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とまのす

ちいさくゆっくり民俗学。

粟嶋堂(宗徳寺)の人形たち。

昨日の女の園・市比賣神社からの流れで
女人守護つながりの粟嶋堂へ。
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ここは、
京都府下京区三軒替地町にある
西山浄土宗の宗徳寺というお寺なのだが。
「宗徳寺粟嶋堂」ではなく
「粟嶋堂宗徳寺」なのだ( ゚Д゚)!
なぜだ。建立は宗徳寺の方が早いのに。
そんなに粟嶋様の人気が根強いというのか。

*粟嶋堂について*
まずは、なぜこの地に建てたか。
元々ここに祀ろうと思ってお招きしたのではないらしい。

南慶和尚という人が和歌山(紀伊国)に行ったときのこと。
旅先の淡島で虚空蔵菩薩を感得した後、
淡島大明神を京に勧請するために御神体を持って上洛。
その途中、今の粟嶋堂がある場所で
急にご神体が重くなったのでココに祀ったのだという。

以来女性の信仰厚く
今でも針供養や人形供養、婦人病平癒etc
アワシマ様は日々忙しくしてらっしゃるのだ。

スクナヒコナさん*
では淡島大明神とはどんな神様なのだろう。
そもそも、
全国の淡島神社というトコロには
だいたいスクナヒコナが祀られている。
この方は、オオクニヌシと一緒に
国譲り以前の日本を治めてきた神様である。

非常に小さな神様(もはや小人か妖精…)で、
天乃羅摩船(アメノカガミノフネ)に乗って
波間の彼方から来訪したのだというが。

「羅摩」をなぜ「かがみ」と読めるんじゃ( ゚Д゚)!
と言うと、
現在「ガガイモ」と呼ばれている植物の
漢方薬としての名前が「羅摩子」であり
日本での昔の名前が「かがみぐさ」なのである。

その種…というか、種は綿毛なのでおそらく
種が入っている殻の船なのだと思われるが、
それはせいぜい長さ10cm前後のボート型で
子供の掌にでもすっぽり乗る大きさ。
スクナヒコナがいかに小さな神様かというのが
具体的にお分かりいただけるだろうか。

そんな小さな彼なので、
熊本や長崎の淡島神社には
「日本一小さな鳥居」と言われるものが存在し
這ってくぐれれば婦人病その他
腰から下の病が治ると言われていたりする。

その御利益からもわかる通り、
彼は藥学(薬草や酒造)を人間に教えた神様。
なので、淡島神社のほか酒関連の神社などにも祀られ
本地仏薬師如来とされることが多い。
※その知識の多さから文殊菩薩の場合もあるが。

また、オオクニヌシと共に国を治めたということで
北海道神社など開拓に関する神社にもいる。

*淡島神*
でも、なぜ御利益は腰から下なの?
なぜ女性の守護?人形供養は?

という疑問が湧いてくるが、
それに答えてくれるのが「淡島様」。

スクナヒコナは最後
淡島から常世に旅立ったとされるため
淡島様と言われたり淡島神社に居るのだが。

それとは違う女神の淡島様がこちら。
女神としての淡島様には大きく二つの源流がある。

1つはイザナギ&イザナミ夫婦の子
もう1つはアマテラスの娘(?)という説。

1つ目の説のアワシマさんは、古事記では夫婦の第二子。
クジラと恵比寿様の記事で書いたヒルコの妹。
この2人は妻から誘ってできた子であるがゆえに
「よくあらず(詳細にどうということは明確でない)」
船に乗せて流されてしまっている。
日本書紀では第一子が淡路島、第二子がヒルコ。
 妻から声をかけたがちゃんと淡路島が生まれている。

古事記の話を見ると何となく、
女性が巫女として力を持ち国を治めていた小国を
男性中心の中央集権国家へ換えてゆき
女性の信託やまじない主導で治まっていた小国を
「よくあらず」と奥地に追いやって
男性中心にしとけばうまくいくよ!レッツ中央集権!
的な気配を…感じなくもない|д゚)
※管理人の歪んだイメージです!

そして一方の
「淡島様=アマテラスの6人目の娘」説だが…
アマテラスには基本的に三女までしかいない。
すなわち宗像三姉妹である。

なのでもはやアマテラスの娘だということは
ちょっと置いといていただいて…
住吉明神様のお嫁さんという紹介をしたい。
※これも正式な記録ではないが。

この住吉明神の奥さんは
普通に淡島様と呼ばれることもあれば
婆利塞女という名前があることもあるのだが。

どちらにしろ、
一度お嫁に行ったにもかかわらず
婦人病にかかったのでという理由で
淡島様は淡島に島流しにされるし
婆利塞女は住吉明神と不仲になってしまう。

結末としては
淡島様は流された先の淡島で
自分と同じように苦しむ婦人病の女性を救う
という誓いを立てて婦人守護の神様に。
婆利塞女は人形を身代わりとする呪法で
見事に平癒して何とか離婚に至らずに済んでいる。

