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とまのす

ちいさくゆっくり民俗学。

石灰岩と武甲山。

久々の秩父(/・ω・)/!
狼信仰の国であり、秩父夜祭の舞台であり
豊かな山々に囲まれた…何かと憧れる土地ですな。
※個人の感想です

さて、武甲山の(現在の)山頂には
御嶽神社の山宮がある。
里宮は「横瀬駅」つまり表参道側にあるのだが、
今回はもろもろの都合上 裏参道である「浦山口駅」から出発。

横瀬駅の方が温泉もあったりするのだが、
駅からはバスもなくタクスィーを使うしかないので
貧乏人には優しくない。

そんなわけで浦山口駅に降りたわけだが、
案内板が分かりづらい(; ・`д・´)!
いや、単に方向音痴なだけか?

駅からしばらく「こっちかな」などと
それらしき方向に進んだのだが。
友人とともに適当に進んだら、
なんか間違った方向に来て登山口を見失った。
(登山口に入るまでに30分くらいかかってしまった…)

方向音痴仲間の皆さんのために書いておくと、
登山口はごくごく駅の近く。
駅から歩いてすぐ道の左側に
ザバザバ水が出ている地点があって
それを過ぎて結構すぐ左側に入る。
橋立堂や鍾乳洞の前を通過するコースなので、
とりあえず「28番札所橋立堂」をめざす。
そこまでたどり着けばもう分かれ道はあまりないので、
(おそらく)迷わないと思われる。

お土産処か骨董屋のような店があり、
その駐車場を過ぎるとすぐに
けっこう傾斜の激しい稲荷神社がある。
(帰り道に寄ったので写真は最後に(*'ω'*))

その前を通り過ぎてしばらく歩くと、金の鳥居が!

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鳥居の向こうには石碑。

武甲山御嶽神社裏参道橋立口は
奥橋立の開発に伴い路線変更を余儀なくされ
旧参道に建立された鳥居も老朽化原形を失いしにより
これが再建を営み神霊を慰め奉るべく発起せしに
秩父セメント株式会社の全面的協賛を得て
ここにその竣功をみる
これ偏えに広大無辺なる御神德に他ならず
大神の御稜威のもと山に活きるすべての諸びとたちの
安泰と国土の安寧を加護賜らんことを祈念するものなり

と書かれている。
そうか。秩父セメントか。うん。

無論セメント産業は秩父の発展に貢献しているけれど、
その原料はこの武甲山から採掘される石灰だ。
この採掘事業のために武甲山北斜面では
骨のように白い石灰岩が露出して痛々しい。
この採掘事業の勢いは、
神奈備山(円錐に近く美しい形で神が宿るとされる)
である武甲山の標高が変わってしまうほどである。

人間が産業を興すたびに数々の神域も
経済発展の糧になって消えて行った、
というのは何もココだけの話ではないのだが…
神の山がここまで堂々と今も採掘され続けるというのは
複雑というか何とも言えない。

だからこそ、
(そうすればチャラというもんでもないが)
ココの神様たちのために工事やお金が必要になったら
秩父セメントさんには奮発してもらいたいなと
そして現にそうしてくれているみたいだなと。
この石碑を見て思った。

そこを通り過ぎるとしばらくは比較的緩やかだが、
川の岩の上を渡ったあたりからなんだかしつこく激しい道に!
かなり疲れたところで、なんか開けたところに出たので
「やった、これでもうすぐ頂上か?」
と思いきや、デカい看板が。
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…熊が出んのかーい!
いや、知ってたよ。知ってましたとも。
だからこそ、クマ除け鈴を持ってきたのさ!
チャグチャグ馬コの馬具を作ってる、
塩釜馬具店(岩手)特製の鈴だぞ
(/・ω・)/ガオーッ!

まぁしかし、なんとなく高尾山感覚で
「しばらく開けた斜面を登ったあたりで頂上か」
と思い込んだのが悪かった。
しばらく歩くと、また道が狭く激しく草だらけに!
ぬか喜びだった!どこまで続くんじゃ…
(´・ω・`)ツカレタヨゥ…

と思ってマップを見てみると、
なんとまだ半分くらい!
派手なキノコを探して何とかテンションを保つ。
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しかもだんだんガスってきたよ。
霧に体温奪われる。
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そしてやっと頂上に着くころには…
霧が!無駄に神々しい!
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そして武甲山御嶽神社↓到着!
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スモーク焚いた舞台セットみたいんなってる…
そして管理人のお目当て!
「オイヌさま」ことオオカミさん↓である。
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吽形は、なんだか上下に牙が突き出し
ちょっとワニを思わせるような口。
阿形は、ちょっと剽軽な印象でかわいらしい!

