とまのす

ちいさくゆっくり、民俗学。

京の風流狐、お辰さん&宗たん。

*御辰稲荷神社*
こちらも京大から歩いて数分。
細い路地から大きな道に出るちょうど角
聖護院円頓美町の「御辰稲荷神社」。
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御所の辰の方角に建てたことから
「御辰」という名前がついたと言われるが、
その辰が達者・上達の「達」に通じるともされ
芸事を行う人の参拝が絶えなかったという。
とくに芸妓さんの琴の上達祈願が盛んだったとかで
「京の風流狐は琴の御辰と碁の宗旦」
などと言われるそうだ(*'ω'*)

絵馬堂のような場所には、
ユルい狐の絵が奉納されていたり。
提灯もたくさんの、愛されお稲荷さんである。
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おまけだが、境内には
亀石明神・初辰大明神・福石大明神
という3つの石がある。
もはやお稲荷さんには関係なさそうだし、
「京都の秘石」って触れ込みが怪しすぎるが。
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石に関する信仰=古代信仰ということで
もしかしたらすごい歴史があって
稲荷神社が建つより前からあった石だったりして…

*宗旦稲荷*
こちらは上京区にある相国寺境内。
大きな寺だけに、
境内のどこに稲荷社があるのか見つからない。
これか!と思ったのは弁天堂だったり…
(*_*;
そしてようやく、鐘楼の影に発見。
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大きな力で寺を守ったのでなく
好きなことをし修行もしながら、
人に愛された彼に相応しい慎ましい社。

宗旦(そうたん)というのは、
もともとは茶道の千家を確立した
実在の人物の名前である。

しかし、彼の手前にあこがれて
いつかは人前であんなに美しく
お茶を点てたいなぁ( *´艸`)と思った狐、
宗旦さんが茶会に遅刻したのを良いことに
宗旦さんに化けて相国寺の茶会に出席して
客人の前でお茶を点てて見せるようになった。
(宗旦さんどんだけ遅刻してたんだ)
しかし、狐が帰った後に本人が登場する
という事態がたびたび起きたため弟子が追及。
すると狐はすべてを白状したという。

しかし、狐の手前は弟子も惚れ惚れするほどで
その手前に免じて狐を罰したりはしなかったそうだ。
そのため彼は宗旦ギツネと呼ばれるようになったとか。

そんな宗たんは江戸時代になると
雲水(禅宗の修行僧さんたちのこと)として
相国寺で勉強し修行を積んでいたという。
人に化けるだけで一苦労だというのに、
その姿のまま修行をするとは。
宗たんはかなりスゴイ狐に違いない!
Σ(・ω・ノ)ノ!

そんなある日、門前の豆腐屋が
赤字で豆も仕入れられず倒産寸前に。
宗たんはハスの葉を集めてきてやり、
「これをお金に換えて豆を買いなよ」
と言ったそうだ。

べつに、狐狸がよくやる
「葉っぱのおカネ」方式ではない。
蓮の葉というのは漢方薬としても
また盂蘭盆に使用する季節ものとしても
蓮葉のおこわなどを作るにも重宝された
結構高価な葉っぱだったのである。
東南アジアでも
蓮の蕾の中で香りづけしたお茶などもあり
それまた最高級品らしい。
(蓮の中を小舟で回って蕾に茶葉を詰める様子、
  テレビや旅行先で見たことある方もいるかも?)

そして「蓮葉女」もモトは
高級なお客さんの夜のお相手をする女性だった
とも言われているのだが、
蓮がゆらゆらと浮く様子や
葉の上で落ち着きなく露が動く様子と相まって
「宿を持たず放浪したり自由奔放な女性」
という意味になり現在の
「蓮っ葉オンナ」のニュアンスになったとか。
(もはや「蓮っ葉」も若者は使わないか…)

話は逸れたが、
とにかくその蓮葉を売った金をモトに
経営を立て直した主人は勿論感謝感激。
お礼にネズミの天ぷらを納めようとしたが
宗たんは
「それ食べると神通力が無くなっちゃうからさ…」
と断ろうとしたという。
しかし結局我慢できずに食べてしまった宗たんは
狐に戻ってしまい犬に追われて井戸に落ちたとも
猟師に撃たれてしまったともいわれ
それを悼んだ相国寺の人々は
ここに稲荷社を建てたのだという。
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ちょっとタヌキっぽい
哀愁漂うウッカリ感がある宗たん。
生前は碁が好きで
よく門前の家で碁を打っていたそうだが、
夢中になって尻尾を出してしまっても
皆気づいていないふりをして
そのまま一緒に碁を打ったそうだ。
(本人も尻尾に気づいていない…)
そりゃ愛されるわ!
宗たん可愛すぎだよ(*ノωノ)!!!

御辰さんはその芸事上達の霊験で
宗たんはその人柄で人気という感じだな。
御辰さんも狐の手で琴は弾けないだろうから、
琴を弾いているときは
たいそう美しい女性なんだろうなぁ
(*´ω`)

今回はそんな
2人(2匹?)の風流狐の紹介でしたー。
たまには穀物神っぽくない狐もいいですな。