とまのす

ちいさくゆっくり、民俗さんぽ

大胡祇園の天王さん&暴れ獅子!

さて、昨日に続き上毛電鉄で数駅。
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ちなみに大胡方面へ行く電車は、
この時期おまつりラッシュなので祭り仕様。
天井からは提灯や水鉄砲、法被などが下がっていて
夏休みの高校生も相まってイイ感じに夏だ。
(もっと大きな写真で見ていただきたいが、
 顔が判別できない大きさで、とか気にするとね…)

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午前の天王さんの御渡りより早く着いたので、
ちょっと散策。
お、何だこの石碑は?
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…えっ!
すごい貫禄ある顔の馬頭観音
なんてゆうか、明王様みたいな憤怒相を想像してたけど
なんかおでこにシワあるし意外と年寄り!?
馬もすごく立体的!

こんなところで何気なく出会ったけど、
今までで一番インパクトある馬頭観音かも。

民俗学とかカミサマとかと別に
単純に馬が大好きなので二重にテンションが上がる。
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その横には…「ムンカスタスウヱル之碑」とある。
〇〇スウェルという名前の競馬馬は結構いるが、
この名前はヒットしない。
と思ってよく見ると、
上のほうに「國有種牡馬」と書いてあるではないか。

国有種牡馬というのはおそらく、
日露戦争後に馬の改良政策が持ち上がったころの話だ。
日本の軍馬がダメダメだったので、
国有の種牡馬と民間の牝馬を交配させる計画が練られた。
群馬はその際に全国で数個の「種馬所」が設置されたのだが、
もしやそれが大胡だったんだろうか。

この土地がムンカスタスウェルにとって
一体どんな場所だったのか分からないのだが。
とにかく、国有の種牡馬なんてきっと
そのころの話なんじゃないかと思う。


*天王さんの御渡り*
変な所で時間を食ってしまったが、
コチラが当日の神様ポイント。八坂神社だ。
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…え?

これ神社ッすか?って人もいるかもしれないが、
中にはちゃんと本殿もあって注連縄もあるし。
れっきとした神社なのだ。
超コンパクトな、近代神社である!

題名にもあるように祇園祭なので、
当然、京都でなくとも主役は牛頭天王だ。
つまり、あの御神輿に天王さんが乗ってるのだな。
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そしてこの顔を見ると誰もが
「あ、天狗だ」と思うだろうけども、
これが道端によくいる(?)サルタヒコだ。

そして神馬ちゃんが…寝とるやないかーい!
かわいすぎる!居眠り!
お兄さん、至近距離でガン見しすぎ!
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練り歩く際の御旅所的な感じだろうか、
ちゃんと太鼓とかも設置されている。
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さて、いよいよ神輿が八坂神社の神域から人間界へ!
注連縄をくぐるために、屋根の上の鳳凰が取ってある!
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神馬ちゃんも目を覚まし、先頭でスタート。
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な、なんと、全然車が規制されておらず
神馬をバンバン追い抜いてゆく!
不良っぽいバイクもブイブイ言いながら通っていったが、
神馬、動じず。大したもんだ。
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そして神輿に先立って青年会さんが
「御賽銭お願いしまーす!」と言いながら走り回る。
お賽銭を渡すと、御榊でパッパッと払うような動作をして
箱に持っている塩をくれる。
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そしてついに行列が進み始めた(*'▽')
御榊の後ろに鉾(だと思う)。
そしてその後ろに八坂神社の御神輿。
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本場京都の祇園祭では絢爛な山車のような山鉾が出るが、
おそらくはこの榊の後ろの鉾も同じ役割ではないかと思う。
子供が乗っていて非常にかわいいが、
将軍様みたいな帽子を腰に下げているので
偶然乗せてもらったのでなくそうゆう役目で乗っているんだろう。

さて、この鉾は
本場京都ではもともと鉾(武器)ではなく
尖った木(神様の依代)だったと言われている。

そう考えると、
祇園の山鉾にも大胡の鉾にも子供が乗っている
というのも、憑子・尸童(よりまし)が原型なんだろうか。

ともかく、木の枝だったころは
悪い神様をアンテナ的に集めた後は
木ごと煮るなり焼くなり処分してしまえばよかったが…
京都ほど豪華な山鉾を作ってしまえばそうは行くまい。