狛狼(?)の中にはキツネっぽいのもいるのだが
一般的には狐たちより大きく裂けた口と鋭い牙、
そしてストイックに浮いたアバラ骨と、
後ろに伏せた耳(あるいは洋犬のように垂れている)。
これが神使狼さんたちの特徴である。

埼玉県・秩父では、この御嶽神社のほか
三峯神社etc数社でもこの「神使狼」を見ることができる。
モノによってずいぶん面白い顔をしているので、
秩父にお立ち寄りの際はぜひ狼めぐりをしていただきたい!

そして、
東京では奥多摩に狼を神の眷属とする神社が点在。
以前に記事を書いた武蔵御嶽神社や、
その奥にある大嶽神社とか。

あとは…
東京砂漠にお住まいでエブリデイ忙しくて
ティティブやらOku-Tamaくんだりまで行ってられるか!
奥多摩は東京じゃないんだ!という方は
渋谷御嶽神社でもオオカミに会えるので落ち着いてくれ。
(´・ω・`)

さて、脱線したが
中を覗くと本殿が収まっているらしい感じなので
拝殿ではなく覆殿なのかもしれない。
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では、ここにいる神様は誰なのか。
ヤマトタケル蔵王権現
そのへんが祭神として妥当な所と思うのだが。

実はね…
埼玉県神社庁のHPにも書いてなかったわけですよ。
というかむしろ里宮の方しか検索に引っかからないし、
その里宮も祭神とか明記されてなかったし。
宮司宅の電話番号だけは載っているので
電凸せよとゆうことなんですかね(´・ω・`)

ヤマトタケルに関しては、
東国征討に向かった彼が武甲山に甲冑を奉納して
関東鎮護としたのが「武甲山」の名前の由来らしいし、
オオカミを神使とする神社には
ヤマトタケルが祀られていることが多い。
なのでタケルさんでも不自然ではないのだが。

しかし、山頂には御嶽神社とは別に
ヤマトタケルを祭神とする白鳥御剣神社↓が存在する。
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わざわざ別にあるとゆうことは、
タケルさんは白鳥御剣神社にいるのだろうか?
しかし、この白鳥御剣神社もまた
埼玉県神社庁の検索には引っかからないので
正確な所はよく分からない。

ちなみに、神社庁フィルターで行くと
埼玉県内でヤマトタケルを祭神として登録しているのは、
金鑚神社と我野神社だけのようだ。

一方の蔵王権現に関しては、
山が削れてしまう以前
武甲山の頂上には蔵王権現社があって
この山全体が修験道の聖地であったらしい。

そのため、御嶽神社にもこのような↓
熊野修験アイテムが設置されていたりする。
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そもそも この社殿、名前こそ御嶽神社であるが、
旧山頂の蔵王権現社を移築したものらしい。
ということは、今もメインでお住まいなのは蔵王権現

まぁそのへんは、
横瀬にある歴史民俗資料館に行くと
おそらく詳しく分かると思われるので…。
今度時間があるときに行ってみよう。
(今回は登山が目的だったため平地を巡れなかった)

ともあれ、ヤマトタケルが先勝祈願し
関東鎮護として武甲山を選んでいる時点で
既に武甲山は力のある山だったのだろう。

名前の付いた神様が招かれる以前から
人々にとって重要な山であったというのは、
今や採掘で失われてしまった「旧山頂」に
かつて縄文時代の遺跡や巨石群が存在した!
ということからも推測できる。

そんな貴重なモノが、
むざむざ失われた無念さに採掘場を睨んでみる。
が、あまりの霧に何も見えず!
おどろきの白さ!

