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とまのす

ちいさくゆっくり民俗学。

津波と神社と 念仏おどり。

ちょっと3月は色々処理できずマゴマゴしているうちに
なんとブログを書かずに終わってしまった。
大反省。

ということで、
ちょっと3/11に福島へ出かけた時のことを思い出して
とりあえず1つ記事を書きたいと思いますー(´・ω・`)

管理人は誕生日が3.11なので
・自分への誕生日プレゼントに民俗芸能や神社を巡る
東日本大震災を自分の中で少しでも色褪せさせない
という目的で毎年3.11付近は東北の神社や祭りに出かけている。

今回は、いわき駅付近に泊まり
目的地の久ノ浜まで神社を巡りながら歩いた。
総歩行距離18km前後だろうか。

「東北は寒かろう」みたいな安直な発想から
今回ブーツで来わけたが、これまた
「脚に重りをつけて修行しているのか」
というような重たいブーツを履いてきてしまった。
山道でないにしろ18kmという移動距離を考えれば、
このチョイス 愚の極み以外の何物でもない。

久ノ浜に着くころには股関節が疲労しまくり
足が何センチも上がらなくなっていた(笑)

まぁ私の股関節のことはさておき東北には
「想定外」と言われた大津波にもかかわらず
波にさらわれず残った神社が多数現存している。

今回はそうした神社を巡ったので
その中のいくつかをご紹介~(*´ω`*)

*四倉諏訪神社

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まずはこちら。
いわき市四倉町西にある諏訪神社
海岸線からは700mほどではあるが、
高台に登らなければ海は全く見えない。

しかし、この写真に写っている白い鳥居は
東日本大震災の揺れで倒壊し
津波も鳥居まで到達したそうだ。
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階段を上ってみると、
手水鉢はタツノオトシゴデザイン!
なんとかわいいんだ!初めて見た!
(/・ω・)/♪

富山県・八尾の「蚕手水鉢」が管理人の中では歴代1位だが
造りが雑ではない点、このタツノオトシゴいい勝負!
(あくまで管理人のテンションupランキング)

さて、上がってみれば
見慣れた(?)諏訪梶の御神紋が。
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別に長野出身じゃないけれど、
去年御柱祭ホリックになっていたからね。
すっかりお諏訪さまは親しみのある神様になりました。
(一方的に…笑)
確かに神社自体立派な神社だけれど、
大きな階段を上がった高台にあるのでさらに立派に見える。
津波が鳥居までで止まったことを考えても やはり、
津波を想定し「拝殿・本殿が安全な高さ」に建てられたのだろう。


拝殿の脇には摂社として
船玉神社」の扁額がかかった神社が。
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群馬・埼玉辺りにある「飯玉神社」が
稲魂(または稲の神ウカノミタマ)を祀る社であるように
船玉とは「船の魂」のことだろうか。
だとしたら、舟orその守神を祀る神社なのだろうか。
漁業や海水浴場に携わる地域らしい神社である。

そこからまたしばらく歩き、道なりに進む。
海に向かっているはずなのにどんどん山に入っていくような
「あれ?道まちがった?」的な不思議な感じに。

しかし、突然視界が開けたかと思うと
その遠く先はもう広い海だった。
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波立薬師まで行くと、もう道を渡れば海である。
現在も海沿いは津波の名残で更地が広がっていて、
話を聞いたタクシー運転手さんが
「アレだいたいは除染の人が買ったらしい」
と話す真新しい建売だけがまばらに建つ。
「地元の人はもう津波のコト考えたら買いづらいよココは」
と、自分も地元民だというドライバーさん。

この運転手さんも被災した時は一時、
我らが群馬県あたりに避難していたという。
不思議な御縁である。

あんなことがあった海ではあるが、
堤防ができてしまい街からは海が見えないのは
やはり寂しいし海が見たい。と運転手さんは言う。

パチンコ屋とビジネスホテルや旅館は
除染業者さんで潤っている。
いまも、常磐線は竜田-浪江の区間は運休である。

それを聞いて この風景を見ると
震災なんてとうに忘れて電気を使いまくっている
関東の生活なんなんだろうなぁと思ってしまう管理人だった。

そういえば震災ついでに、
先ほど紹介した諏訪神社のある「四倉」は
おそらく災害地名では?と管理人は思っている。

「倉(くら)」が付く地名というのは
「抉(えぐ)る」「刳(く)る」を意味するらしい。
つまり、津波で抉られる土地。
実はココだけでなく、
福島第二原発のある「波倉」もそうだと言われている。
さらには、ところ変わって有名どころ「鎌倉」も。
内陸部では洪水で川の濁流に削られる土地に
「倉」「暮」の字が使われることもあるようだ。

