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とまのす

ちいさくゆっくり、民俗学。

ボーダレスタイム「盆」。

今年も盆が終わりましたねぇ。
管理人は1年の行事の中で盆が一番好きです。
「いや、結構そういう人は多いんじゃないかな」
と勝手に思っています。

小さいときは単純に 盆提灯が好きで。
あの水色っぽい、内側が電動で回転するやつ。
描いてある草花が水色の灯りの中で
ゆっくり回って綺麗だったんですよねー。

祭りの、暗い夜の中で ぽつぽつ灯る
赤い提灯しか見たことがなかった管理人。
昼の座敷の中で水色の提灯が灯るのが
幻想的で好きでした。幼稚園ながらに。

(*´ω`*)

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うちの仏壇などお見せして恐縮だが、
いつもより豪華な提灯や
ワサワサと御供えが上がっているのは、
なんとなくうれしい感じがする。

いつもカミサマの話をして
真面目に祀ってるかと思えば
神棚にダルマだのなんだの置きすぎだろ!
配置を考えろ!
と言われそうだが…

ともかく盆というのは
「現代人がナチュラルに霊性と関わる」というか。
「闇」とか「恐れ」とかの手伝い無しに
人が霊性を意識できる貴重な期間かなと。

しかしなんだかキュウリの馬とナスの牛を作って
玄関先で火を燃やすこの行事は、
夏休みで祖父母の家へ遊びに行った時の風物詩…的な
まぁ古くからの風習だろう…的な

逆に身近すぎて「ウン、日本の風物詩だな」と
単純に納得してしまいそうになるのがキケンな行事。

実はこの行事、国際色豊かな行事なのだ。
勿論、この みんなが懐かしむような情景は
日本独自のモノではあるのだが。

*お盆という名称*
何なんだろうか。
あの、ご飯とかを乗せて食卓まで運ぶヤツだろうか。

こないだ話した知人が
「覆水盆にかえらず」ってのは
「某お寺の跡継ぎ・覆水くんは
 お盆に里帰りしない悪い子なんだよ」
転じて
仏教由来の行事に参加しない仏教徒
「自分の専門分野で無責任な行いをすること」
の意味なのだ!

とホラを吹いていた。
オイコラ。嘘を教えるんじゃない(゚д゚)!

…全然話がずれてしまったが、
「お盆」とは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」の略。

モトモトの盂蘭盆会はバリバリの仏教行事で、
中国でも最初は僧侶に飲食物を供えたりしていたらしい。
しかし、そこに儒教の「孝(=親に対する忠行)」が流入
そして先祖の霊に供物を備えて供養する行事になり、
さらには「施餓鬼」と言って餓鬼になってしまった先祖に
施しをして飢えと渇きから救う行事となった。

対象は完全に宗教的実行者である「僧侶」から
血縁関係者である「先祖」にシフトしてしまったのだ。

そして朝鮮半島を経て大体日本にもこの形で
「盆」が入ってきたのだと思うが…
大陸と我らが島国ではこの「施」の対象が微妙に違う!
という話である。
(管理人が実際行って韓国とかの人に訊いたわけではないが)

韓国などは儒教の影響が強く、
この「先祖」には直系の親or父系の男親しか含まれないとか。
ところが日本は超ザックリしていて、
なんかもう今までに死んだ人は家族も何も関係なく
1つの「ご先祖様だんご」みたいなカタマリ~(´ω`。)
的なイメージらしいのだ。

なので、日本ではお盆時期
家の中だけでなく通りにも施餓鬼棚が設置されたりして
どこのおうちの先祖さんでもテイクフリーですよ~。
って感じがすごい出てる。
(無論地域によるが)

ちなみに
サンスクリット語を音訳した仏教用語
というのは沢山あるが、
この「盂蘭盆」も「ウランバナ(倒懸)」
つまり「逆さにぶら下がっている」という意味だという説がある。