なのでせめて(効果があるか分からないが)
京都の祇園祭は山鉾を午前に曳き終えて早く仕舞うらしい。
大胡の祇園祭でも天王御渡は午前で
暴れ獅子が午後なのはそういうわけだろうか?
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鳳凰も無事付いて、立派である。
個人的に、なんだかあの神輿についている小さい鳥居が好き。
いつも住んでる本殿から、
分身みたいに小さな姿で出てきて
神輿に乗り込むカミサマを想像すると可愛すぎる。

そしてこちらが先ほどのサルタヒコだが、
道案内の神、道を拓く神だというのに
どういうわけかしばらくは鉾より神輿より後ろ。
という状態だった。どっかでフォーメーション変えるのか?
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というところで、ちょっと用事があっていったん家へ。
いやー。電車で十数分で祭り会場に着くってなんて楽なんだ!

*暴れ獅子*
さて、用事と昼寝を終えて再び大胡へ。
よいさ、よいさ、の掛け声とともに
超男らしい獅子が登場!
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獅子舞の獅子頭同様、
中は空洞になっている。
だがおそらく、耳は動かない。
(獅子舞の頭は耳がピコピコ動く仕組み)
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暴れ獅子の先頭には、
提灯を持った兄さんたちがいる。
この人たちが獅子が寄る家の前に立って
目印になるのだ。
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そして、午前と同じく
お賽銭をもらって塩を授与する兄さんも。
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しばし休憩。みんなでお茶飲んだり。
暑いから倒れないように気を付けないとね。

と、補給したところで再び出発!
そして町内の家々を…襲撃!
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疫病を追い払うために激しく暴れるというが、
まさに襲撃というのが一番シックリくる。

ただし、とにかく暴れまわっているというわけでなく
先導してる提灯の兄さんのひとりが
「オイ、ヒトんちぁ触んじゃねぇぞ!(゚д゚)ゴルァ」
と凄む。どうやら、民家に被害がないように
かなり気を付けて運営しているようだ。

そしてよく見ると、
門の近くに獅子を担いでいない兄さんたちが集まり
ドカンドカン押してくる獅子を押し返して
いわば緩衝材になっているようだ。

このように門戸を襲撃するほか、
広場などで獅子がすごい勢いで回転するのも
結構迫力がある。
大変なのは布の一番後ろを持っている兄さんである。
よく見ると回転する獅子頭のまわりを飛び回っている。
そして、この動画 よく見ていると
歩道周辺で飛んできた兄さんを避けて縁石につまずき
尻もちをついているおっちゃんが小さく映っている。


暴れ獅子(大胡駅前)


ちなみに、駅舎やテント、店には結構容赦ない。
大胡駅も襲撃を受け、後で見たら庇に獅子の塗料がついていた。

さて、獅子の塗料というところで
上の写真でも兄さんたちがみんな赤錆みたいな色で
一体どうしたことだろうと感じたかもしれないが。

この暴れ獅子はベンガラで彩色されて、
毎年どこか破損するので毎年作り直しているという。

ベンガラは古来から
人を埋葬するときにこれで化粧をして
あの世に生まれなおすように願ったと言われたり、
古墳の内壁の装飾に使われたりと重要な顔料だ。
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この祭りでも、
獅子頭をおいて青年会の兄さんたちが休んでいる間は
子供たちが集まってきて獅子頭をべたべた触り
手に着いた顔料を自分の顔に塗りたくっている↑
※一応、不自然だがお子さんたちの顔はぼやかしてみた。

そして、このJA広場での休憩の後は…
お約束の「警備本部襲撃」!
これこれ。これが見たくて待ってたのだよ!
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獅子頭が向かってくると同時に、
警察官たちが総員、長机を思い切り押さえる!
そして次の瞬間…
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ドカーン!
腕っぷし強そうな警官さんたちが押さえてるとあってか
ここが一番容赦ないぶつかり方な気がする( *´艸`)

写真ではイマイチ伝わらないので最後に動画を貼って
今回は終わり~。


暴れ獅子(JA広場前 警備本部襲撃)

けっこうな夕立が来た後だったので、
テント後方から撮っていた管理人に
屋根にたまっていた水が思い切り降ってきたよ(´・ω・`)