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とまのす

ちいさくゆっくり民俗学。

疫の神様、八坂神社。

神社仏閣 スサノオ 牛頭天王&婆利塞女 蘇民将来 宗像三女神 京都 民間信仰

疫病と言えば牛頭天王
牛頭天王といえば八坂神社(*'▽')

ということで、
あまり観光地的な神社は行かないほうだが
人であふれる八坂神社に行ってみた。

京都東山区祇園町
ここは昔、
山城国愛宕郡八坂郷という地名だったことから
神仏分離令が出された際に
八坂神社という名前に改められたらしい。

それ以前は「祇園社」もしくは「感神院」
などと呼ばれていたというが…
感神院なんて まるでお寺のような名前ではないか!
と思って調べてみたら…お、お寺だった…( ゚Д゚;)

清和天皇の時代に疫病がひどく流行ったので、
占った結果「こっちの方に居る神様が祟ってます!」
ということになって小さな社に行き当たり大いに祭った。
その神を送る儀式(?…祭りか?)の神輿置き場が
八坂郷感神院だったそうだ。

当時はまったくの寺で、
社殿とかもなかったので藤原基経さんが屋敷を寄進。
それを社殿としました!ということらしい。

現在のメイン祭神スサノオ
東御座に三人の奥様、クシナダ・オオイチ・サミラ
西御座に子供たちとヤツミミノカミ。

しかし、コレは
またいつもの「神仏分離」の結果。
その前はメインで牛頭天王
東・・・子供たち(八王子)
西・・・奥様・頗梨采女
という組み合わせで祀られていたとされる。

牛頭天王について*

牛頭天王御縁起」によると…
武答天王という神様の息子として現れたらしい。
幼少のころから体は大きく、頭は牛。角は赤い。
やがて牛頭天王として王位を継承するのだけど、
コワモテすぎて嫁が来ないぞチクショー(ノД`)・゜・。
とゆうことで毎日毎日酒浸りになっていたのを
心配した高官たちが狩りに連れ出す。
その先で人の言葉を話せる山鳩が
「アナタのお嫁さんのトコまで案内するわヨ」
というので牛頭さんはオヨメ探しの旅に出たのだった。

そのお嫁さんというのが沙竭羅(しゃかつら)龍王の娘。
これが婆利采女(はりさいにょ)である。
(アワシマさんの話で登場した彼女ですな)
そうしてめでたく彼女との間に八人の王子を儲けたのだった。
めでたしめでたし(=゚ω゚)ノ

*インドの牛頭天王
しかし、なんでいきなり牛の頭をしているの?
と言うと、その起源は仏教の故郷インドに遡る。
その名前とは
ゴーマヤグリーヴァ・デーヴァ・ラージャ。
何とも長い名前で「?」というカンジではあるが…
馬頭観音のモトともされる「ハヤグリーヴァ」が
直訳すると「馬の頸を持つ者」という意味だそうなので、
ゴーマヤが「牛」、グリーヴァが「頸(くび)」かなー。
デーヴァ・ラージャは「デーヴァ神族の王」
もしくはデーヴァは仏教でいう天部のことらしいので
首から上が牛の、天部に所属してる王様ってことなのか。

天部ということは仏法を守護している警備員さんであり、
彼が守っているのは平家物語で有名な「祇園精舎」なのだ。
古典の授業で出てきたものだから、
高校の頃の私は祇園精舎は日本にあると思っていたが。
実際はインドのシュラーヴァスティ県にある。
徳川家光時代、日本人は
 アンコールワット祇園精舎だと思って視察した。
 というトホホな話もそこそこ有名(;´・ω・)

祇園というのは、
ジェータ(祇陀)太子さんが所有していた土地(園)
という意味の「ジェータヴァナ」の漢字訳。
精舎というのは、
精行者(出家した者)の住まう場所。
そこを守っているから牛頭天王さんのことを
親しみも込めて祇園さんともいうわけ。

蘇民将来と茅の輪*
日本各地に「茅の輪くぐり」とゆうのがある。
今では半年参りとか夏越しの大祓(なごしのおおはらえ)
という行事で使われることがほとんどで、
大きな藁の輪っかみたいのを皆でくぐって
陰暦6月に半年の穢れを清め無業息災を願う
というのがその概要だが。

この茅の輪は牛頭天王と深い関係がある。
彼がオヨメ探しの旅に出たとき、
神様といえど宿は必要なので近くの家の戸を叩き
「道か今夜一晩泊めてください」と声をかけた。
そのあたりに居たのが蘇民将来・巨旦将来の2兄弟。
裕福な弟の巨旦は嘘をついて断ったが、
貧しい兄である蘇民は大したもてなしはできないが
牛頭天王を快く迎え入れたのだった。

その後、牛頭さんは配下を連れて巨旦家を襲撃!
一族もろとも疫病によって滅ぼされたのだったが、
巨旦の嫁となっていた蘇民の娘さんにだけは
「茅の輪(話によっては+α赤い絹の房)を身に付けよ」
と事前に牛頭天王が告げていたので彼女は助かった。

…という凄惨な襲撃事件である( ゚Д゚)
※出典によっては疫病ではなく
 「皆蹴り殺された」となっている。

この話に出てくる旅人は牛頭天王である場合と
始めに彼の父であると紹介した武答天の場合がある。
おそらく、モトは武答天と蘇民将来兄弟のみが登場する説話で
牛頭天王は彼の息子とされた後に混ざったのかも。
そこで死因も蹴り殺された→疫病に変化したのか?