日本でもユウレイさんたちは
「足がない」というイメージで描かれる以前は
「逆さにつるされている」という姿だった。
(歌舞伎を描いた錦絵などを見るとそうゆうのがある)
それは「吊るされるタイプの刑に処された」というよりは
真っ逆さまに地獄へ堕ち
未だ救われていないことの象徴であるらしいのだが。

だとすれば盂蘭盆会ウランバナ会)は
「逆さ吊りにされている先祖を救うぞ会」ということか。

ちなみにWikipedia先生によると
さらにこのサンスクリット語ウランバナ」の語源は
古代イラン語の「ウルヴァン(=霊魂)」であるらしい。

その古代イランで信仰されたゾロアスター教では
森羅万象各々に宿る小さな神々を「フラヴァシ」と呼ぶそうだが
人間のウルヴァン(霊魂)の中で最も清い部分にもまた
この小さな神が宿っているそうだ。

太古の宗教ではこのような考え方が多いかもしれないが、
管理人はこの宗教・自然観を聞いたとき
仏教より日本神道の考え方に近く感じて親近感が湧いた。

多くの日本の人が仏式の葬式しか知らない
というのを管理人は結構残念に思っているのだが、
神道式の葬式は、そもそも葬式でなく「神葬祭」という。

葬式では、故人が浄土に行けるようお経をあげたりするが、
神葬祭では、
産土の神・家の神棚・先祖の魂が入っている祖霊舎
「この人が帰幽しました(亡くなりました)よ~」と報告。
そして故人もまた祖霊の一員になり家に留まるための儀式を行うのだ。

ココからは完全な想像だが、
この「祖霊の一員になるための儀式」こそつまり
ルヴァン(霊魂)の清らかでないモノを
ワサワサとピーリングして
清らかなタマゴ肌の「フラヴァシ」を取り出し
それを「ご先祖様だんご」に練りこむ作業なのでは?
と、管理人は考えている。

*盆商戦*
朝鮮半島・中国→インド
そしてさらにはイランにまで遡ってみたが、
今度は逆に現代日本の盆の話。

コチラ↓近所のスーパーの盆コーナーである。
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大体は常設のお線香コーナー横に設置されるが、
ココの商品をちょっと覗いて見る。

お寺さんに納めるオカネ用の「御仏前」袋、
提灯に使う「ローソク」が左の小さな棚にある。
そして正面の棚にあるのが 下から
・まこも(ムシロみたいなやつ)、
・おがら(その後ろの木の枝みたいなやつ)
・その横の白い棚にあるのが盆花(蓮など)の造花
・そして蓮の葉っぱの造花
・後ろの棚には様々な果物をかたどった飴
・盆提灯(緑・白2種類あるようだ)
そして食品サンプルと言っていいのか…
ナマモノではないので毎年使えそうな
・キュウリ馬とナス牛

以上。
提灯以外はほとんど、
さっき少し話した「精霊棚(盆棚)」グッズだ。

ちょっと商品名が写っていなかったので
これが本当に真菰(まこも)なのか…
管理人も心配なのだが、おそらくそうだろう。

実際は両端が畳のフチのような布で補強されていて、
左右はわざとパラパラと突き出すように作られている。
そして仏教行事らしく五色の糸で編んであるものもある。
これは台の上に敷いてその場を清浄に保つ働きがある。

そして「おがら」。
漢字では苧殻と書き、その名の通り
※古代布の原料となる麻=苧麻(ちょま)という
糸を作るために皮を使った麻の殻。
つまり糸の材料にならない茎の中心部分だ。

迎え火・送り火として玄関先で火を焚くときに
この「おがら」を焙烙(ほうろく)に入れて燃やす他、
今は馬と牛を作るときに脚→割り箸のことが多いが
正式には「おがら」を使うことになっている。

精霊棚に使う盆花はお墓の花と同様
トゲがないものなら良いとされているが、
セットとして上記のモノに
蓮の造花が付いていることも多い。

いまでは家族の構成員も少なく
生の果物をたくさん供えても
傷む前に食べきれないという背景もあってか
最近こうした果物の形の飴をよく見かける。

このセットで作るより本格的な精霊棚には
「水の子」といって小さく切ったキュウリなどを
器に入れた水に入れたり
水(閼伽水)とミソハギ(禊萩)を添えて
蓮の葉に盛ったりするのだが。

