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とまのす

ちいさくゆっくり民俗学。

女(神)の園、いちひめ神社。

神社仏閣 京都 カミオオイチヒメ アジスキタカヒコネ アメノワカヒコ 厠神 宗像三女神

あんまり「男性の守り神」って聞かない。
知識不足か?
と思って「男性 守り神」で検索検索っ!
が、しかし…
なんか「亜鉛」とか出てきたんですけど。
こりゃ違うわ(;´・ω・)

やはり、あまり有名な
男性専用の神様というのは居ないらしい。

私の知る限り、
蝉丸を祀る東京都の関神社ですら
「薄毛封じ」の信仰はあるものの
男性限定というわけではないし…
そもそも女性用のカツラに関する神社である。

一方、女性の守り神は結構聞く。

もしかしたら基本的には
「男性は当たり前の如く初めから対象である」
という前提がある上での、
ここは特別に「女性の」守り神なんですよー!
という表現なのかもしれない。

今回京都で行った中でも数か所、
女人守護を御利益としている神社があった。

その1つ、市比賣神社は
女性の神様ばかり。女の園である。

*市比賣神社*
京都市下京区河原町五条下ル一筋目西入ル
…という道案内のような住所であるが、
鳥居は内まったトコロにあり、
建物が大きいわけでもないので
結構近くに行くまでわからない(;´・ω・)
f:id:ko9rino4ppo:20160328173846j:image
この神社は桓武天皇の時代に
東西の市の神とされたのが始まりだとか。
(つまり東と西にあったと思われる)
そして豊臣秀吉の時代に今の位置になったらしい。

祭神
宗像三神(タギリ、タギツ、イチキシマヒメ
神大市比賣(カミオオイチヒメ)
下光比賣(シタテルヒメ

いずれも女神さまであるので
女人厄除けをはじめ女人守護の神社
と言われるようになったそうだ。

宗像三姉妹はよく見かけるが、
オオイチヒメとシタテルヒメ
そんなに出現率の高いほうではないかも?
ということで2人のことを少し。

*カミオオイチヒメ*
上記のようにココの神社も
元の御利益は女性でなく市場守護なわけで。
名前からしてオオイチヒメさんが
メインでその仕事をやっていたと思われる。

彼女はオオヤマツミの娘さんだが、
オオヤマツミは子だくさんで
コノハナサクヤ・イワナガ姉妹をはじめ
クシナダの両親なども彼の子なので
彼の子だと言ってもあまり紹介にならない。
(;´・ω・)ヤレヤレ
逆にオオイチヒメのお子さんは、と言うと
歳神さんとウカノミタマがそれにあたる。

境内には2つの稲荷社
「植松稲荷社」と「稲荷社」がある。
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もしやウカノミタマが祭神の息子なので
ここに一緒に祀っている、
ということだったりするのかもしれない。
(夫婦や親子で近くにいる場合は多い)
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↑提灯は普通、
その稲荷神社の名入れが多いイメージだが
ここはひとつひとつに違う稲荷社の名前が。

シタテルヒメ
さて、
市場守護を請け負うオオイチヒメ
海運や旅路守護で大人気の宗像三姉妹。
その4人に比べると、
影の薄いシタテルちゃんなのだが。

彼女はどういう神様かというと、
まず宗像三姉妹のひとり・タギリさんの娘。
お父さんは あの大国主である。
両親の知名度的には中々のサラブレッド。

今回出てくる神様の家系図を書いてみても
結構錚々たる名前が並ぶのだが。
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だが神話でのシモテルちゃんの出番は微妙なカンジ↓

夫・アメノワカヒコが死んだ際のこと。
彼女があまり大いに泣くので、
その声でワカヒコの父が息子の死に気づき
地上に弔いのための小屋を建てる。
そこに来たシタテルの兄が
ワカヒコに酷似していたため父は
死んだ息子が蘇った!と喜ぶのだが
シタテルの兄は「死人と間違えるな」と
キレて小屋を蹴り壊し、
シタテルは兄の名を明かす歌を詠む…
その名とはアヂスキタカヒコネである。

…という謎の話に出てくる。
この内容に関しては学者さんの間で
いろいろな説が飛び交っているようで。

最もメジャーな説は
「実は彼女の兄と夫は同一人物で、
 死と蘇りのは稲作のサイクルを表す」
というモノらしい。

しかしそれなら
なぜ兄ちゃんはキレたのか…

もしかすると
自分が死人に間違われたことではなく、
蘇る力を持ったワカヒコが死人扱いされ
弔いのための小屋まで建てたのに怒ったのでは?

そして、
「怒りという感情の結果→破壊」ではなく
再生までの流れに「破壊が必要だったから」
この話が成立したのかもしれない。

そう思うのは、
アジ「スキ」タカヒコネのいうのが
農具の「鍬」を神格化した神である!
と言われているから。

夫と兄が同一神なのではなく、
アジスキ兄さんの破壊した小屋というのは
1年間耕作に使いくたびれた土壌か何かで。
それを彼(鍬)が崩し、
上下を入れ替え空気を入れることで
またアメノワカヒコ(稲か?)が蘇る。

どうだろうか?