勿論、数ある地名の「倉」という字が
すべて同じ意味とは限らない。
しかし、災害地名の一般的なルールに沿って
全国の地名を見てみるのも何かの役に立つかもしれない。

それで何かが起きた時に被害が防げるなら。
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愛宕神社

しばらく海沿いを道なりに道なりに。
すると、そんなに新しくなさそうな神社発見。
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手前に何もないことから、
ココも津波に遭ったことは想像に難くない。
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神社に近づくと、鳥居の手前に小さな石標。
津波到達地点」。
少し高台にはなっているモノの、
先ほどの四倉諏訪神社が海から700mほどなのに対して
コチラは海から100mちょっと。
しかし、その距離の差にも関わらず
どちらの神社も鳥居の手前辺りで浸水が止まっている。
不思議なもんだな。

古めかしい「愛宕神社」の文字も
津波の被害をまぬがれたからこそ古くさいままなのだ。
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境内からは、堤防越しに海が見えている。


*久ノ浜諏訪神社
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さらに北上すると、
久ノ浜の諏訪神社が。
拝殿の中を覗くと天狗の面が飾られている。
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単に、修験道とかかわりの深い土地でしたよー
という理由かもしれないけれど(´・ω・`)デモ…
いわき周辺の地図を見た時いくつか
「大杉神社」の文字を見たのが気になる。

今回の福島では大杉神社には行ってみなかったが、
名前からして茨城県稲敷の大杉神社から分祀したのかな?
と感じた(裏を取った方がいいとは思うが)

その大杉神社は名前の通り
大きな杉の木が御神木となっている。
その杉は昔、常総内湾の船乗りたちにとって
船が自分の位置を知る指標になったため
大杉神社は海上安全の守り神ともされたのだそうだ。
※今はレーダーやらGPSやら便利なものがたくさんあるが、
 船乗りさんたちは海上から見える山の形や大木の位置関係
 そして夜は星や月の位置から現在地や天気を測っていた。

そのころ、土地の名前から大杉神社は
安婆さまor安波さまと呼ばれていたそうで。
さらに、海だけでなく利根川による水運が発展し
その信仰は利根川流域に広がった。
全盛期には仙台・千島方面にまで拡大したというから驚きだ。

さて、これが天狗面と何の関係があるかというと
昔、常陸海尊という有名な御坊様がいましたとさ。
この海尊が大杉神社の御神徳でたくさんの奇跡を起こした!
という伝説が残っているわけだが、
その容姿は赤ら顔に高い鼻。目は碧眼だったといわれている。
今考えれば「外国人だったのかなぁ」という気がするけれど、
もう当時の日本人は「天狗様だ!大杉神社の眷属・天狗様が奇跡を!」
みたいな感じでアゲアゲになったんだろう。
そこから大杉神社=アンバさまは天狗の姿で描かれることも増えた。
また海の神様であり「安波さま」という名前も手伝って
波を安らがせるカミサマというイメージがかなり強かったらしい。

長々した話になってしまったが、
津波が多く起きる福島で 大杉神社があることはもちろん
大杉神社でない神社にも天狗面が浸透している!
というのはちょっと興味がある。
ここ以外に波立薬師や四倉周辺の神社でも天狗面を見た。

またゆっくり行ける時に
福島のアンバさま関連神社めぐりとかしたいなあ。
さっきの「愛宕神社」もモトは修験道系の神社であり
(現在はイザナミカグツチかもしれないが)
愛宕太郎坊天狗or愛宕権現を祀ることの多かった場所だ。
福島は、けっこう天狗圏なのかもしれないなぁ
(*'▽')
狛犬はなかなかユルイ顔をしていて可愛かった。

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*秋義神社*
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そしてついに、秋義神社に到着。
地図には秋義神社と表示されているが、
地元では単に稲荷神社と呼ばれている様子。
海から本当に50mほどかもしれない。
本当に周りは何もなく、すべて押し流されたのだろうと思う。

説明書きを読むと
3.11では奇跡的に回拝柱と鳥居が倒れるにとどまったこと、
昔から大火が起こり 疫病が流行り 高波の被害を受けるたびに
鬼渡神社 秋葉神社 稲荷神社と名を変えて
先人の心の拠り所になってきたことが書かれていた。
本殿も、道理でいろいろなカミサマがいそうだ。
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なにかのニュース番組で、
「東北の沿岸部にあるいくつかの神社は津波到達線上にあった」
という話が出ていた。
つまり、先ほどの四倉諏訪神社愛宕神社のように
鳥居は被害を受けたが拝殿・本殿は無事だったパターン。
テレビでは、宮城にある「浪分(なみわけ)神社」が
名前の分かりやすさからもずいぶん取り上げられたようだが、
そのほかの神社もずいぶん同じパターンがあったようだ。
また、今回紹介した中にはなかったが
神社の名前自体が津波に関するモノも東北には多い。

神社は、古くさいもので。
でもだからこそ昔からの生き残る知恵が詰まった場所だ。
先人の多くが神社の名前や立地に
かつての災害時「安全だった場所」の情報を詰め込んだ。

それを今回どれくらい活かせただろうか。
どれくらい、その情報は今に伝わっていただろうか。
別に被害にあった人が悪いというのじゃない。
日本全体が、世界全体が、きっとそうゆう状況で
その中で偶然今回は東北だった。そうゆうことなんだろう。

