とまのす

ちいさくゆっくり、民俗さんぽ

子神社のステンレス草鞋。

群馬県館林市生田町。
ここに子神社(ねのじんじゃ)がある。
地図上で発見して、
駅から自転車で行けそうだったので行ってみた。f:id:ko9rino4ppo:20160409114116j:image

鳥居の扁額は、白龍と暖色系の花で
なんだか可愛らしいカンジも。
f:id:ko9rino4ppo:20160409110637j:image

そして隣接する御稲荷さんは
鳥居工事中( ゚Д゚)
f:id:ko9rino4ppo:20160409110829j:image
でも拝殿の奥にはちゃんと鏡があって
玄関が工事中なだけでちゃんとお住まいのよう。
f:id:ko9rino4ppo:20160409111149j:image
子神社とは、ねずみを祀っているのかしら
なんて適当な考えで行ってみると、
なんと。

八王子で釈然としなかったことが
「そうだったのか!」
となったのであった。

今年の3月 八王子で絹の道巡りをした時に、
諏訪神社という神社を訪れたことがあった。
記事はこちら
絹関連とされているためか
旧本殿の覆殿におさめられた落花生型の金属板は
方々のブログや何かで「繭の形」と言われていたのだが。
繭は真ん中なんてくびれていないぞ(-"-)?
まるで靴の中敷きではないか…
と不審に思っていた。

その時の写真がコレなのだが↓

f:id:ko9rino4ppo:20160306072823j:plain

今回、子神社で見た
これですよ!f:id:ko9rino4ppo:20160409111342j:image
やっぱり靴(草鞋)だったのだ。
ステンレスのペラッペラの草履とはいえ
この長い垣根を埋め尽くすように奉納されて
なんというか壮観である。

そして本殿にも。
燦燦と輝くわらじたちが!
f:id:ko9rino4ppo:20160409111311j:image
そして「子」の権現と言うだけあって、
神前幕にも瓦にもねずみがいっぱい…(*'ω'*)
虹梁の彫刻にもねずみと米俵、そしてちゃんとわらじも!
f:id:ko9rino4ppo:20160409113402j:image
f:id:ko9rino4ppo:20160409112932j:image
現在は祭神もオオナムチノミコト(大国主)。
大国主さんは(人為的な)火事の中ねずみに救われ
また習合した大黒天さんが北(子)の方角の神
ということもあってネズミと関係が深いのだ。

が、しかし!
実はねずみや大国主と子神社はあまり関係ない。
境内にある縁起にあるように
ココも神仏分離によって大国主祭神としたが
それ以前は「子ノ権現」を祀っていたという。

この子ノ権現様と言うのは、
元々神様ではなく人間。
生まれたのが子年子月子日子刻だったことから
幼名を子ノ日丸、のちは子ノ聖と呼ばれたお坊さん。
ねずみとは関係ないのだ。

彼は修行中に魔火によって脚を焼かれ
腰や足を傷めて苦しんだことがあるので、
亡くなるときに
「私は死ぬけれどこの山で永く衆生を守るよ。
 足腰で困ったらどうにかしてあげるから祈ってみて」
的なことを言ったそうだ。

それから弟子の恵聖上人が彼を
「子ノ権現」
として祀ったのが埼玉の子ノ権現天龍寺
と言われている。

そこからお招きした権現様だったのだろうけれど、
神社は「権現様」を祀っちゃだめですよー。
という神仏分離令によりピンチヒッターとして
「健脚自慢で全国を行脚して歩いた大国主
というムリヤリなキャラ付けで
日本神話の大国主様が擁立されたわけである。
あとは、子=ネズミ繋がり。

拝殿の中は、
ハッキリとは見えないものの
鎧を着た武士を描いた絵馬などが。
f:id:ko9rino4ppo:20160409113511j:image
こちらも鳥居の扁額と同じく、
彩りがあって雰囲気は明るめ。
そして、やたら今っぽいタンス(;´∀`)
f:id:ko9rino4ppo:20160409113541j:image
外側の屋根付近には
鉄?針金?で作ったような草鞋も。
大国主は鉄の草鞋で全国を歩いた」
という話に基づいているのか、
それ以前から納められていたかは不明だが。
f:id:ko9rino4ppo:20160409113647j:image
八王子の諏訪神社(もと子ノ権現)も、
繭を守る蛇神や絹笠明神のような女神様というより
生糸を売りに行く鑓水商人たちの
足や旅路を守る神様だったのかもなー!
といまさら落花生型金属板に納得。
f:id:ko9rino4ppo:20160409114011j:image
私が「フンドシ!?」と勝手に思っていたこいつも、
よく考えてみれば脚絆だな…きっと…。
とんだカンチガイだったぜぃ(*ノωノ)


*おまけ*
狛犬。新しそうだが、とにかくモフモフ感がある。
f:id:ko9rino4ppo:20160410012152j:imagef:id:ko9rino4ppo:20160410012421j:image
おそらく、こちら↓が第一号狛犬
目のかんじを少し残すのみだが、
今でもちゃんと2匹そろって座っている。
f:id:ko9rino4ppo:20160410012734j:imagef:id:ko9rino4ppo:20160410012954j:image
青面金剛さん。
前橋市街では「庚申塔」という文字だけのものが多いが、
今回館林ではいくつもちゃんと姿のある青面金剛さんに会った。
ちょっと三頭身でかわいい。
足のすぐ下でうずくまって踏まれているのが邪鬼
その下が「見ざる言わざる聞かざる」の三猿と思われる。
f:id:ko9rino4ppo:20160410013340j:image

こちらは十九夜念仏供養塔とあったが、
これが供養塔なのかというような立派な仏像が乗っていた。
しかし、
十九夜講を担当する仏様は
女人、特にお産を軽くするという如意輪観音のはず。
方ひざを立てて座っているのは確かに如意輪観音っぽいけれど、
しかし、肝心の「法輪」持ってないぞ…。
よく見えなかったけど、如意宝珠は左手に持ってるのだろうか。

f:id:ko9rino4ppo:20160410013659j:image
髪型は冠の上に高く髪をまとめ観音様風だが、
首や腕に装飾品はつけていない。
そしてまるで弥勒菩薩のように
片手を頬に当てて思案しているようなポーズ。
如意輪観音様としてはちょっと変わってるかも。