだ。
しかし、いろいろな方のブログを読んでみると
「今はもう遠くから様子を窺えるのみ」
というようなことが書いてあるので、
遠目に見ることはできるのだろう。
「誰がどうやって建てたのか」
という場所に建っているらしいので是非見たい!
(*'ω'*)

さて 神社の謂れを読むと、
岩櫃城主・吾妻太郎齋藤基国(もとくに)は
永禄6年、武田方・真田幸隆に攻められ妻子と離散。
当時第三子を身籠っていた妻は
城から逃れ岩櫃山の洞窟で子供を産んだのだそうだ。
そして その子を里人に託し、自らは夫探しの旅に出た。
しかし夫は一向に見つからず。

結局彼女は精根尽き果て岩櫃に帰り着いたが、
山中の洞窟で息を引き取ったのだそうだ。
すると一筋の煙とともに観音様が現れ、
また彼女の亡骸もろとも消えていったという。
そんな彼女を哀れんだ里人が彼女の霊を
「密岩権現」として手厚く祀ったのが密岩神社だ。
ということである。
神社だけれど観音様がかかわってくるあたり、
仏教圏っぽさ、山っぽさ感じるなぁ。

さて、中を覗いて見ると銅板葺きの屋根がまばゆい!
そして、赤い「てるてる坊主」のようなものがある。
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説明を見ると「ほうずき」と呼ばれるそうで、
真綿を赤い布で包み、乳首を模しているという。

以前、遠野の記事河童と妙見様と。 - とまのす
似たようなものについて書いたことがある。
そちらは紅白の布で作る饅頭もとい乳房的な形で、
中には米を入れるのだったような気がする。
多少の差はあれど効果は同じく
奉納すれば「乳の出がよくなる」といわれている。

今となっては
母乳が出なくても、いろんな便利製品がある。
別に「真田丸で有名な岩櫃山ですよ」
という雑な売り出しだけでも観光客は来る。
むしろ「ほうずき」に興味を持ってくれる人は
一体どれくらいいるというのか。
社殿の中を覗かず六文銭の旗と山を背景に
この小さな神社の写真を撮って帰る人も多いだろう。

そんな時代に、
よくぞこの信仰を里宮に引き継いでくれた!
そしてよくぞ神社の案内板で
「ほうずき」について言及してくれた!
(*´ω`*)ホウビヲトラス!(←何様)

昔の人にとって何が死活問題だったのか。
どんな願いを持っていたのか。
その形跡を守り 誰もが見られる場所に安置し、
「何だろうアレ」で終わらぬよう説明まで書いてある。
なんだかありがたいなぁと思った管理人だったとさ。

ちなみに、この辺は超自然が豊かで
次の神社に向かう道すがら
管理人はデカいハチの巣↓を見つけてしまった。
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蜂に刺されたことがある人間としては
身が引き締まる思い(?)である。

郷原名神社*

密石神社の謂れが少々独特であり
また貴重な民間信仰の形跡が残っているとはいえ、
社殿自体が新しく小さいのは事実である。
渋くて鄙びた神社が好みの方は、
舘ひろしが好きなのにジャニーズにしか会えなかった
みたいな気分になるだろう。

そんな方は、徒歩十数分なので
こちらの榛名神社↓も是非行ってほしい。
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天気が良すぎてよく写っていない…
(天気が良すぎて液晶も全然見えてなかった)

注連縄↓は、ほぼ鳥居の真ん中。
ずいぶん低い位置にある。
頭を下げて 敬って入りなさいということか。
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階段を昇っていくと、
予想よりも広い境内が広がっていた。
正面に榛名神社拝殿↓。左に社務所(かな?)。右には神楽殿。
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重厚な屋根に渋い壁。
拝殿の後ろは鬱蒼とした森のようになっている。
さらに、近寄ってみると彫刻がステキ!細かい!
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龍や獅子も凄みのある顔で、
拝殿に近づく者を睨み 祭神を守護している感じがする。
管理人は単なる飾りのようにまっすぐ前を向いているのより
こうして↓首を曲げてしっかり参拝者を見ている彫刻が好きだ。
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名神社の横には御堂がある。
入母屋造りだし、コレも神社か?
と一瞬思ったが、瓦に卍が描かれている。
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手前には木の柱↓のようなものが立っていて、
「寅薬師瑠璃光如来開帳供養碑」と書かれているようだ。
寅薬師ってなんだ?新種の如来
と思って調べてみると、ここの場合の意味は分からないが
寅の日・寅の刻に彫り終えたので寅薬師!
と呼ばれる仏像があったり、
単に虎の日に薬師様にお参りすることも寅薬師と言うそうだ。
(本当に仏教音痴ですいません)
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皆さんご存知・阿弥陀如来さんが
西方にある「極楽浄土」担当なのに対し、
薬師如来は東方にある「瑠璃光浄土」の担当者である。
極楽浄土はよく聞くけど、瑠璃光浄土ってなに?
というと、極楽浄土が「未来」なのに対して
瑠璃光浄土は「現在」であるとされる。