これが、淡島大明神が
婦人病平癒・女人守護の神様であり
いらっしゃる神社仏閣で人形供養が行われる由縁。

*婆利塞女と頗梨采女
今紹介した婆利塞女は「ばりさいじょ」と読む。
だいたい、アマテラスの娘にしては
仏教的な大陸の響きがある名前ではないか。
そして、似た名前の神様に
牛頭天王の奥さん・頗梨采女(はりさいにょ)が居る。

実際に2人が
同一人物なのか同名なだけかわからないが、
淡島神社で針供養が行われる理由は
「はり」が「針」に通じることからとも
2人とも夫人であり針仕事が達者であったからとも。

ただし実際は彼女らの「はり」とは「玻璃」で、
水晶、もしくはガラスのことであると言われている。
婆利塞女も住吉明神(水の神様)のお嫁さんで
海に囲まれた島に流されているし、
頗梨采女は龍王の娘なので水神系の女神さまだろうし。
水と透明である水晶や
水面のようでまた女性の必需品である鏡と
深い関連があっても不思議ではない。

また塞女の「塞」は
境を守る「塞(さい)の神」の塞でもある。
塞の神の多くは村の出入り口などに
中の人を守るための悪霊警備的な感じで立っていたり
辻で通行人を見守っていたりするわけだが。

「塞(ふさ)ぐ」という字だけあって、
ここから先はダメですよー。と神域を守り
悪霊どころか人も通行禁止!
という塞神もいるのだそうだ。

考え方によっては病気に罹る前は
神域である水(夫・住吉or父・龍王)を守り
人を近づけない女神さまだった可能性も?

*境内*
そんな淡島様の居るお寺だが、
実際 門をくぐって正面に粟嶋堂(神殿)が。
こんなに神様メインでいいの?(;´・ω・)
というところだが、
まぁ観光でガヤガヤされるところは手前に、
地域の方が使う納骨堂などは静かな場所に、
と思えば一理ある配置なのかもしれない。

ちなみに、
和尚さんが淡島で虚空蔵菩薩を感得したことから
「淡島様の本地は虚空蔵菩薩」の紹介されているが、
ちゃんとそれとは別に西川浄土宗・宗徳寺として
本尊・阿弥陀如来水子地蔵さまがいらっしゃる。

大虹梁の上に唐人風の人(鍬みたいの持ってる)
そして白い象がいる。
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白い象はお釈迦様が生まれる前に
釈迦マザーが「白象が体に入ってくる夢を見た」
と言ったとかで受胎とかと関連がありそうな気も。

まぁ白い象というだけで神聖だけれど
安産や子宝祈願も担当してる淡島さんだし。
関係あるのかもと思いたいところ。

そして粟嶋堂の横(むしろ隣の建物戸の隙間)
咲分稲荷大明神さん。
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その逆となりのびんづる尊者さま。
(玉眼が入っていて目力がすごい)
よく居る新しめの「びんづる様」は
全体が漆などで赤く塗られているものだが。
このびんづる様、なんか皆に触られすぎたのか…
首や袖の一部しか赤が残ってないΣ(・ω・ノ)ノ!

ちなみにびんづる様は日本の方ではなく
ビンドラ・バラダージャとゆう名前。
お釈迦様の弟子で十六羅漢のひとりでもある。

そして人形供養をした後に
キレイなものを選んで飾っているという…
真ん中の子がこちらをちゃんと見ている風なのが、
なんだかすごく可愛らしくて撮ってしまった。f:id:ko9rino4ppo:20160330210116j:image
この写真だと小さくてあまり見えないかもしれないけれど、
他の子みたいに人形人形してなくて、
見られても怖くない顔にちゃんと仕上がっているのだ。
最近の人形ってやつはすごいね(*´ω`)
人形も、一度仕事を終えた後
また人に見てもらえて嬉しいかも?

そしてこちらは奉納された島津の人形たち。
なんと美しいんでしょう。
まるで吉原の名だたる花魁たちが
店先に出て並んでいるのを見てるようだ。
八頭身の御美人ぞろい(*´ω`)
その上の段は羽子板や五月人形たち。
そして縁の下(?)には狸やら猫やら布袋様が…f:id:ko9rino4ppo:20160330210146j:image
しかしなんで島津?と思ったのだけど、
鹿児島から送られてきたというわけではなくて
京都に「京都島津」という人形屋さんがあるらしい。
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↑ほかの人形と分けて、
年代物っぽいお雛様が鎮座していた。
冠の装飾が圧巻の逸品!
いつごろのお雛様なのだろう…。

とまぁ、境内はこんな感じ。
九州方面の淡島神社ではたまに見かける、
スクナヒコナサイズの着物の奉納は見かけなかった。
どこかにあったんだろうか。
それともここはお寺だけあって、
スクナヒコナより淡島大明神寄りの信仰なのか?

※ダキニ天や金毘羅さまと同じく、
 淡島大明神も神仏分離令をキッカケに
 神社で「大明神」を祀るのは禁止ですよー。
 となったので、
 全国の淡島神社もその時代に
 祭神スクナヒコナに鞍替えしたそうだ。

九州も面白い神社がたくさんありそうだし、
九州の淡島神社も行ってみたいなー(`・ω・´)
日本一小さい鳥居、くぐりたい!

…しかしまだまだ
記事書けていない京都の神社が残っている…。
まずはひとつひとつ消化だな(;´∀`)