伝統芸能や神社が見直されてきたとしても
まだまだそれは直接の担い手以外にとって
珍しい・美しいという意味での「文化的な」とか
普通に生活が成り立ったうえで楽しむ「余暇的」な
というレベルでの「見直された」なのかもしれない。

今回福島に行った1週間後に
人前で少し神社や祭りの話をさせていただく機会があった。
福島で「津波到達線上神社」を巡りながらいろいろ考えて、
その時に「伝承」というモノに関して
・伝承というものは語らないと力を失ってしまう
・語るということは災害情報をファイリングするようなもの
 新人にファイルの存在と内容を伝えるとともに更新する作業。
・それを途絶えさせてしまうのは
 先輩が作ったファイルをなくしてしまうのと一緒。
というような話をさせてもらった。

今回の震災をきっかけに、
今度は次の地震まで生きる伝承を。
と願った。願うだけじゃ足りないよな。
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震災の時間に合わせて、黙祷が行われた。
堤防で黙祷している人は、管理人以外おそらく地元の人。
学生さんも多かったが、ただ行事としてやっているのではない
今も顔が思い浮かぶような近しい方が亡くなったのでは
と感じる表情が印象的だった。

黙祷後、地元の「じゃんがら念仏踊り」と沖縄のエイサー。
不思議なコラボに見えるが、
エイサーの方の代表さんの話では
東北のお坊さんが念仏踊りを広めながら全国を歩いたときに
琉球の貴族王族に人気を得て芸能として発展したのが
「エイサー」なんだそうだ。
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エイサー↓って、よく聞くけれどそもそも何かというと
盆の時期に踊られる「盆踊り」の一種。
本土の盆踊りと様相はかなり違うが
仏教行事である「盆」と踊り念仏ルーツの「エイサー」!
と考えるとマッチしているのかもな。
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そして、こちら↓が「じゃんがら念仏踊り」!
コレを見るために、
1時間に1本しかない電車を2本ほど逃した管理人であった。
(だって、予定表にあった時間と全然違ったんだもん…)
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じゃんがら念仏踊りは、
このいわきを中心にいくつかの地域で伝わっている。
本来は8月中ごろに新盆を迎えた家々を回る民俗芸能。
供養のほか、農業に関連して豊作や雨乞いのために踊られる
と説明されているものもあった。

鉦(金属の楽器)と太鼓を使って踊る。
じゃんがらというのは、
その2つの音「じゃん」「ぐわら」が語源だそうだ。

ちなみに長崎にもじゃんがら踊りというのがあるが
やはり鉦と太鼓を使う。
そして踊られる時期や目的も似ている。
※ラーメン屋「九州じゃんがら」さんは
 この長崎のほうのじゃんがら踊りがモトらしい…

もとはお坊さんが民衆の慰安をしつつ
識字率の悪い土地にも念仏と仏教を普及させるために
娯楽の要素を含んだ「踊り念仏」を始めたというが、

使う楽器や太鼓と体の位置、
バチの動きや輪になって踊るところ、
そして供養だけでなく農業にかかわりが深いところなどは
韓国の農楽(プンムルノリ/ 풍물놀이 )にもつながる気がしてくる。

ちなみにプンムルノリでは
金属を使った鉦が星(天)を表し
皮を張った太鼓が人(地)を表して
その2つが輪のなかで調和することが
天地の調和がとれた状態を表現している。
と、長鼓(チャング)をやっている先生に聞いたことがある。

そうか、
材質にまで意味があるのね、とそのとき思ったものだった。
まぁプンムルの思い出は置いといて。
(*‘ω‘ *)ダッセンシタゼィ

途中で切れている、
というか前半は踊っていないので
踊っているのは本当に最後の数分だが動画どうぞ。
(´・ω・`)粗茶デゴザイマス…


じゃんがら念仏踊り(2017.3.11 久ノ浜)

じゃんがらは鹿踊りや盛岡さんさ踊りのように、
身体の正面に太鼓を横向きにつけて踊る。
けれど、その位置はひざ上くらいと低め。
太鼓のバチは一般的な和太鼓のように太い木の棒でなく、
細めの木の先端に毛皮?のようなものが巻いてある。

ただ、よく見ると一番先端は木が出ていて
その端っこに毛か糸のようなものが挿してある。

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あー コレの意味とかも知りたいなー
あの巻いてあるのは毛皮なのか何なのか
先端の木が出てるところでたたいてるのか、
繊維が巻いてあるとこでたたいてるのか?

訊けばよかったー!
結構長いこと広場で待機してたじゃん
じゃんがら念仏の方たち!

ま、そんなこんなで穏やかな2017年の3.11でした。
このあと、足が疲れてバキバキの中
ちょっと遠くに鳥居が見えたもんで行ってきました!
次回はそちらの神社のことを書きますー。
(/・ω・)/♪