スサノオ牛頭天王
さて、やっと
八坂神社の祭神スサノオまでたどり着いたが。
なぜ牛頭天王スサノオが習合されたかについては、
上記の蘇民将来伝説のバリエーションで
武答天が「私の本当の姿はスサノオだ」と
身も蓋もなく自分で自己紹介してしまうパターンもあるが。

考えてみれば牛頭天王のルーツ・ゴーマヤグリーヴァは
インドラの化身ともされ、そのインドラは雷使いである。
牛頭天王にその気配が残っていたかはわからないが、
とにかくスサノオも暴風雨の神と言われる。

また、スサノオ
高天原であんまり暴れたものだから
神々の怒りを買いヒゲを抜かれ爪を抜かれ
「もうおまえ、どっかいけ!」
高天原から追い出される。
(このとき抜かれたヒゲが杉になったらしい)
そして蓑を着て、天から地までの道のりで
道の神々に一夜の宿を請うが
「なんでオマエにそんなことしてやらにゃならんのだ」
と断られて辛い思いをする。

スサノオの場合は自業自得であり、
この時は荒々しさの影もなくシュンとしていたので
誰かを呪ったりはしなかったらしいのだが(;´∀`)

しかしその宿を求めるというエピソードも
2人がダブるとゆうことで習合の一因となっている。

またどちらも荒ぶる神だということや
牛頭天王スサノオ共に8人の子が居るのも共通項。
スサノオの8人の子はちゃんと各々で名前があるが
牛頭天王の子は「八王子」とまとめられて祀られることが多い。

…とは言っても、日本において
8というのはとても力のある数らしく。
スサノオのお嫁さんになったクシナダ姫も
テナヅチアシナヅチの8人目の子(末っ子)だし。
八幡神、八岐大蛇など8に関わるものを挙げればキリがない。

*境内*
さて。まず、こちらが本殿。

f:id:ko9rino4ppo:20160401115725j:image
管理人は西楼門から入ったので初めに見た社は疫神社だったが。
南から入れば正面が本殿。大きいし人多い…( ゚Д゚)
柱に藁で作った亀が掛かっている。なんか可愛いぞ。

ここに、スサノオと3人の奥さん
そして八柱の御子神がいらっしゃるのである。
そして子供たちと一緒に西に居るのが
稲田宮主須賀之八耳神という名前の神様。
読みは「いなだのみやぬしすがのやつみみのかみ」。
これはスサノオクシナダと新居を構えた際に
両親アシナヅチテナヅチに送った名前とも言われている。

ちなみに東には社伝に明確には残されていないが
沙渇羅王の娘であるといわれる、
毒蛇を神格化した神も祀られている…のだそうで。
あれ?
沙渇羅龍王の娘ってことは、婆利塞女じゃないか。
彼女も蛇だったの?
まぁ、奥さんたちの居る場所だし
ひっそり彼女が居ても不思議ではないか。


そしてこちらが「悪王子神社」!
なんかネーミングにインパクトあるな…(;´・ω・)

f:id:ko9rino4ppo:20160401115808j:image
しかし、この「悪」は現代の意味と少し違って
「荒々しい」「力強い」的な意味だと言われている。
その名前の通りこれは、
スサノオの荒魂(神様の荒ぶる側面)を祀っている神社。
ちなみに、この向かって右奥に大神宮というのがあり
お姉さん・アマテラスを祀っている。

そして祓所を挟んで向かって左には
宗像(美人)三姉妹にあやかる
「美御前社」。
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彼女たちはスサノオとアマテラスが
誓約(うけひ)を行ったときに生まれた神。

誓約とは、
スサノオ
「最初に与えられたとこはヤダ!」とか
「お母さんの居る黄泉の国に行きたいよぉ!」とか
さんざカンシャクを起こした後の出来事。
そのワガママ弟が自分の居る高天原に向かっている、
と聞いてアマテラス姉さんは
「アイツ絶対うちにも暴れにくるんだわ」
と男装までして戦の支度で出迎えた。
しかし一方のスサノオは、
「姉さんの場所を攻めに来たんじゃないのにー」
という感じだったので
それを証明するため行った儀式のこと。
(でも結局、高天原でも大暴れして追い出された…)
その儀式の中で、美人三姉妹がスサノオの剣から生まれる。

八坂神社のホームページでは、
神社の歴史・御祭神・マップ・美御前社・又旅社
というインデックスがあり
「御祭神」には本殿の祭神しか書いていない(-"-)
そんな中、他の末社は御祭神すら紹介されていないのに
美御前社だけ別項目まで作ってもらってるというのは…
宗像三姉妹推しか!八坂神社!不平等を感じるぞ!

…ともあれ、このエリアは
まだワガママぼうずだった時代の彼と
それに関連深い神様を祀った社たちというカンジか。

そしてこれが八坂神社の本領か?
その名も疫神社。

f:id:ko9rino4ppo:20160401115918j:image
まぁ祭神牛頭天王ではなく蘇民将来なのだが。
中は結構雰囲気があるカンジ…
でも、いつも通り覗いて撮った。
f:id:ko9rino4ppo:20160401115943j:image
…そのうちバチが当たるかも(;´∀`)

と、疫神社の扁額を見て中をのぞいて
満足したところでそろそろ切り上げますー。

*おまけ*
本殿目当てで来たらしい派手なオバサンが、
ここの鳥居に掲げられた「疫神社」の文字に
不審そうに眉根を寄せて本殿の方へ去って行ったよ。
アラ勿体ないなぁ(´・ω・`)
興味深い末社が山盛りなのにー。


そうして