…あれ、なんか
シモテルちゃんじゃなくて
周りの男たちの話になってしまったぞ(*_*;

そして、彼女の名前自体に関してもまた
諸説飛び交っているという状態である。
下光と書くからピンと来ないが、
シタテルは「下照」と表記されることもあり
高天原の天照(アマテラス)と対を為す
または同一神の異なる側面と言われることさえある。

アマテラスは高天原に居ながら
海に関連深く地上に居た弟・スサノオと結婚。
一方のシモテルは大国主の子だけあって国津神
でありながら夫は統治のため天下った天津神
全く対極な立場にあって、そのへんも気になる。

※アマテラスに夫は居ない設定だが、
 スサノオとの誓約(うけひ)で子を儲けたので
 これを婚姻とする説がある。

「夫の死に彼女があまりに泣くので
 その声が天に聞こえて夫の父が天下る」

というくだりや
母であるタギリヒメが霧や瀬の神らしい
とゆう水属性な雰囲気から、
なんとなくシモテルちゃんも雷や雨の神と想像した。
が、稲の刈り取りの時期には夕立も来ないし。
イマイチつながらないぞ(; ・`д・´)

情報量の少ない神様だけに
私の知識量では全く太刀打ちできないけれど…
彼女とアマテラスのこと、頭の隅に置いておこう。
シモテルちゃん…Φ(._.要チェック!

*カード塚*

そして境内には近代的なデザインの
「カード塚」なるものがあって
期限が切れたり使用済みになった
テレホンカードや図書カード
ポイントカードや諸々が入っているのだが。
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説明によるとココは
市の守護女神を祀っていただけでなく
市の諍いごとの監視なども兼ね
商いの「御免状」を発行していた場所だという。
その御免状を「カードのモト」と解釈し
カード供養をしようというのがこの塚。

ちなみに最近では
財布などに入れやすい「カード型御守」
というのがたまにあるのだが、
この市比賣神社がその発祥の地らしい。
御利益の期限は1年だそうで、
1年経ったら再発行するというのだから
大層儲かr…いやいや(;´∀`)ナンデモナイデス!

*ひめみくじ*
カード塚の歴史もわかったところで、
こちらに山積みになっている赤いものが
参拝者に人気の「ひめみくじ」。
可愛いが、たくさん集まるとなかなか迫力が…。
なんだか、
どんど焼きで積み上げられたダルマのようだぞ。
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ちなみに山盛りの「ひめみくじ」の下にあるのは
ただの手水鉢というわけではない。
天之真名井(あめのまない)と呼ばれる名水。

歴代天皇の産湯はこの水を使っていた!
という伝説(史実か?)が残る名水で、
絵馬を掛ける際に水を飲んで心より願えば
1つだけ願いが叶うとされているそうだ。

神様へダイレクトに願いを申請できるほど
身を清めてくれるから叶うのか、
それとも、
人の体に入ってもまだ神のものだから
糸電話のように神様につながって
確実に願いを届けてくれるのか…。

残念ながら今回願い事はしなかったので
水は飲んでみなかったのだが。
今でも書道や茶道でも使用される
現役の名水だそうだ(*'▽')

*おとう鈴*
もはや話題が市比賣神社本体から遠く離れて
いつまで続くのだ、長いぞ!
という雰囲気も感じ始めはするものの、
あと1つ、
高めの御守りがあったのでそれを書いて終わる。

他の御守りと同じく社務所で売っている。
ただの白い土鈴(←失礼)だが2000円もする。
その名も「おとう鈴」というやつだ。

なぜ着色の手間もかかって
おみくじまで入っている「ひめみくじ」の
2倍以上もするのだ…Σ(・ω・ノ)ノ!←失礼
と、内心思った管理人だったが。

それだけ力があるのだと思おう。
なにしろ「おとう(=御東)」とはトイレのこと。
その御守りということは
これは厠神の力の籠った土鈴なのだ。

ずいぶん前に「トイレの神様」という歌が出て
(流行ったのでご存知かもしれないが)
そのサビは

トイレにはそれはそれはキレイな
女神さまがいるんやで
だから毎日キレイにしたら
女神様みたいに別嬪になれるんやで

というモノである。
歌ではトイレ掃除が苦手な孫娘に
おばあちゃんが言った言葉とされるが、
これは単なる掃除をさせるための
おばあちゃん個人の作り話ではない。

もっとも、
よく言われる伝承では
本人が厠掃除をするのではなく
妊婦さんが厠掃除を真面目にすれば
美しい子が生まれると言われるのだが。

とにかくトイレの神様というのは
歌の中だけでなく実際に各地に伝わる神様。
とくに仏教がはやってからは血は不浄とされ
出産どころか初潮後の女性というもの自体
仏様にはカバーしてもらえない時代もあった。
そんな歴史の中にあって、
不浄なんて観念ものともせず
厠も妊婦さんも新生児も守ってあげるわよっ!
という厠神さまは最も身近で強力な女性の味方だったのだ。

ちなみにこの御守りは1年使ったら
トイレの中で割ることになっている。
まぁ、御札も何も大体1年で御焚き上げだが。
自分で割るパターンは多くはないので、
ボーッといつまで置物のように使ったりして
取っておかないように注意!

ということで、やっと長話も終わり。
祭神として名前を挙げた5神の中には
トイレの神様」は居ないのだが、
個人的に好きな神様なので話題をねじ込みました。
長くなってスミマセン(;´∀`)

いつか仏教の「トイレの神様
烏枢沙摩明王様の話もしたいな(*'ω'*)