読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

とまのす

ちいさくゆっくり民俗学。

「綿のおばば」に会いに行く。

さすが新宿2丁目!
ガチムチ系なDVDばかり取り扱っているお店やら、
ちょっと怪しげな雰囲気漂う通りがすぐ近くにある…。

まぁお寺自体は大通りの近くで
至極わかりやすい位置にあったので助かった。

*綿のおばば*
さて、小ぢんまりした敷地ではあるが
入ってすぐ右にあるのが「綿のおばば」さんのいる御堂。
f:id:ko9rino4ppo:20160717214458j:image
子育老婆尊、という
温和そうなお名前が付いているようだが…
そのご尊顔やいかに…!
f:id:ko9rino4ppo:20160717215705j:image
こ…こわいじゃないか! 泣く子も黙るわ!
目の虚ろさで怖さ倍増!
口のあたりが薄ら赤いのも怖いよ!
絶対人食べてる!
((((;゚Д゚)))))))
しかし、子育老婆尊というだけあって
子供の健康祈願 特に疫病・百日咳の平癒が御専門だとか。
そしてその御礼に母親たちが綿をそなえたので
「綿のおばば」と呼ばれているんですな。

現在のは実際に奉納されたものか分からないけれど
頭から肩にかけてかぶっている白いのが綿。

ちなみに、綿の量で言えば
世田谷にある宗円寺さんの奪衣婆のほうが上。
社からあふれ出んばかりの綿で、
雲間から出てきた大神のような奪衣婆が神々しい。
(顔は、まさに鬼神というキツイ顔である)


*針塚と百度箱*

女性が御参りに来る場合が多いせいか、
すぐ隣には針塚がある。

既にある目玉商品の需要層をターゲットに
さらに商品(?)を打ち出してくるとは…。
なんだか新商品の企画を見ているような気分だ。
f:id:ko9rino4ppo:20160717215720j:image
おそらくだが、
日本ほど供養塔(塚を含む)が多い国も珍しい。
人間はもとより食品となる家畜・魚介、
そして無機物である針や靴までもが供養の対象に!
そのうち供養塔・塚のことも書きたいところですな
(=゚ω゚)ノ
そして、こちら↓は「百度箱」。
f:id:ko9rino4ppo:20160717215732j:image
日本には古くから願掛けを成就させるために
同じ神様に100回お参りするという方法がある。
本当は日に一度×100日を一日も欠かさず行うのだが
案外せっかちな日本人は
鳥居と神前を100往復するという方法を編み出してしまった!

その際に回数が分からなくならないよう小石を並べたり
あるいは算盤のように棒に通した珠が設置されていることがある。
これが「百度箱」や「百度石」と呼ばれるもので、
箱の場合はその中に枝や小石を入れて数える目的で設置される。

神様にしてみれば
「横着せんで毎日来いや(´Д` )!」
という感じではあるだろうが…。

*奪衣婆とは何なのか*

さて、
そもそも奪衣婆って誰だ?

というところかもしれないが、
奪衣婆は地獄の入り口にいるおばあさんだ。
そもそも地獄はどこからが入り口だかわからないが、
三途の川を渡ったあたりに居るとゆうウワサだ。
(ということは地獄というより死後の国の入り口か)
読んで字のごとく死人から衣類を剥ぎ取るおばあさんだが、
変態だとかそういうことではない。いやがらせでもない。

その脇に懸衣翁というおじいさんがいて、
彼女は彼とバディを組んで働いているのだ。
奪衣婆が剥ぎ取った衣服を懸衣翁が枝に引っ掛けて
生前の罪の重さをはかるという。

…じゃあ閻魔大王の玻璃の鏡いらないじゃん!

というところだが、
まあスクリーニングというかスキミングというか。
警察官と裁判官みたいなもんなのかな(違うかも)。
わるい!いい!って大体分けるのが高齢コンビで、
検挙されてきた死人の詳細をみて送る地獄を決めるのが大王?

というところである。

「勿論バディを組んでいる二人が夫婦だ」
という意見も多いわけだが、
実は奪衣婆は閻魔大王の奥さんという声もある。
閻魔夫妻のルーツについては

金剛寺の摩多利神さま - とまのす

の中でも書いたが、
奪衣婆が閻魔大王の奥さんだとすれば
そのルーツはヤマ(閻魔のルーツ)の妻であり
疫病を背負う神・チャームンダーである可能性が高い。

チャームンダーは「遮文荼天」という尊格として
奪衣婆と別に仏教に取り込まれてはいるが。
「痩せて病をまとった恐ろしい老婆」という
チャームンダーの姿に忠実なのは奪衣婆のほうだろう。

*なぜ咳に効くのか*

残念ながら、管理人の力ではそこまで調べがつかなかった。
ただ、これはこの寺に限定された御利益ではなく、
そして東京限定でもないらしい。
というのも、むかし長崎へ行ったときに見たのである。
そこでは「コンコンばあさん」と呼ばれていたが、
閻魔大王像の隣にいたし姿も垂れ乳のおばあさんだったし。
まちがいなく奪衣婆だろう。

そして、遮文荼天と
その原型・金剛亥母(ヴァジュラヴァラーヒ)は
猪の頭を持ち、その鳴き声で疫病を蹴散らす女神。

なぜ咳が得意分野になったかはわからないが、
もともと疫病バスターな女神さまなのだ。

*おまけ*
よく奪衣婆像に関しては
「これが日本で一番怖い顔の奪衣婆!」
みたいのがいくつもある。
鬼的な意味ではなくホラー的な意味では
今回の奪衣婆もなかなかでは?と思うのだが。

まぁ逆に言えば
「これが日本一ユルい奪衣婆だろ」
みたいのもあるわけで。

とりあえず今まで管理人が見た中で
一、二、を争うユルさなのは…
我らが群馬県 みどり市にある草木八沢の奪衣婆坐像か
長野県小諸市にある布引観音の奪衣婆坐像だな…
♪( ´θ`)ノ
見てのお楽しみという感じだが、
気になる方は画像検索でカンニングどうぞ(笑)