つまり、如来の中では珍しく
現世での苦しみを救ってくれるのである!
なので、薬師如来は言わずもがな庶民に大人気。

ちなみになぜ瑠璃光浄土・瑠璃光如来というかというと、
「瑠璃色の光をもって衆生を病苦より救う」
と言われているためだ。
瑠璃色とは、ラピスラズリの色。
ちなみに、薬師如来は肌の色も青だと言われている。

「病苦を退け現世を救う、チーム如来の救急担当!
 瑠璃色ドクター・薬師です☆」

…どうして私の頭の中の仏様たちは
自己紹介が今時のアイドルっぽいんだろう…
(´・ω・`)

さて、薬師如来に関してはこれくらいにして
御堂を見てみる。小さなのぞき窓(?)である。
扉両わきには可愛らしい色合いのお飾り。
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そして、中は暗くてよく見えないが
照らしてみると厨子のようなものがあったり。
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そして、この写真ではうまく映っていないが
横の壁に懸っている額。(写真ではほぼ影になってしまった)
ココには、竹藪を歩く虎が描かれていた。
やはり寅薬師だけあって、虎とは縁が深いのか。

如来さんたちについて*

ちなみに、以前の記事では
大日・阿閦・阿弥陀・宝生の4人を
「ニョライジャー・フォー」として紹介している。

金剛界五仏といえば、これに不空成就を合わせた5人だし、
知名度高い如来ベストスリーと言ったら
釈迦・阿弥陀と来て3番目は大日か薬師かというところか。

しかし高野山で焼失した仏像が阿閦だったか薬師だったか?
みたいな話からこの2仏が同一視されたり…。

いやはや如来のユニット事情も複雑ですな。

*石仏がいっぱい*

さて、
この地を見守る岩櫃山と、隣に居並ぶ観音山。
これらの山はともに修験道が盛んだったと言われている。
石仏の種類が豊富だったりするのはそんな文化のおかげなのか?
それとも、保存状態がいいというだけで
昔はどこの地域も御堂の周りはこうだったのだろうか。
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御堂の回りには石仏や石塔がずらり。
この石仏以外にも境内には双体道祖神もいくつかあり
石仏好きには楽しいハズである。

コチラを向いている石仏を見てみると、
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一番奥は立像で錫杖を持っているが
地蔵菩薩のように坊主頭ではないようだ。
…ということは十一面観音なのか?
でも頭の上に顔無いように見えるんだけど。
(錫杖を持っている仏さまが他に思いつかない)

その隣は頭が無くなってしまっているが坐像のようだ。

そしてその隣はリボンのような髪飾りで髪を結っ…
違う、なんか動物の頭↓乗ってる!?
目と口があるように見えるのは私だけか?
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馬か?でも馬頭観音ならもっと持物も多いし
正面で合わせた手は馬口(まこう)印では?
でもほかに動物の頭乗ってる仏像あったっけ…

そしてその隣は奪衣婆か姥神。
一番手前に立っているのが地蔵菩薩だろう。

一方、向かって右側は手前が地蔵菩薩
しかし次の厳しい顔の僧侶みたいのは…?
しかも、中学生くらいのリアルサイズで妙な存在感。
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石仏って、大体詳しい解説とかはどこにもなくて
知識があるか、その地域の信仰に詳しいか
石仏マニアで経験豊富でなければ正体もわからない。

でもそこが楽しい。分からなくても楽しい。
なんか、立派な金属や木造の仏像とかよりすごく
生活の場に近い気がして。
(まぁ、分かればもっと楽しいことに違いはないのだが)
たまに、何だこのビジュアル、みたいのもあって。

たとえば長野の布引観音の奪衣婆とか、
同行者曰く「漫☆画太郎」の絵みたいだったし。

ああ、長野の石仏と言えば
長野県千曲市の霊諍山いきたいなぁ。
明らかにかわいくない猫神様見てきたい。

ああ、長野の猫神様と言えば
もりわじん作の「猫薬師」様も見たいんだった。
伊那だったっけ…長野の引力底知れないなぁ。

最初に 有名=群馬じゃない みたいな発想やめてよ
って言ってみたけど
これが、信越と北関東の差…?
(まさかの地元ディスりで終わるな(;゚Д゚)!)