キャラクター的にもニッチな方向に向かいつつある
もののけ姫3日目。
今日はエミシの村の2人の女性について。
*巨石信仰
アシタカが西に向かうキッカケとなったのは
村を占いで治める「ヒイ様」という老婆。
アシタカが死を言い渡されるシーンの前に、
彼女は館の中にある大きな岩の前に座っています。
石というものは木と並び太古から信仰の対象とされてきました。
その硬度(永遠性の象徴)が信仰の根拠と考えられています。
大きなものや特殊な形(平たい/尖っているetc…)のものは
特に神が宿りやすいとされていたらしく、
作中に登場する岩も上が見えないほど巨大です。
ヒイ様のような巫女たちが先祖代々この岩の前で祈り、
雨風を避けるための屋根が小屋になり小屋が館になり
村の者が集って神託を聞くような場になったのかもしれませんね。
*ヒイ様の祝詞
倒れたタタリ神に向かってヒイ様は
「この地に塚を築きあなたの御魂をお祀りします」
と唱えタタリ神の怨念を鎮めようとしています。
これってとても日本的な祈りの方法だなーと感じたり。
簡単に「日本的」という言葉を使うのは好きではありませんが、
「悪いものを大事にすることで鎮まってもらおう」という方法です。
外国では「邪悪なモノは去れ!」的な文化圏も多いということで
日本的な、という言葉を使わせてもらいました。
〈例〉
冤罪で大宰府に左遷され、無念のうちに没した彼の死後、
都では落雷などの災害が相次ぎます。
それを「祟り」として恐れた朝廷は左遷を撤回。
官位を復し道真公の御霊のために天満宮を建てました。
あの華やかな祇園祭も、
平安京で伝染病が流行った際に始まったそうで。
疫病を司る牛頭天皇を鎮めるための行事だったんです。
今では「祭」ですが明治までは「祇園御霊会」といいました。
*ヲナリ神信仰とカヤ
死の呪いを受けたアシタカは、
別れぎわにカヤから「玉の小刀」を渡されます。
昔は女性が護身具や装飾品を男性に贈ることが
婚約などの意味を持ったそうです。
そこからカヤはアシタカを「にいさま」とは呼ぶものの
実際の兄弟ではなく「年長者」という意味でそう呼んでいる、
と考えることができる、らしいのですが。
(Wikipediaとかに載ってました)
そうはいっても
傷を負ったアシタカに駆け寄る。
もう二度と会えないであろう見送りをする。
そのカヤの台詞が敢えて
「アシタカさま!」でなく「にいさま!」である理由。
その言葉に、力があるからな気がしてしまいます
というわけで、敢えて「実の兄弟」説を支持するなら
※必要なくても病気なのでいろいろ考えてしまいます(´・ω・笑)
思い当たるのは沖縄の「ヲナリ神信仰」。
妹(姉)を兄(弟)の守り神であるとする信仰です。
兄から見た妹を「をなり」妹から見た兄を「えけり」と呼びます。
今もそうかハッキリ分かりませんが、結構最近まで
兄の結婚後も妻より妹のほうが発言権が強い地域があったそうです。
根強し、ヲナリ神信仰!
琉球王国では男兄弟が統治者である場合、
政治的権力者であるエケリは周囲から根人(ニンチュ)と呼ばれ、
エケリにとってのヲナリは周囲から根神(ニーガン)と呼ばれました。
アシタカもヒイ様に「一族の長となるべき若者」と呼ばれていたので、
もし実の妹だとするならカヤは将来のニーガンだったはずです。
このヲナリ神信仰でも漁や戦に行く男兄弟に
姉妹から何かしらの御守りが渡されることが多いらしいです。
太平洋戦争の際も出征した男性の多くが
母や妻でなく姉妹からの御守を身につけたという話を読んだ気が。
それがアシタカとカヤで言う「玉の小刀」ですね。
いや、ここまで言っといて
実は私もカヤはアシタカの許婚的な子だと思っているんですが。
こんな考え方もあるよねってことで…(笑)
そんなわけで3日目は
エミシの村に受け継がれる古代信仰の面影をほじくりました。
日々の出来事と無関係な「もののけ姫」シリーズ
掃除で見つけたメモの内容をすべて網羅し終えるまで、しつこく続くよ!