これは普段何も口にできず
喉も細くなってしまっている餓鬼が
呑み込みやすいようにという心配りである。

それを考えると、考えようによっては
「丸ごとの果物ではなく飴」
というのも一理ある!と言えるかもしれない。

お年寄りと同じで、
喉の通りが悪いのだ(´・ω・`)

そして提灯が二種類置いてある。
一番上の棚の岐阜提灯は、
六寸とサイズが小さく手ごろなヤツ。
岐阜は古くから提灯を伝統工芸として売り出している。
鮮やかな花の絵や卵型が可愛い提灯。

その下も手軽な「こんばん提灯」。
こちらはなぜ「こんばん」と書かれているか分からないが
うちの行っているお寺では毎年一番よく見る提灯だ。
繰り返し使う提灯に対して「今晩」しか使わない、
という意味なのか…もっと深い意味があるのか?
まだまだ勉強不足である。

ちなみに我が家は弓張り提灯といって
普通の、家紋が入っているやつを使っている。
普通というが、持ってみると結構デカいものだ。
(仏壇の写真の端に少し写っているが)

こうゆう家紋入りのは繰り返し使う一方、
上記2つは送り迎え専用なので
使い終わったら送り火の時に
提灯自体に一度火をつけて紙に包んで処理する。

ちなみにホウズキも
この時期スーパーではよく売っているが
これは盆花として飾るほか
提灯に見立ててご先祖様の道しるべにしたり
昔は
御備えに十分な食料が用意できないと
その代わりにホウズキで補うという使用法も。

ちなみに御供えの主食(?)は
お米ではなく素麺が一般的らしい。
これも「水の子」と同じく喉の通りの問題だろうか。
(しかし乾麺のまま供えてあることが多い)

そして名残惜しいが
数日経つと ご先祖様たちは
また向こう側へ帰っていく。

盆の、スペシャルなボーダレスタイム終了だ。
また霊的な世界と現代社会は
かなり厚い壁で隔絶されてしまう。

管理人はお盆休みとかない仕事なので、
大抵は運よく送り迎えどちらかに参加できても
じいちゃんたちが霊界から帰ってきている間
とくに何もできずに気づいたら
テレビとかで京都・五山送り火の中継とかやってて
あ。今日仕事してる間にもう帰っちゃったのか…
ということが多いのだが。

おそらく
じいちゃんが遠いどこかに居る時も毎日
仏壇の前で朝晩お経をあげている祖母には
「今日はそこにじいちゃんが帰ってきている」
というのは特別な気分なんだろう。

通販でセット買って
説明書見ながら適当にやる。

って感じでも全然いいから
この行事がちゃんと続いてほしいなぁと思っている。

*カミサマトンボ*
ただの蛇足なのだが、
画面下の白い茎に黒いトンボがとまっている。
管理人はこのトンボが好きである。
羽がビロードのように黒く、
この季節 よくド田舎の神社にいる。
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ちょうど先祖の霊が帰ってくる時期に
大量に現れるので、
「ご先祖様がトンボの姿で帰ってきた」
もしくは
「稲の出来栄えを見に来てくれた」
と言って、神様トンボという名前で呼ぶのだ。


ちなみに、都心生まれ都心育ちの人には
「なんで今更盆の話だ。1ヶ月前に終わっただろ」
と言われそうだが、
農業をやっている地域は特に
8月に盆をやるのが普通なのだ。

東京あたりが7月に盆をやるのは、
「旧暦の」7月が盆だったからなのである。
あとは日本全国同時に盆だと色々
経済的とか交通的に、滞ったり混乱が起きるからだ。

世は盆踊りラッシュだが
管理人はもう夏季休暇がない。
(3日しかないので既に祭りに使ってしまった)
方々の盆踊りを泣く泣く見逃している今日この頃だ。
(´・ω・`)