とまのす

ちいさくゆっくり、民俗学。

薬師如来軍団と荻窪神社。

薬師如来と守衛神将軍団*

獅子が暴れまわる大胡まつりの最中、
暴れ獅子の出発を見届けたのでいったん周辺散策に出た。
心臓血管センター方面に歩いていくと、
ほどなく公民館の横みたいなところに小屋が。
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神社か?観音堂か?
と思って近づいてみると、
どうやらそのどちらでもない。
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な、なんと!
薬師如来(と、おそらくその脇時の日光月光菩薩と)
十二神将までそろっているではないか!

説明書きを見てみると、
この布に書かれた「長慶寺」というお寺は
明治8年に火災に見舞われ 現在は廃寺となってしまった。
その火災の際に町民が炎の中から仏像たちを救出!
この土地に移したのだという。

中央の薬師如来は石造。十二神将は木造らしい。
張り紙によると10名以上で申し込むと開帳し
説明までしてくれるのだというが…
いや、私友達10人もいないしムリだわ。
(残念ながら「僕は友達が少ない」…のである)
しかし現在でも堀下自治会主催で
「9月第一土日に薬師祭りをやっている」!
と書かれているので…
そのとき来れば開いてたりするのかな。
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ちなみに、賽銭入り口は自動販売機のように小さかった!
紙幣は受け付けてないのね。

そこからジブリにでも登場しそうな
のどかな道を通り 牛小屋を通り過ぎ…
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思ったほどは歩くことなく、
荻窪神社到着!
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↑なかなか立体的な扁額である。
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小さな末社の扁額には「愛宕山」の文字。
しかし愛宕山修験道の盛んな山だ。
本尊・戦勝の勝軍地蔵がいるのか、
その垂迹(=衆生の前に現れた姿)イザナミか、
それともそのイザナミの子・カグツチ
その化身である天狗・火伏の愛宕太郎坊か。

愛宕山だとわかっても
みんなの願いは何だったのか
愛宕山の、どの宮から勧請したのかで
祭神はずいぶん違ってしまうはずだ。

その隣の石仏は、頭に何かボコボコが…
いっぱい付いてるから十一面観音か?
(判断が雑)

十一面観音は水難のあった地域に作ることが多い
というイメージがあるんだけれど、
この神社は川とそんなに近いわけでもないし
二十夜様(月待ち信仰)としての十一面観音かなー。

さて、こちら↓が拝殿になるのだが
千木(あの屋根の両脇のV字のやつ)をふと見ると、
切り口が横(地面と平行)ではないか。
ということは、
主祭神としては女神様がお住まいということだ。

地名を冠して「荻窪神社」とはいうものの、
ココはいったい何神社なのかというと。
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写真は撮り忘れたのだが、
この神社「火伏ノ神 秋葉神社」という看板がついているのである。
しかしメインが秋葉神社だとしたら、
山岳信仰色が強いし主祭神男神なのではないか。
秋葉山三尺坊とかね。
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分からないので、裏に回ってみるが…
あるのは明治神宮の鎮座記念碑↓など。
昔の扁額とかあればと思ったんだがなぁ。
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結局分からず後で調べたら、
ココはもともと村周辺にあった神社を合祀した神社。
なので祭神はものすごく多い!
モトあった神社は
諏訪神社八柱神社・菅原神社・神明宮・秋葉神社
とりあえず、神様名を列記しても「誰そいつ」感あるので
その元の神社別に分けてみる。

八柱:多紀理毘賣命、多紀都比賣命、狭依毘賣命、
   熊野久須毘命活津日子根命、天之忍穂耳命、天之穂日命  
神明宮:オオヒルメ
諏訪:タケミナカタ 
菅原神社:菅原道真
秋葉:火産霊命(カグツチ

八柱には一人足りないようだが…
八柱神社の祭神は一般的に
アマテラスとスサノヲの誓約(うけい)によって生まれた
8柱の神様(=御子神)とされることが多い。

上の段の三姉妹は、御存じ美人三姉妹の
宗像三女神」である。

その下が5人兄弟…のはずだが
どうやらアマツヒコネが居ないようだ。
私が見た資料が一人書き逃したんだろうか。

5人兄弟の長男は忍穂耳(オシホミミ)、
アマテラスが彼に「中津国を平定してきなさい」と言い、
一応下界に向かって出発したものの
「母さん、下界は物騒です」と引き返してきた。
結果、あのタケミカヅチが代理で派遣されて
オオクニヌシの国譲りが行われたのである。
そのうえ、
タケミカヅチが交渉はしたから治めてきなさいよ」
とアマテラス母さんから二度目の打診をされるも
「じゃあ僕の息子のニニギを遣わしますから…」
と息子を差し出す ある意味コシヌケ感も否めない彼である。

その弟・クマノクスビ熊野権現の神様として有名だろうか。

神明宮のオオヒルメはアマテラスの異名とも言われ
別の神のような顔をして神話に出てくることもあるが…。
管理人的にはアマテラスが皇祖的な色が強いのに対して
オオヒルメはツクヨミと対をなす
自然現象としての太陽や日中を表す神ではないかと考えている。

おそらく、このオオヒルメ(=女神)が主祭神なので
千木の切り口が横向きなのだろう。

そしてカグツチはそのオオヒルメ(アマテラス)の
兄弟、というところか。

アマテラスの出生には
イザナミは関わっていないので
正確に兄弟と言って良いかはわからないが…。

イザナギイザナミ夫婦の子であり
イザナミの死因になったのが火の神・カグツチ
その死んだ妻に追いかけまわされた後、
河で禊を行ったイザナギ
目をぬぐったときに生まれたのがアマテラスである。

そう考えると、
いろいろ合祀したにしては統一感のある祭神ではないか。
(道真さん以外は…)

さて、祭神もすっきりしたところで境内に戻ると、
石燈篭↓には「太々御神樂」の文字。
大胡神社にも太々神楽が伝わっているが、ここの神社にも?
それともどこかの太々神楽連がここに納めた燈篭なのか。
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そして入り口付近にあったのは八坂神社。
地鎮祭のように四方を縄で囲まれている。
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暑さの盛り、八坂神社が最も活躍する季節。
今私がこの神社を見ている間も
大胡では暴れ獅子が家々を回って疫病を追い出している。
この八坂神社もまた、
疫病を恐れる荻窪の人の願いを背負って
今日までここに建っているのだろう。
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中のお札御を守っているのか、
小さな祠に似合わない厳重な格子と錠が!
牛頭天王さん、今年も病がはやりませんように宜しく!