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ともあれ、
友人が作ってくれたお弁当を食べ、
密かに機嫌を直した管理人だったとさ。
(*´ω`*)ウマシ
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そして神社エナジーと弁当エナジーを補給したところで
レッツ下山!
足に負担は来るものの、
登りよりは完全に楽なので結構サクサク。
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水が綺麗ですなー。見るだけで生き返る心地。

そして川の近くで小休止中
登山マップ上に「橋立神社」なるものを発見し、
これはどこだとキョロキョロ探す。
登山道と橋立川が交わったちょっと先のようだが…
無いぞ!無い!
すごく小さなものなのか?
それとも朽ち果てて消滅してしまったのか?

落ち着かない気分で半ばあきらめたころ、
行きには気づかなかったシブい鳥居の祠を発見。
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森との一体感ありすぎ!
そして鳥居の扁額を読んでみると…
「橋立神社」と書いてあるぞ(/・ω・)/イェーイ!

橋立川の神様なら女神様かな?
神仏習合で弁天様とか?それとも龍神?
と思って祠に近づいてみる。
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なんと、この祠にも
修験アイテムが安置されている…。
そして扁額はというと↓
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じゃーん。
オオヤマツミさんでしたー。
そこは神道系神様で来るのね。

と言っても、ここも元は違う神様だったのを
明治時代とかに日本神話の神様にチェンジした!
という可能性も十分あるわけだが。

まぁともあれ
橋立神社が無くなってなくてよかったね。
(昔はもっと大きかったかもしれないが)

さて、いよいよ下山も終盤。
こちらが冒頭で紹介した「傾斜の激しい稲荷神社」。
まぁ、下諏訪の北斗神社ほどじゃないですけどね。

最初に友人が「どうする?寄る?」と言ってくれたが
帰りも通るんだから、まず武甲山に登ってみて
帰りに筋肉がまだ大丈夫だったら登ろう(;´・ω・)
という結論に達したのだった。賢明だった。
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登ってみると、
眉間にシワの寄ったキツネが出迎えてくれた。

左)あぁん?なんだオメーら。冷やかしかッ⁉
右)ふん、まぁそう吠えんなよ。
  噛み付くのは悪さしてからで良かろ。
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…みたいな顔してますよ。すいませんね。
冷やかしじゃないけど覗いて写真撮ります。許して。

階段の両わきは草ボーボー、虫ワラワラな割に
お社の扉は結構新しそうで建てつけもいい。
大事にしてもらってるのね。
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…と思いきや…。
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なんか鏡餅変色してますけど!
しかももう10月ですけど!鯉のぼりが!
手前の発泡スチロールタッパーにも
ラップに包まれ正体の分からないものが!
扉も大事だけど、御供えも新鮮なのを是非…。

くたびれ切った筋肉には
ちょっと恐い急階段でしたとさ↓
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おかげさまで無事
武甲山に登って降りてこられましたよ。
キツネさん、オオカミさん
オオヤマツミさんもありがとう。
というわけで今回も無事に一日が終了。


秩父駅から見ると、
武甲山のちょうど採掘されている側が見えるので
痛々しさマシマシだが…(写真撮り忘れた)
登山道から見えるコチラはそうでもないな。
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にしても、昔は珊瑚だったものが押されて押されて
こんな山の中で しかもこんなに盛り上がってるなんて
今じゃ想像つかないし 昔の人だって
あの珊瑚の島が山になるなんて思ってなかっただろう。

私の好きな絵本の中に
「さかなになった武甲山」というのがある。

さかなになった武甲山 (赤い糸文庫 愛蔵版)

さかなになった武甲山 (赤い糸文庫 愛蔵版)

 

(前半は端折るが)

採掘され悲鳴を上げる武甲山を見て
両神山が怒り狂い大雪を降らせて武甲山を魚に戻し
そして やさしかった海に帰してあげるという話だ。
幼いころの管理人には、

どうして山が海へ帰るのか分からなかったし
むしろそこまで気にしてなかったのだけど。
そうゆうことだったんだね。
もともと、ほんとに武甲山は海で生まれたんだ。
と、この山を登りながら考えていた。

 

いつか、採掘が進んで
あの霧をまとった奥宮も山が低く低く削られるたび
下へ下へ移築されて里宮のようになってしまうんだろうか。
平らな地面のあっちとこっちに
里宮と奥宮がちょんちょんと並んで、
なんでこっちが奥って呼ばれてるんだろうね?
昔はここに山があったらしいよ?

なんてことに。
なりませんように。
ということで、今回はこのへんで~。
('ω')ノ