とまのす

ちいさくゆっくり、民俗さんぽ

玉村町五料の水神祭!

群馬県玉村町五料にある飯玉神社。
ここで先週末7/24に「五料の水神祭」が行われた。

以前、長野県茅野市にある達屋酢蔵神社の記事
「今は日本神話の神が祀られているが、
 もとはミシャクジ様と五龍(五料)姫神が居た」
と書いた時から、この地名で水神祭というのは気になっていた。
結果的に言うと水神様が神社にいるわけではないので
具体的な名前はわからなかったのだけど…。
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グーグルマップでは、
周辺で「神社」と検索しただけでは出てこなかったので
かなり小さな村社なんだろうとタカをくくっていたのだが…
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こちら。
拝殿前には今日の主役「水神丸」が!
そして、拝殿、大きくてキレイだぞ!
(=゚ω゚)♪
ここ五料は、
こちらの地図を見ていただければ分かるが
利根川がちょうど二股に分かれた所にある土地。
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むかし、まだ利根川が水運の要所として栄えていた頃
五料は渡し舟の船頭たちが住む村だったらしい。
当時は五料宿といって小規模な宿場町ができるほど栄えたとか。
神社から出た舟が、最後川に向かう際に通る道には
関所まであるのだ!
(関所というのはそうポコポコあるものではない)

そして、その船頭たちの村で行われた祭りが
今でも水難除け・安全祈願として
藁舟を川に流す祭りとして続いているそうだ。

安曇野みたいに
「古来、この土地には
 九州から海人の一族が移住してきていた。
 その名残で今もこの土地には海がないのに
 舟が登場する祭事・神事が数多く存在するのだ…」

…みたいな古代ロマンでなくて悪かったな(´Д` )

冗談はさておき、水神丸に近づいてみる。
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人が乗るわけではないのだが舵?も付いていたり…↑
そして停泊するわけでもなしに錨↓も完備しているのだ!
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この船は祭りの1週間前に作るらしい。
そして1週間この神前に安置された後に
地域を練り歩くのである。

何とも素朴な
太鼓と子供を乗せたリヤカーに先導され…
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夕方4時ごろから「水神丸」は近所をぐるぐるとめぐり、
ひとしきり練り歩くと再び神社へ帰還。
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そしてここからが本番!
再び利根川の近くまで舟を曳いたところで、
土台になっていたリヤカーから舟を外して…
大人たちだけで担ぐ!
山車状態だった水神丸が神輿状態に!
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おっちゃんたちのシルエットがかっこいいぜー!

そして堤防を越えて川に近づき…
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さらに臆することなく蚊の温床に殴り込み!
草がね、もうバッサバサですよ!
手ブレも ひとしおですな↓
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そしてそのまま川へ!
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無事に進水式(?)を終えた水神丸でしたとさ。
堤防には「玉村にこんなに人がいたのか」という人だかり。
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梅雨も明けて子供も夏休みになったけれど
今年もあんまり水難事故が起きませんようにー。

さて、舟が川に流される前。
舟が地区内を練りあるき神社から人が出払ったスキに
建物のほうをゆっくり見てきた。
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横からきれいに光が入り、
拝殿内は明るい雰囲気である。
本殿は古そうだが、拝殿内は新築のよう。
とってもピカピカだった。
( ´ ▽ ` ).:*☆
堀口の飯玉神社からお招きしたということなので、
ウケモチさんがお住まいなんだろうか?

→後で調べたら、ウケモチさんのほか

境内の末社だった蠶玉神社

石神社(字保養森、地図では飯玉神社右下)の
ヤチマタヒメ・ヤチマタヒコ・クナド神

白山神社(旧沼之上村なのでやはりこの近所)の
ククリヒメ・イザナミ

大杉神社(新川岸。どれも近所の川沿いの神社)の
サルタヒコ

が引っ越してきてシェアハウスしているとのこと。
コダマ神社は、格上げされたということだろうか。

さて
ヤチマタ=道がいくつもに分かれた場所 で
つまりヤチマタヒメ・ヤチマタヒコは
道祖神・賽ノ神系のカミサマ。
御存じのとおりイザナギさんは
黄泉の国で醜い姿になった奥さんを見てしまい、
奥さん(イザナミ)はキレて追いかけてくるわけだが。
命からがら逃げきったイザナギさんが
黄泉の国の汚れを落とすために禊を行ったとき、
このヤチマタ2神が生まれたと言われている。

そしてまた、ククリヒメは
白山信仰という独自の信仰を持っているが
日本神話の中で言えば
キレたイザナミと逃げるイザナギの夫婦喧嘩を収め
結局別々に暮らすとはいえ
2人の仲を取り持った神とも言われている。
(なので縁結びの神様として有名だったり)

そしてサルタヒコは
ニニギが国を治めるために天下ったとき
交差点(=ヤチマタ)に立ちふさがり
「私が先導しよう」
と名乗り出た神様である。
これが道祖神とサルタヒコが同一視される所以。

ちなみにサルタヒコの奥さんはアメノウズメ
と言われているが、二人の馴れ初めはココである。
ニニギが従者であるアメノウズメに
「この先に立ち塞がっている者がいる。
  その者がどういう者だか訪ねなさい」
と指示したのである。
そしてなぜかアメノウズメは
「胸を露わにし腰紐をヘソの下まで下げて」
サルタヒコのもとに出向いたのである。
なんでやねん。痴女か。
勿論サルタヒコは相手の名前を確認するより前に
「あなたはなぜそのような格好をしているのですか」
と訊いたらしい。まっとうな疑問である。
しかし明確な答えはなく、
ともあれサルタヒコは道を拓き
ニニギを導いたのである。
(ということで道案内・道中安全の神となった)

 

さて こちらが、その本殿↓
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この、覆殿と言っていいのか
本殿を覆っている骨組みと、張りめぐらされた細かい金網。
ちょっと初めて見た形態だ。
本殿自体の大きさも立派。

なぜこの神社がグーグルマップで
かなりズームアップしないと表示されないのか謎。

神社裏には水神社などがあったが、
扁額のあるものは少なくて何の神様がいるのかはわからない。
そして、以前鳥居にかかっていたと思われる大きさの扁額。
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赤持宮大明神?赤梓宮か?
2文字目がよく見えない。
梓宮と言えば古来中国では
身分の高い人の住まいのことだったはずだけど…
なんか違いそうだな。要再確認。

駅から歩くと超遠い…というか、
19時まで祭→新町駅まで歩いたら
途中で日が暮れて周りは田んぼしかないし
むちゃくちゃ怖かったので、
できれば車の練習してからリベンジしたい。
まぁ暗かっただけで正味1時間くらいだったかな?

この日は祭りが始まるまで
上野の国 八ノ・九ノ宮である
火雷神社倭文神社に行ってきたので。
それもそのうち書こう…

今回はこれで終了~