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とまのす

ちいさくゆっくり、民俗学。

八王子養蚕つながり④:打越弁財天

管理人は方向音痴で、
年中グーグルマップで位置を確認していないと
すぐ間違った道に行ってしまう(*_*;
そのため、
こういう散策の後半は大体電池切れとの闘い。

もう本降りになった雨の中、
傘も差さずに八王子バイパス脇の道を独り歩く
何歳だかわからない子に
工事現場のおじさんたちも不審そうに二度見。
※26歳だが童顔で、よく子供だと思われる。

なんとか残量7パーセントで打越弁財天に到着。

坂の入り口の石燈篭は、
蛇のうろこを思わせる模様の屋根。
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境内の説明書きを見ると、
もとから神社として建ったというよりは
今もココを管理している
梅洞寺というお寺の塔頭「西輝軒」だったそうだ。

塔頭(たっちゅう)というのは、
偉いお坊さんが亡くなったりした時に
その弟子がその功徳を慕って建てるもので
形としては庵や塔であることが多い。

この地域ではその庵が、
「蚕を(ネズミから)守ってくれる!」
と信仰されていた蛇と合わさり
白蛇をご神体とする弁財天信仰の場となったそうだ。
それが証拠に境内には、
弁天様でなく白蛇さんの絵馬がたくさん。

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毎年、八十八夜の日が例祭とされて
とくに巳年には秘仏が御開帳されるのだそうだが…
ということは次の御開帳は10年後ではないか。
前回の巳年ならまだ八王子に住んでいたというのに
この御開帳に気付かず過ごしてしまったのが…
超くやまれる(ノД`)・゜・。

さて、これが弁天様のいる建物。

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仏教の塔頭らしく弁天様の真言が貼られている。
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屋根の瓦には、
弁天様らしく波と鱗の紋。
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練炭などを使う機会があったり
うちはLPガスだよという人などは
ミツウロコ」という会社をご存知かもしれないが、
まさにこの波の真ん中にある紋を「三つ鱗」と呼ぶ。

鱗というと魚をイメージする人が多いだろうか。
しかし、この鱗はどちらかというと蛇のモノらしく
歌舞伎の「道成寺」など
情念のあまり蛇体になる女性などを演じる際に
この模様の衣装が着られることが多い。

また、蛇もとい龍神が水と関係深いからか
各地のマンホールにもこの模様は使用されている。


さて、境内にある小さな橋を渡ると。
池にも近くて屋根にも「辨天」の文字があって、
いかにも弁天様がいますよという祠が…

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あるのだが、
中にいるのはなんか 阿弥陀如来っぽいΣ( ゚Д゚)!?

なぜだ…収穫は白蛇絵馬だけか?
弁天様にはお目通り願えないというのか…?
こんなに雨のそぼ降る弁天日和なのに…(意味不明)

と動揺しながら、
敷地内で一番高いほうへ坂道を登ってみる。
(ほんとに軽く山という感じに高い)
よく分からない山の休憩所の様なものがあって、
それだけというかんじだったが…

いや、絶対弁天様に逢えるまで帰れない!
何あのさっきの詐欺みたいな祠!
と、中に居た神様には失礼な不当な怒りを抱えて
弁天様を探す(;´・ω・)

と、なにやら古そうな祠が!

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もうこの際、
姿でなくて「辨才天」の御札だけでもいい!
キレイな御堂でなく古めかしい弁天様が見たい!

と思って覗くと、
なんとなんと石に彫られた弁財天様が(*´ω`*)
しかも七福神の時のような二臂ではなく
堂々たる八臂のお姿。

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いや、下の方までは見えないんだけど
弁天様で六臂というのはあまり見たことないから
(多分)八臂だとおもう、という感じだけれど。
確認できる持物は
頭上の右:三叉戟 左:鍵
体側の右:法輪? 左:宝棒
体前面右:宝珠 左:宝剣

宝剣や宝棒をはじめ三叉戟などは
どれも仏敵を粉砕する武器だとされていて、
弁財「天」というだけあって
彼女が護法善神=仏法のガードマン(`・ω・´)
であることを示している。
そして、右手に持っている鍵は
宝物or穀物庫の鍵だと言われている。

