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とまのす

ちいさくゆっくり民俗学。

いのしし、かのしし。

イノシシは子供を引き連れて歩くため多産の象徴。

シカは毎年ごとにツノが生え変わるので一年を1クールとする耕作の象徴。

そのためイノシシは狩猟を主とした時代から信仰され、

シカは耕作が始まってから信仰され始めたなんて話もありますが。

シカもイノシシも古くから

人間にとって貴重かつ身近な狩猟対象でした。

人を生かすモノは多くの場合、神聖視されて早い段階で名前を付けられます。

もともと「シシ」は「宍or肉」と表記して、食用になる四つ足の動物を指します。

だから昔は、猪を「イノシシ」と呼ぶように鹿も「カノシシ」と呼んだそうで。

つまり、今は「猪」1文字で「いのしし」と呼んでいるけれど

もともとは「イのシシ」と「カのシシ」だったわけです。

じゃあ「イ」と「カ」って何だ?

ということで少し調べてみました。

 

◆イノシシについて

干支の「亥」も「イ」と読みますが、

実は干支の漢字というのは割り振られた動物とは直接関係ありません。

ので、ここでは「猪」について考えてみます。

漢字の故郷・中国での意味を見てみると、

漢字の「猪」とは豚のことを言います。

(だから西遊記猪八戒もイノシシでなく豚の姿なんですね!)

そして、日本でいうイノシシのことは「野猪」と呼んでいるようです。

それが日本に入ってきた時代、

日本ではイノシシの方が豚より一般的であったために

猪という字はイノシシを示すものになったとか。

しかし「猪」の音読みは「チョ」で「イ」は訓読みになるので、

イという音は日本人が考えたものです。

 

・・・「イ」ってなんだ?

 

私が知る中では2つの説があって、1つ目が「一のシシ」説。

肉となる動物すべてを単に「シシ」と呼ぶ段階から、

その中で種類ごとに区別しようという段階になった時のこと。

最も味が良いor最も獲れる頻度が高い動物を「一のシシ」とした結果、

それが今でいうイノシシだったという説。

 

現代でも山間部に住んでいると、

鹿よりはイノシシに遭遇する頻度の方が高いですしね。

 

2つ目は「鳴き声」説。

これは非常に単純明快で、

イノシシの「ウィ」という鳴き声を名前にしたという説。

(犬をワンワン、猫をニャンコと呼ぶ感覚?)

 

◆カノシシについて

これについても、有力そうな説は2つ。

1つ目が「皮のシシ」説。

古くは全ての動物の皮が様々な用途に使われていたと思うけれど。

その中でも、鹿革というのは現代でも重宝されるほどの素材。

なので、皮としても高い価値がある食用動物という意味で「皮のシシ」だという説。

 

2つ目は「香のシシ」説。

他の食肉に比べて肉に独特の匂いがあることから、という説。

沖縄では今でも鹿のことを「コウノシシ」と呼ぶ地域があるそうで。

そう聞くと信憑性が高いような気がしてくる。

 

ただ、沖縄といえばヤギ汁。(※私の勝手なイメージです)

あのヤギ肉の強烈な匂いに比べたら鹿肉なんて豚肉並みにアッサリじゃない。

沖縄の人が本当に「香のシシ」と感じたかは謎。



それぞれいくつか説があるので定説がコレとは言えないけれど。
「イ」と「カ」の語源は、だいたいこんな感じ。