昔は八臂の弁天様はすべての手に武器をもつ
戦勝祈願の神様とされたらしいのだが。
穀物神・ウカノカミと合体した
「宇賀弁財天」という形態の弁財天ができてから、
宝物・財産神としてこの「鍵」を持ち始めたらしい。

ウカノカミというは
弁財天の子供とされたり同一視されたり
いろいろな見方のある神様なのだが、
多くは老人の頭部に蛇の体を持つ姿で表される。

蛇足だが、管理人は「千と千尋の神隠し」の
クサレ神の正体である
翁の面に水のような蛇体を持つ神様は
このウカノカミではないかと思っている(=゚ω゚)

ともかく、蛇は 穀物荒らし・ネズミの天敵!
ということでかれは穀物神になった模様。
弁天様の鍵が「穀物庫の鍵」と限定されることがあるのは
習合したウカノカミが穀物神である影響かもしれない。

さて、ここまでが八臂の弁天様の話。
でも皆さんが一番親しみがあるのはやはり
人間と同じ二臂で琵琶を持っている弁天様ですかね。

こちらの方が、
ルーツであるサラスヴァティにかなり近い姿。
ちなみに持っている「琵琶」も
日本的なものに置き換えられたのではなく
サラスヴァティが持っている
「ヴィーナ」がモトになった楽器。
(*´ω`)ラシイデス。
弦の数もバチで弾くあたりも違うので、
中国あたりで違う弦楽器に名前だけ伝わった…
みたいな可能性もあるかも。

この二臂で琵琶を持っている弁天様は
とくに「妙音弁財天」と呼ばれていて、
個人的にはサラスヴァティさんに忠実に
美しさを推してきている女神さまかなーと感じる。

なんといってもサラスヴァティは、
ブラフマーが(自分で作っておきながら)
あまりに美しすぎてしつこく追いかけまわして
求婚しまくって最後には彼女が諦めて妻になった…
という、創造主をも夢中にさせる伝説級の美女!
名前は「湖の主(あるじ)」という意味だそうで、
龍神の娘である弁天様と同じ水の属性。
乗り物は孔雀なのだそうです。
ぜったい、羽の美しい雄孔雀だ。
きれいだろうなー(*'ω'*)

ちなみにサラスヴァティは四臂で
2本の腕はヴィーナを奏で、
あとの腕にそれぞれ数珠と経典を持っている。
つまりモトは 武器なんて1つも持っていないのである。

それをふまえて
もう一度目の前の弁天様を見てみる。

いくら護法のためとはいえ腕が4本も増えて
しかも急に武装してしまうなんて…
八臂の弁天様って実はサラスヴァティじゃなく
戦闘の女神・ドゥルガーなんじゃないか?
そうすれば戦勝神となったことも納得できるし。
と、なんとなく思ってしまった。
彼女はナーガ・ラージャからもらった
蛇族の首飾りを付けてるしね(=゚ω゚)ノ
そんなこと言ったら彼女は
闘うためにいろんな有名な神様から
武器をひとつづつ授かっているので…
蛇と特別親和性が高いわけではないんだけれど。

そのへんはまたいつか考えるとして。
無事に弁天様にも逢えたし寒いし電池ないし。
もう、この後は足早に駅に向かった。
電車の楽さと温かさが奇跡のようだった…
(´・ω・)寒くて長い道のりだった…

今回はいろいろ分からないことや
判然としないことも山積で。
いろいろ巡っていく中で新たに
「ああ、あの時のアレはコレか!」
みたいにつながっていくといいなーと思う。

短期ではあるが栄華(?)を極めた
鑓水商人さんたちや村々の 
商売繁盛だけではなく
人々の安全や養蚕の成功を切実に祈る気持ちが
垣間見える道のりだった気がする。

歴史あるものに癒されるとか
神様のことを知るということに限らず
その神様を祀った人たちの生活や感情とか。
そういうところまで知るような神社めぐりが。
できる人になりたいですなー(*´ω`*)